チケットが偶然手に入ったので初日を見てきた。この日は朝は晴れていたが、宝塚大劇場に着く時にはぽつぽつ降り始めていた。まだ、傘は要らない程度。この日は初日だから、お召しのアンサンブルで出かけた。
場所はいつものB席14列91番。初日と言う事で満席。立ち見も出ていた。
オーボエのAの音が聞こえて幕開きの前に、今回は初舞台生の口上がある。幕が開くと黒紋付きに緑の女袴姿の初舞台生が並ぶ。銀の扇子を使ったちょっと和風の口上だった。
さて、「こうもり」の幕が開く。作・演出は谷正純。指揮者は、初めて聞く名前、この人棒を使わない。でも、オケボックスから的確に指示を出しているのがよくわかった。まずは、プロローグ。序曲をそのまま使っているのに驚いた。今回、シュトラウスの音楽をふんだんに使っている。今回の上演で新たに加えた曲はほとんどないのではないかと思われるほど。それに、「こうもり Die Fledermaus: The Bat」からだけではなく、「雷鳴と稲妻」も使っていた。
谷正純は以前オペレッタ「ジプシー男爵」を書き換えている。これは結構よく出来ていたが、本編とは何の関係もなりプロローグが着いていること、シュトラウスの音楽とこの公演の為に付け加えた音楽が木に竹を接いだようになっていた事が、欠点だった。今回このような事は無かった。シュトラウスの音楽をほぼ全編にわたって使い、なんの違和感もない。これは作曲・編曲者の功績が大きい。去年上演された「アイーダ」は原作の音楽を全く使っていないし、台詞劇「アマデウス」はモーツアルトの音楽をふんだんに使うのにミュージカル「モーツアルト！」はほとんど使わない。原作の音楽を使って、ここまで何の違和感もなく面白く作るのは結構難しい事ではないだろうか。
まず、プロローグは原作が始まる前の前の出来事が丁寧に描かれている。パーティで酔っ払ったアイゼンシュタイン（紅ゆずる）とファルケ（北翔海莉）が公園でくだまいている。アイゼンシュタインが、酔っ払って「ロロ、ドド、ジュジュ」と歌う所は笑えた。こんどは紅にダニロを歌ってもらおうか。
物語は原作とほぼ同じように進行していく。ただ、アイゼンシュタインの妻ロザリンデの扱いが軽い。その分、小間使いのアデーレ（妃海風）が重くなっている。原作でアデーレのアリア「Ja, sehr komisch, ha, ha, ha」はコロラトゥーラの聞かせ所があり、ロザリンデが歌う「チャールダッシュ」は難しいので、この上演ではカット、又はオリジナルに書き換えると思っていた。しかし、ほとんどそのまま歌っていた。これには驚いた。勿論本職のオペラ歌手のようにはいかないが、よくここまで歌えたと感心した。それにチャールダッシュを二重唱にしたアイデアは面白い。
またここではアルフレード（礼真琴）がアイゼンシュタインの執事となっている。しかし、アイゼンシュタインと間違って刑務所長フランク（十輝いりす）が連れて行く所は同じ。喜劇・笑劇という所が強調され全体にギャグがよく効いている。一番笑えたのは、刑務所のシーン。アルフレードが牢屋から出てくる所。ただ、喜劇は間が大切だが、初日のせいかもう一つツボをつかめてない感がある。これも日を追ってよくなる事だろう。
全体に歌唱はよく出来ていたが、妃海以外の娘役はことごとく発声に難が見られる。早い話が高音がぶら下がるのだ。
ただ、これも初日のせいだろうが、ワルツもポルカもどこかぎこちない。まだ、シャンパンの泡、という所までいっていない。これは日を追って良くなる事だろう。
ショーは「THE ENTERTAINER」と題し演出家野口幸作の大劇場デビューとなる。エンターテイナーは誰か、それは北松海莉に他ならない、と言う意味のショーであった。指揮はいつもの大八木靖。伝統的な、幕の振り落とし、チョンパと言うような演出とこの人ならではの大胆な演出が混在して結構楽しめた。
最初は録音、なんや録音か、と思っているとまもなく大八木の棒が動く。宙乗りでトップの北翔が出てきてプロローグ、なんとも華やかな出だしだ。最初から奥に階段が位置している。総踊り、紅ゆずるの歌の後、102期生が階段から出てくる。階段で「１０２」と人文字を作っているのが一興か。それからロケットダンスとなる。客席からの拍手が暖かい。
北松海莉は、106歳の老爺から赤ん坊、ピアノ弾き語りまで八面六臂の活躍を見せる。「ショーほど素敵な商売はない」から「ブロードウェイの子守唄」、そして本舞台花道を全部使った出演者全員によるロケットダンスは迫力満点だった。
僕は初日を見るのは初めて。最後、幕降りるが途中で止まり、もう一度上がる。それからネット配信でよく見ているような、組長、トップの挨拶があった。生で聞くとなかなか良いものである。カーテンコールは２回。２回目のカーテンコールの時やっと客席が明るくなる。
この公演はもう一回チケットを取っている。次回がどうなっているか楽しみだ。
場所はいつものB席14列91番。初日と言う事で満席。立ち見も出ていた。
