５/３に大劇場に遠征して観劇しました〜
観劇日５月４日15:00開演 B席２階13列71番
GWの真っ只中、と言う事で満席である。良い天気でよかったのだが、結構暑かった・・・だから単衣の着物で出かけた。
二幕だが今回第一幕が終わった後指揮者が交代する。第一幕は佐々田愛一郎、第二幕は清川知己、なにも指揮者が交代する必要はないと思うのだが。
初演は1937年、と言う事で結構古風な感じがする。序曲をしっかり聞かせて幕開きの合唱、ここらへんはお決まりの形式である。
「マイ・フェア・レディー」の男性版、という話もあるが初演はこちらの方が早い。第二幕で、ジョン卿がサリーをヒギンズ教授に託して言葉使いを矯正する、と言うシーンがあるが、これは1986年にブロードウェイで再演された時からのネタらしい。
プログラムを見てみると、翻訳：清水俊二、訳詞：岩谷時子とある。このミュージカルがここまで再演を繰り返すほどの成功作になったのには、この二人の功績があまりある事を忘れてはならない。英語版を聞いたわけではないが、コックニーをいかに訳するのか苦心した跡がよくわかる。
ただ、ここは2016年の日本。初演当時のイギリスのように階級がはっきりしているわけではない。だから、このミュージカルが初演時に持っていた階級を突破する破壊力、衝撃性がかなり薄められている。それでも、ジェラルドが、自分が生活の為に働くなんて考えられない、とかジャッキーがビルを誘惑しようとするところにその片鱗がちらっと見えてくる。それに、ジェラルドが、コックニーに対してあの韻を踏んだ訛りに我慢ならない、と言うと、シェークスピアも韻を踏んでいると言う台詞も面白かった。
宝塚歌劇のhpからプログラムから、僕が知っている限り、このミュージカルは一人の悪人も出てこない、目出度し目出度しで終わる楽しいミュージカルである、という謳い文句である。
はたしてそうか。
僕がそう思ったきっかけは「薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス 」と言うブログでの藪下氏の問いかけである。
例えば、ジャッキーがビルを誘惑しようとするが、単に玉の輿に乗ろうとしているわけではない。限嗣（げんし）相続制の為である。これは、財産はすべて長男に相続させる制度である。長男のいない場合は、血縁をたどって、一番血の濃い男性に相続させる。これは財産を分散させない為であり、広大な領地・屋敷を維持管理していくためには、膨大な経費が必要で、そのため一人に全部相続させないとやっていけないのである。又、女性には相続権が無い。日本のように、男性の跡継ぎがいないときは婿養子を取るとか、養子を迎える、と言う事は出来ない。この場合、亡くなったフェアフォード伯爵には、相続人になる長男がいない、と思われていたが、若い時身分の低い女に手を付けて生ませたビルが相続人たる権利を有する事になるのだ。だからジャッキーが必死でビルを誘惑するのは一種の悲喜劇ではないか。
そして、ビルが紳士教育を受けた結果、もとのランベスには戻れない、という事が出てくる。そして、最後、はたしてハッピーエンドか。
藪下氏はサリーとビルが手に手をとって屋敷を出てこそ本当のハッピーエンドと書いているが、僕はそうは思わない。教育を受けた二人はもうランベスには戻れない。廻りがそう見る。かと言って貴族社会になじめるとは思わない。サリーは「成り上がり者」ビルは「妾の子」として、さげすみの目で見られる事はあきらかだ。テレビドラマ「ダウントン・アビー」では、中産階級の男性（弁護士、だったと思う）が貴族の跡継ぎになると言うところで、階級の違いで使用人にさえ軽く見られるようなシーンがあった。ましてやビルは労働者階級の出、貴族を血を引いているとは言え、かなりつらい立場に追いやられる事は容易に推察出来る。
このミュージカルには悪人は一人も出てこない事は確かである。でも、結果はこの始末。これはイギリス人独特のブラックユーモア、皮肉、ではないか。僕が一番釈然としないのはマリア公爵夫人が何故ここまでビルを紳士にしようとするか、と言う事である。先代は、年金をやって屋敷を追い出すという選択肢をちゃんともうけているではないか。
で、今回の宝塚版は大サービスをしてくれた。第一幕終わりの「ランベス・ウォーク」で二階にまで来てくれたのだ。客席降りになると二階席はおいていかれるのだが、今回はそうじゃなかった。今まで二階まで来てくれる事はあったが、両サイドの入り口から出てきて中央の通路で踊り、又、両サイドから退場するのが通例だった。しかし、今回は中央の通路で存分に歌って踊って、その上、通路を伝って、一番後ろの出口から出たのだ。二階席の観客は、「えーっ！！」と驚きと喜びで大いに盛り上がった。まさかここまでやってくれるとは思っていなかったから。僕は通路よりの席だったから、すぐ横を出演者が通っていった。この間、舞台を見ている余裕はなかった。
明日海りおは、この役には似合わない。紳士になってからはまずまずだが、それ以前のコックニー丸出しのところが、この役には育ちが良すぎる感がある。まぁ、だから、紳士になってからサリーと不釣り合いになるところに必然性が出てくるのは確かだが。それに対して花乃まりあはぴったりだ。がさつだが純情な所が良く出ていく。ただ、柚香光のジャッキーはいただけない。芝居は十分うまいのだが、いかんせん歌が・・・まずい。
去年の「ガイズ・アンド・ドールズ」もそうだったが、最後の幕が下りた後もう一度オケの演奏があるのが楽しい。ただ指揮者の清川氏にはもう一つ積極性が欲しい所。
GWの真っ只中、と言う事で満席である。良い天気でよかったのだが、結構暑かった・・・だから単衣の着物で出かけた。
