それは、字を書くときに、
「あ」と「8」と「a」が、しばしば混線してしまうことである。
最も多いのが、「あ」と書いたつもりで実は「8」と書いているケースである。
原因はわかっている。それは、
半世紀も昔に読んだ「八点鐘」(モーリス・ルブラン)所収の「斧を持つ貴婦人」である。
女性を狙った連続殺人事件。8日ごとに、誰かが斧で頭を叩き割られるのである。
その終盤、真相を突き止めた主人公(ルパン)は、犠牲者たちの選ばれ方とその殺害方法を、このように推理(というか断定)したのだ。
「なぜあの女たちを殺して他の女たちを殺さないのか、理由はあの女たちのクリスチャン・ネームがH(アッシ)で始まって、しかも八文字から成っているからです! よくお聞きくださいましたか、総督閣下、文字の数は八つです、頭文字はアルファベットの八つ目の文字です、そしてこの八(Huit)という文字も同じくHという字で始まっています。どこまでもHという文字です。しかも責め道具に用いられたのは一丁の斧(Hache-アッシ)でした。これでもまだあなたはおっしゃるでしょうか、『斧を持つ貴婦人』は狂女ではないと」
これは、恐ろしかった。
これが私のトラウマとなったのだ。
これ以来、私の頭の中では(「h」を介して)
「(アッシの)あ(または「a」)」と「8」が混線してしまうようになったのだった。
廃墟通信、更新しました。
http://www.kurata-wataru.com/ruin/ruinc44a.html
(今週号の目次は、
2024年04月01日:軽にする?
2024年04月02日:「シュルレアリスムと日本」展/「ほとけの国の美術」展
2024年04月03日:4〜5月の展覧会観覧予定
2024年04月04日:結局マーチ [;^J^]/こども自然公園
2024年04月05日:大岡川プロムナード
2024年04月06日:草むしり
2024年04月07日:「北欧の神秘」展/「大吉原展」
です。)
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