オーボエのAの音が聞こえて幕開きの前に、今回は初舞台生の口上がある。幕が開くと黒紋付きに緑の女袴姿の初舞台生が並ぶ。銀の扇子を使ったちょっと和風の口上だった。
さて、「こうもり」の幕が開く。作・演出は谷正純。指揮者は、初めて聞く名前、この人棒を使わない。でも、オケボックスから的確に指示を出しているのがよくわかった。まずは、プロローグ。序曲をそのまま使っているのに驚いた。今回、シュトラウスの音楽をふんだんに使っている。今回の上演で新たに加えた曲はほとんどないのではないかと思われるほど。それに、「こうもり Die Fledermaus: The Bat」からだけではなく、「雷鳴と稲妻」も使っていた。
谷正純は以前オペレッタ「ジプシー男爵」を書き換えている。これは結構よく出来ていたが、本編とは何の関係もなりプロローグが着いていること、シュトラウスの音楽とこの公演の為に付け加えた音楽が木に竹を接いだようになっていた事が、欠点だった。今回このような事は無かった。シュトラウスの音楽をほぼ全編にわたって使い、なんの違和感もない。これは作曲・編曲者の功績が大きい。去年上演された「アイーダ」は原作の音楽を全く使っていないし、台詞劇「アマデウス」はモーツアルトの音楽をふんだんに使うのにミュージカル「モーツアルト！」はほとんど使わない。原作の音楽を使って、ここまで何の違和感もなく面白く作るのは結構難しい事ではないだろうか。
まず、プロローグは原作が始まる前の前の出来事が丁寧に描かれている。パーティで酔っ払ったアイゼンシュタイン（紅ゆずる）とファルケ（北翔海莉）が公園でくだまいている。アイゼンシュタインが、酔っ払って「ロロ、ドド、ジュジュ」と歌う所は笑えた。こんどは紅にダニロを歌ってもらおうか。
物語は原作とほぼ同じように進行していく。ただ、アイゼンシュタインの妻ロザリンデの扱いが軽い。その分、小間使いのアデーレ（妃海風）が重くなっている。原作でアデーレのアリア「Ja, sehr komisch, ha, ha, ha」はコロラトゥーラの聞かせ所があり、ロザリンデが歌う「チャールダッシュ」は難しいので、この上演ではカット、又はオリジナルに書き換えると思っていた。しかし、ほとんどそのまま歌っていた。これには驚いた。勿論本職のオペラ歌手のようにはいかないが、よくここまで歌えたと感心した。それにチャールダッシュを二重唱にしたアイデアは面白い。
またここではアルフレード（礼真琴）がアイゼンシュタインの執事となっている。しかし、アイゼンシュタインと間違って刑務所長フランク（十輝いりす）が連れて行く所は同じ。喜劇・笑劇という所が強調され全体にギャグがよく効いている。一番笑えたのは、刑務所のシーン。アルフレードが牢屋から出てくる所。ただ、喜劇は間が大切だが、初日のせいかもう一つツボをつかめてない感がある。これも日を追ってよくなる事だろう。
全体に歌唱はよく出来ていたが、妃海以外の娘役はことごとく発声に難が見られる。早い話が高音がぶら下がるのだ。
ただ、これも初日のせいだろうが、ワルツもポルカもどこかぎこちない。まだ、シャンパンの泡、という所までいっていない。これは日を追って良くなる事だろう。
ショーは「THE ENTERTAINER」と題し演出家野口幸作の大劇場デビューとなる。エンターテイナーは誰か、それは北松海莉に他ならない、と言う意味のショーであった。指揮はいつもの大八木靖。伝統的な、幕の振り落とし、チョンパと言うような演出とこの人ならではの大胆な演出が混在して結構楽しめた。
最初は録音、なんや録音か、と思っているとまもなく大八木の棒が動く。宙乗りでトップの北翔が出てきてプロローグ、なんとも華やかな出だしだ。最初から奥に階段が位置している。総踊り、紅ゆずるの歌の後、102期生が階段から出てくる。階段で「１０２」と人文字を作っているのが一興か。それからロケットダンスとなる。客席からの拍手が暖かい。
北松海莉は、106歳の老爺から赤ん坊、ピアノ弾き語りまで八面六臂の活躍を見せる。「ショーほど素敵な商売はない」から「ブロードウェイの子守唄」、そして本舞台花道を全部使った出演者全員によるロケットダンスは迫力満点だった。
僕は初日を見るのは初めて。最後、幕降りるが途中で止まり、もう一度上がる。それからネット配信でよく見ているような、組長、トップの挨拶があった。生で聞くとなかなか良いものである。カーテンコールは２回。２回目のカーテンコールの時やっと客席が明るくなる。
この公演はもう一回チケットを取っている。次回がどうなっているか楽しみだ。
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コメント(4)
2回目を４月２日に見てきた。
初日に見た時よりもすべて上手くなっている。まず、オケが上手くなっていた。指揮者は寺嶋昌夫。この人クラシック、ミュージカルを問わず、トランペッター、指揮者として活躍しているとか。そういう人だからこそ「宝塚版」の「こうもり」が振れたのだろう。ポルカは申し分ない、特に「トリッチトラッチポルカ」はとても良かった。ただ、ワルツはもうすこし粘りが欲しい。でも、実際に踊る、と言う事を考えると、これくらいの方がかえっていいのかも知れない。ウィーン版の「エリザベート」でもワルツはあっさりしていたから。それに、寺嶋氏、初日より愛想良くなった。
