宝塚が好き！（Gay Only）コミュの宝塚歌劇"I am from Austria."

ウィーンから最新輸入のこのミュージカル、二回見ることにしていた。１回目は10月に２回目は11月に。でも、11月に葬式があって見ることが出来なかった。残念、でも仕方ないか。

見る前から、変な題名だと思っていた。これウィーンでの原題も英語で"I am from Austria."なのだ。見ていると何故英語なのかわかってくる。ハリウッドで成功したオーストリア生まれの女優がお忍びでウィーンに帰ってくる、と言う話なのだ。

指揮は上垣聡。いつもながら、なかなか手堅い演奏を聞かせてくれた。客席に入ると緞帳のかわりに画像が映されている。５分前になると、「五分前」と字幕が出る。ただ、英語なのだ。わざわざ英訳する必要もないのに。全体に英語が多用されている。序曲が始まると、それに合わせて映像が動く。序曲が終わると指揮者にスポットが当たる。

ちょっとおもしろいギャグは「エードラートルテ、って大好き」「え、ザッハーさんの間違いじゃないの。ま、うちの（エードラートルテ）は甘さ控えめだから。」ウィーン菓子が甘さ控えめって、そりゃないだろう。第二幕の Opernball のシーンで、エルフィーがデビュッタントと言うのが笑わせる。なんせ、エルフィーはバレンチノに会った人なのだ。

ヒロインであるエマの母親が出てくるが、これは宝塚版が出来る時作ったとか。だから、だろうかかなり無理がある。プラーターで新聞を売っているおばさんが、あんな豪華な山荘（山小屋、なんてものじゃない）を持っているなんて。

確かに音楽は悪くないし、演出も出演者も悪くない。ただ、最後まで頭に残るのは、何故この作品を日本で、しかも宝塚でやる必要があるのか、と言う事。プログラムにウィーン側のスタッフのインタビューが載っている。彼によると日本でこの作品を上演すると言っても誰も信じてくれなかった、と言う事だ。そりゃそうだろう、この作品はあまりにも「オーストリア万歳、ウィーン万歳」なのだ。しかし、日本人詩人はこう詠んでいる「ふるさとは遠きにありて思ふもの; そして悲しくうたふもの; よしやうらぶれて異土の乞食となるとても; 帰るところにあるまじや」

いっその事思い切って翻案してはどうか。たとえば、ウィーンで成功した日本人のオペラ歌手が日本に帰ってくる。題して「 Ich komme aus Japnan　」。