二幕だが今回第一幕が終わった後指揮者が交代する。第一幕は佐々田愛一郎、第二幕は清川知己、なにも指揮者が交代する必要はないと思うのだが。
初演は1937年、と言う事で結構古風な感じがする。序曲をしっかり聞かせて幕開きの合唱、ここらへんはお決まりの形式である。
「マイ・フェア・レディー」の男性版、という話もあるが初演はこちらの方が早い。第二幕で、ジョン卿がサリーをヒギンズ教授に託して言葉使いを矯正する、と言うシーンがあるが、これは1986年にブロードウェイで再演された時からのネタらしい。
プログラムを見てみると、翻訳：清水俊二、訳詞：岩谷時子とある。このミュージカルがここまで再演を繰り返すほどの成功作になったのには、この二人の功績があまりある事を忘れてはならない。英語版を聞いたわけではないが、コックニーをいかに訳するのか苦心した跡がよくわかる。
ただ、ここは2016年の日本。初演当時のイギリスのように階級がはっきりしているわけではない。だから、このミュージカルが初演時に持っていた階級を突破する破壊力、衝撃性がかなり薄められている。それでも、ジェラルドが、自分が生活の為に働くなんて考えられない、とかジャッキーがビルを誘惑しようとするところにその片鱗がちらっと見えてくる。それに、ジェラルドが、コックニーに対してあの韻を踏んだ訛りに我慢ならない、と言うと、シェークスピアも韻を踏んでいると言う台詞も面白かった。
宝塚歌劇のhpからプログラムから、僕が知っている限り、このミュージカルは一人の悪人も出てこない、目出度し目出度しで終わる楽しいミュージカルである、という謳い文句である。
はたしてそうか。
僕がそう思ったきっかけは「薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス 」と言うブログでの藪下氏の問いかけである。
例えば、ジャッキーがビルを誘惑しようとするが、単に玉の輿に乗ろうとしているわけではない。限嗣（げんし）相続制の為である。これは、財産はすべて長男に相続させる制度である。長男のいない場合は、血縁をたどって、一番血の濃い男性に相続させる。これは財産を分散させない為であり、広大な領地・屋敷を維持管理していくためには、膨大な経費が必要で、そのため一人に全部相続させないとやっていけないのである。又、女性には相続権が無い。日本のように、男性の跡継ぎがいないときは婿養子を取るとか、養子を迎える、と言う事は出来ない。この場合、亡くなったフェアフォード伯爵には、相続人になる長男がいない、と思われていたが、若い時身分の低い女に手を付けて生ませたビルが相続人たる権利を有する事になるのだ。だからジャッキーが必死でビルを誘惑するのは一種の悲喜劇ではないか。
そして、ビルが紳士教育を受けた結果、もとのランベスには戻れない、という事が出てくる。そして、最後、はたしてハッピーエンドか。
藪下氏はサリーとビルが手に手をとって屋敷を出てこそ本当のハッピーエンドと書いているが、僕はそうは思わない。教育を受けた二人はもうランベスには戻れない。廻りがそう見る。かと言って貴族社会になじめるとは思わない。サリーは「成り上がり者」ビルは「妾の子」として、さげすみの目で見られる事はあきらかだ。テレビドラマ「ダウントン・アビー」では、中産階級の男性（弁護士、だったと思う）が貴族の跡継ぎになると言うところで、階級の違いで使用人にさえ軽く見られるようなシーンがあった。ましてやビルは労働者階級の出、貴族を血を引いているとは言え、かなりつらい立場に追いやられる事は容易に推察出来る。
このミュージカルには悪人は一人も出てこない事は確かである。でも、結果はこの始末。これはイギリス人独特のブラックユーモア、皮肉、ではないか。僕が一番釈然としないのはマリア公爵夫人が何故ここまでビルを紳士にしようとするか、と言う事である。先代は、年金をやって屋敷を追い出すという選択肢をちゃんともうけているではないか。
で、今回の宝塚版は大サービスをしてくれた。第一幕終わりの「ランベス・ウォーク」で二階にまで来てくれたのだ。客席降りになると二階席はおいていかれるのだが、今回はそうじゃなかった。今まで二階まで来てくれる事はあったが、両サイドの入り口から出てきて中央の通路で踊り、又、両サイドから退場するのが通例だった。しかし、今回は中央の通路で存分に歌って踊って、その上、通路を伝って、一番後ろの出口から出たのだ。二階席の観客は、「えーっ！！」と驚きと喜びで大いに盛り上がった。まさかここまでやってくれるとは思っていなかったから。僕は通路よりの席だったから、すぐ横を出演者が通っていった。この間、舞台を見ている余裕はなかった。
明日海りおは、この役には似合わない。紳士になってからはまずまずだが、それ以前のコックニー丸出しのところが、この役には育ちが良すぎる感がある。まぁ、だから、紳士になってからサリーと不釣り合いになるところに必然性が出てくるのは確かだが。それに対して花乃まりあはぴったりだ。がさつだが純情な所が良く出ていく。ただ、柚香光のジャッキーはいただけない。芝居は十分うまいのだが、いかんせん歌が・・・まずい。
去年の「ガイズ・アンド・ドールズ」もそうだったが、最後の幕が下りた後もう一度オケの演奏があるのが楽しい。ただ指揮者の清川氏にはもう一つ積極性が欲しい所。
|
|
|
|
|
|
|
|
宝塚が好き！（Gay Only） 更新情報
-
最新のアンケート
宝塚が好き！（Gay Only）のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています
人気コミュニティランキング
- 1位
- 広島東洋カープ
- 55348人
- 2位
- お洒落な女の子が好き
- 90004人
- 3位
- 酒好き
- 170654人