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ミュージカル好きゲイコミュの宝塚歌劇「虞美人」

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宝塚歌劇を見るのはこれで二度目である。たまたま会社が休みで、宝塚でも見ようかと思っていったのがこの「虞美人」だった。ラジオで浜村淳が、今回で三回目で初演は大ヒットしたとか、かつては本物の馬を使ったとか、名作だとか言っていたので、ま、見てみようかと気軽に考えていた。前回見た「エリザベート」がトンデモないものだったので、ま、今回も一種の「トンデモ」かと思っていたが、期待を良い意味で裏切られた。

観劇日は3月29日(月)。学校は春休みの最中とは言え、平日である。にも関わらずほぼ満席だった。この日の公演は、「虞美人」観劇者数100万人記念公演だったのだ。その為、入場の際に記念の絵はがきを貰った。幕間には抽選会があり終演後は舞台挨拶があった。

この物語は中国古代の物語である。漢王朝を作った劉邦と彼のライバル項羽の物語である。幕開きは死の床に着く劉邦から始まる。一転して、「赤いけしの花」のシーンとなる。この「赤いけしの花」は初演の時作られた劇中歌である。作詞は白井鐵造、作曲は河崎一朗。この歌は宝塚の財産とも言うべき名曲である。「赤いはなびら/恋のいろ 燃ゆるこころの/虞美人草」と最初を引用してみたが、詞は文語調で五七調、古風な曲がつけてある。しかしながら、どこか粋でモダンで、「古き良き宝塚」と言った感じがある。

物語は劉邦と項羽がいかにして天下と取るかと言う話が中心になって、その中にいろいろなエピソード、故事成語の由来が盛りだくさんに語られる。その為、話を詰め込みすぎて、消化不良を起こしているところがある。だから、この芝居を理解しようと思うとかなり基礎知識が必要になってくる。

最初は項羽の天下取りの話、それに劉邦が加わり、その二人がライバルになって行く。項羽は真っ直ぐな人物として描かれる。戦乱の世を生きながら、決して人を裏切ったり騙したりしない、それに寄って兵士の信頼を得、武将たり得る人物として描かれる。それに対して劉邦は、酒好き女好きだが人望があって、その人望故に皇帝になった人として描かれる。最終的には、項羽の軍師范増と劉邦の軍師張良の知恵比べとなる。又、范増は張良、項羽、劉邦の師であるところが面白い。戦略とか政治は非情であり、権謀術数をこなし、人を裏切る事、騙す事をしなければならない。劉邦は結果として項羽をうらぎらなければならなかった、と描かれている。政治とは血を流さない戦争であり、戦争とは血を流す政治である、と言う言葉を思い出した。
 
 こういう非情な政治や戦略の話をやわらげてくれるのが、項羽と虞美人の恋、韓信と桃娘の恋の物語である。しかし、劉邦は、私は人を愛したことはない、と歌う。
 
 時々現れる群衆シーンが面白い。群衆の一人一人までに演出家の目が行き届いているし、一人一人がきちんと芝居をしている。

 項羽と劉邦とどちらが強いかと聞かれた軍師張良が、戦に強いのは項羽、しかし、天下を取るのは劉邦と答えたのが面白い。なぜなら項羽は人に任せると言うことの出来ない人物だから、と言う。政治家と戦士とは又違う、と言うことを明快に示したシーンだ。

 四面楚歌、韓信の股くぐり、背水の陣、鴻門の会などの言葉の元になったエピソードが色々出てくるのもまた面白い。

 最終的に敗者となる項羽が主役で、劉邦は勝ったものの、むなしさを抱く、となっているのがいかにも日本的と言うか、宝塚的である。最後は項羽と虞美人が出てきて、「赤いけしの花」で終わる。このシーンは非情に印象的だった。この後、フィナーレのレビューとなるのだが、僕はここで終わって欲しかった。フィナーレのレビューがあると、芝居の余韻が薄れるような気がするのだ。しかし、翻って考えるとこれはこれで必要なのだろう。宝塚歌劇は夢、フィナーレのレビューは夢の世界から現実に帰る為の儀式なのかもしれない。

 最後に舞台挨拶があった。中心となったのは范増役の夏美ようである。この「虞美人」1951年に初演された宝塚の戦後最初ヒット作である事、又最初の二幕続きの芝居であり、初演は三ヶ月のロングランを記録した事、などが語られた。

 宝塚歌劇と言うと女子供向けの夢物語、又は全くのトンデモで作演出が発するボケの数々に突っ込みを入れながら見るのが楽しい、と思っていたら、こんな骨太でしかも叙情的な作品もあるのだと改めて見直した。宝塚歌劇あなどるべからず、と言うのが正直な感想だ。「赤いけしの花」は名曲だし、このような良質の作品は繰り返し上演して欲しいものである。

コメント(1)

「虞美人」は初演から全部観ています
今回も久しぶりに東京から大劇場へ行って来ました
初演は項羽ー春日野八千代 劉邦ー神代錦 虞妃ー南悠子 呂妃ー東郷晴子
という大人の芝居が出来る芸達者が揃い見事な作品でした
東京宝塚劇場が進駐軍(死語?)から返還されるまで温存された作品です
今回はミュージカル仕立てなので芝居の盛り上がりが今一でした
初演の鴻門の会はセットを斜めに使い桃娘が劉邦を逃がす所など
舞台全体を使ってスリル・迫力満点でした
桃娘は梓真弓・八千草薫という可憐な娘役がやりましたが
今回は男役起用でミスキャストだと思いました
四面楚歌の場面が無かったですが初演では当時いた男性生徒のコーラスで
郷愁をそそる良い場面でした

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