"Ja, sehr komisch ha ha ha" と 「チャールダッシュ」は、高音が出るだろうか、コロがるところが上手くいくだろうか、はらはらするがなんとか初日よりは安定してきている。ただ、この難曲を宝塚の生徒に歌わせる事については賛否両論あるだろう。僕としては、この曲に挑戦し曲がりなりにも歌えている事を評価したい。
この芝居は喜劇と言う事もあって、間が良くなってきている。それに、星条海斗のオルロフスキー公がはぢけてきた。ただ、オルロフフキー公はキレたら怖い人らしく、従僕が戦々恐々としているところがまた面白い。
ショーはそんなに変わったと言う印象はなかった。最初から完成度が高かったのか。プロローグからパレードまで、すべてが見どころのショーになっている。
初日に見た時よりもすべて上手くなっている。まず、オケが上手くなっていた。指揮者は寺嶋昌夫。この人クラシック、ミュージカルを問わず、トランペッター、指揮者として活躍しているとか。そういう人だからこそ「宝塚版」の「こうもり」が振れたのだろう。ポルカは申し分ない、特に「トリッチトラッチポルカ」はとても良かった。ただ、ワルツはもうすこし粘りが欲しい。でも、実際に踊る、と言う事を考えると、これくらいの方がかえっていいのかも知れない。ウィーン版の「エリザベート」でもワルツはあっさりしていたから。それに、寺嶋氏、初日より愛想良くなった。
"Ja, sehr komisch ha ha ha" と 「チャールダッシュ」は、高音が出るだろうか、コロがるところが上手くいくだろうか、はらはらするがなんとか初日よりは安定してきている。ただ、この難曲を宝塚の生徒に歌わせる事については賛否両論あるだろう。僕としては、この曲に挑戦し曲がりなりにも歌えている事を評価したい。
この芝居は喜劇と言う事もあって、間が良くなってきている。それに、星条海斗のオルロフスキー公がはぢけてきた。ただ、オルロフフキー公はキレたら怖い人らしく、従僕が戦々恐々としているところがまた面白い。
ショーはそんなに変わったと言う印象はなかった。最初から完成度が高かったのか。プロローグからパレードまで、すべてが見どころのショーになっている。
AKARAZUKA Cafe Break と言う番組はKBS京都で見ることが出来る。６月10日に放送されたとき出演していたのは星組の娘役トップ、妃海風だった。
彼女はオペレッタを今度やるからと発声の先生の所に行ったとか。その時、音楽はシュトラウスそのままではなく、アレンジするとか新しく作るだろうと思っていたのだった。しかし、いざ楽譜を貰ってみると出ない音があるので発声からみっちり稽古しないとならなくなった。しかも、キーはシュトラウスそのまま。
僕は聞いていて、シュトラウスに忠実に作ってあると感じていたが、まさかキーまでそのままだとは思わなかった。その上、今回の上演では、アデーレを演じる妃海風は、原作のアデーレとロザリンデと両方のアリアを歌わなければならない。しかも、「公爵様、あなたのようなお方には」と「チャールダッシュ」、と言うオペラ歌手のテクニックを発揮する為に作られたような曲を、そのままのキーで・・・彼女に一番負担がかかっていたのだった。
妃海風は初日がくるまで上手く歌えなかったが、舞台で客席の期待を感じ上手く歌えるようになった、と話していた。いえ、僕は「期待」していたのではない。原作そのままの歌をうまく歌えるかどうか、はらはらしていたのだ。
こんどの公演で一番のお手柄は妃海風ではないか。
彼女はオペレッタを今度やるからと発声の先生の所に行ったとか。その時、音楽はシュトラウスそのままではなく、アレンジするとか新しく作るだろうと思っていたのだった。しかし、いざ楽譜を貰ってみると出ない音があるので発声からみっちり稽古しないとならなくなった。しかも、キーはシュトラウスそのまま。
僕は聞いていて、シュトラウスに忠実に作ってあると感じていたが、まさかキーまでそのままだとは思わなかった。その上、今回の上演では、アデーレを演じる妃海風は、原作のアデーレとロザリンデと両方のアリアを歌わなければならない。しかも、「公爵様、あなたのようなお方には」と「チャールダッシュ」、と言うオペラ歌手のテクニックを発揮する為に作られたような曲を、そのままのキーで・・・彼女に一番負担がかかっていたのだった。
妃海風は初日がくるまで上手く歌えなかったが、舞台で客席の期待を感じ上手く歌えるようになった、と話していた。いえ、僕は「期待」していたのではない。原作そのままの歌をうまく歌えるかどうか、はらはらしていたのだ。
こんどの公演で一番のお手柄は妃海風ではないか。
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