18960310 NO4691 露国軍艦および露国汽船出没の件
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010_0030_0250 駐韓日本公使館記録 10巻 参. 機密各館往復 (25) 露国軍艦および汽船出没の件
文書題目 (25) 露国軍艦および汽船出没の件
文書番号 機密第二号
発信日 明治二十九年三月十日 ( 1896年 03月 10日 )
発信者 在元山 二等領事 二口義久
受信者 在京城 弁理公使 小村寿太��
(25) 露国軍艦および汽船出没の件
機密第二号
先日来、露国軍艦「マンジユール」号ならびに捕鯨汽船「ニコライ」号、外一隻(船名不詳)が時々当港（＊元山港）に来て何か偵察しているもののようでありますが、最近その出没が益々激しく、北は新浦（シンポ）、吉州（キルジュ）、南は通川（トンチョン）、江陵（カンヌン）などに至り、その乗組員などがしきりに流言していると言う。
流言の内容を聞くと無知の人民に向って「日本人は先に王妃を殺し、今また国王に危害を加えようとしていることが発覚し、国王は我が公使館に難を避けられている。もし国民がこの事を黙視していたなら最後には朝鮮は日本国に奪われるであろう。よって露公使は国王を保護し、新政府を組織して日本人を排斥することとしたので、既に京城（キョンソン）・仁川（インチョン）・釜山（プサン）には（＊日本人は、か）一名も存在しない。それなのに土民は何故元山（ウオンサン）の日本兵を追い出さないのか。もし土民の力が及ばないときは我が兵隊に打ち払わせよう。」など種々の蜚語（ひご ＊根拠のないうわさ）を放ち、そうやって各地の土民を扇動するので、土民はますますこれを信じ、地方官はこれらを勧諭することなく、かえって恐慌して逃走し、あるいは自家の安全を図りって暴徒に一味するので、民心は一般にいよいよ本邦人を憎悪する度を高め、現にこれまで汽船が往復していた咸鏡（ハムギョン）、江原（カンウオン）の各沿岸地方においても、特に日本に対する世間の評判が悪くなっており、廻漕上の影響が少なくない趣きであります。
以上は最近咸北（＊咸鏡道北部）諸岸経由で入港の郵船会社代管利運会社汽船「蒼龍号(船長を始め主な役員は日本人である)」乗組員などの所説であり、またこの地の方面から元山に帰って来た我が行商などの話に拠ってもまた同様であります。よってこの段御参考までに内報に及びます。
明治二十九年三月十日
在元山 二等領事 二口義久
在京城 弁理公使 小村寿太�� 殿
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