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友川カズキコミュの詩人友川カズキ 讃

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必ず「詩人」として紹介される友川だが、意外にその詩集を紐解く者は少ない(歌詞集とは別)。

皆さんの好きな友川詩篇を紹介してください。

左:『吹雪の海に黒豹が』(無明舎出版 1978年 画像は1981年改訂新版表紙)
中:『朝の骨』(無明舎出版 1982年 表紙・函)
右:『地の独奏』(矢立出版 1985年函)

他に『破れ犬 報復のあおき前途』(矢立出版 1986年)、『エリセの目』(矢立出版 1993年)がある。

コメント(7)

『詩集 朝の骨』、「あとがき」より

「三十二才だ。
 若くはないが老いはない。
 もうすぐ灼ける夏だ。
 声だ。
 どうあがいたところで詩の主人は私だ。
 ありのままあらん限りだ。」


人生の夏(壮年)を迎える男の覚悟(ナドトルニ足ラヌカ)。

『地の独奏』13

「思えば肉体
 みな
 地の独奏の
 さすらう所以だ
 果てなき寂寥への
 内なる砲撃だ

 その基音に
 愛想を尽かして
 魂は擦れ
 たわみ
 地鳴りの実践へと
 自らの肉体を
 はげしく呼び込むのだ」

千行詩の第13節。

初めの4行は、詩集への署名を求められる時にしばしば記す文言だ。
『吹雪の海に黒豹が』の「あとがき」より

「死んでしまえばいいと思い続けている<憎悪>が、私の内にふたつ在る。ひとつは肉親に対してであり、もうひとつは詩に対してである。形而上的にしか対峙できない始末の悪いそれを、今少し詩に表わしてみたいと思ったのは、私の性格の中にある『ゴボほり』と『でしゃばり』の所為だと思う。」

「人生に何かを投げるフォームはない。自分自身が投げる腕である、と同時に投げられる球でもあるから。自分にぶつかって生きて死んでゆくのであるから別にむずかしいことはないと思う。」

画像は、『吹雪の海に黒豹が』元版のカヴァ(日野 日出志)と帯文。


「四次元実験工房 6」(1985年5月 矢立出版)より

「ある夜の酒」

行きつけの
神楽坂の『もきち』で酒をあびるように酌みながら
女にあいたいと思っていた

その夜は
夜よりも暗い眼で
何かを差すようにまさぐり
嬌声だけが
下半身をなくして空を奔り廻っていた

オレは
堕ちる
どんどんどんどんどこまでも堕ちる
堕ちるほどに叫び
叫ぶほどに乱れ乱れて
やがて
ワラ束のようにふわりと軽くなって行った

故郷からも己からも一番遠いところで
ぷちんと今何かの回路が切れた気がした

それは
馬の過去の嘶きの余韻のようでもあり
苦しい大きな花びらの揺れのようでもあった

口惜しいことも
歩き始めてしまったこともほっぽり
表へ出ると
見覚えのある女が
地面に頭をこすりつけて鬼になっていた

詩集『エリセの目』(1993年8月 矢立出版)に、「神楽坂『もきち』」と改題の上所収。
この詩集は、友川が望んで絶版にしたもので、入手困難な稀本。

先日、友川さんとの対話。

友:朔太郎の詩は、私も好きだけどれど、あの詩には曲が上手く付かないんだ。何故だか、言葉の問題なのかわからないが。
夢:自らマンドリンを弾き、曲も書き、一般には音楽的な詩と言われる朔太郎ですけど。
友:そう。不思議だな。中也には曲が簡単に付くのに。
隙がないんだな。中也の詩は隙間だらけだ。朔太郎の詩には隙間がない。
夢:密度の濃い詩。
友:そう、こちらが入り込む余地がない。

この友川さんの言葉は、詩や曲の実作者の言葉だろう。
朔太郎の詩を考察する際に、実に示唆的な視点だと思う。
先日のライブ後、朔太郎の詩について。

夢:先日、朔太郎詩には曲がつかない、朔太郎の詩には隙間がないとおっしゃいましたけど、それは朔太郎のどの詩集ですか? 『月に吠える』や『青猫』ですか?
友:いや、俺は全部読んだもの。全部、すべてだよ。全て同じ。
夢:文語詩の『氷島』もですか?
友:そうだよ、全部。

とうことなのだが、朔太郎の後期詩集『氷島』の憤怒は、寂寥は、懐疑は、総じて絶叫は、友川さんの心境に極めて近しいものだろう。

「漂白者の歌」を、「乃木坂倶楽部」を、「殺せかし!殺せかし!」を、「虚無の鴉」を、「我れの持たざるものは一切なり」を、友川さんの声で聴いてみたいのは、私だけではないだろう。

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