18960108 NO4688 露国陸軍士官が釜山に来港し陸路京城に向った件
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010_0030_0220 駐韓日本公使館記録 10巻 参. 機密各館往復 (22) 露国陸軍士官来港、陸路京城に向った件
文書題目 (22) 露国陸軍士官来港、陸路京城に向った件
文書番号 機密第二号
発信日 明治二十九年一月八日 ( 1896年 01月 08日 )
発信者 在釜山 一等領事 加藤増雄
受信者 在京城 弁理公使 小村寿太��
(22) 露国陸軍士官来港、陸路京城に向った件
機密第二号
先月二十日長崎より入港の郵船会社汽船「伊勢丸」で露国陸軍大佐・ウラジミール＝ペトロヴヰチカルネーヱツなる者が副官一名・コザク兵四名・露化（＊ロシア帰化、か）朝鮮人二名を引率して当地釜山に到着。いつものように米人・スミスの家に宿泊し、観察使並びに税関長などの世話でもって馬匹を購入し、馬夫を雇い、観察使からは沿道の各地方官に宛てた「諸事便宜を与えよ」との公文を貰い受け、使府の使丁・金徳成（キムドクソン）という者を道案内に出してもらい、去る二十六日当地を出発致しました。
当地滞在中、先方より訪問があった。本官がこれに答訪し、懇篤に必要の諸事を世話したいと申し入れ、またちょうどクリストマス祝祭（Christmas ＊クリスマス祝祭）に遭遇したので、税関長の茶席や晩餐に招かれました時も、常にこれと同席し種々談話致しました結果、大略次のようでした。
旅行目的 「前回のソコウニンの一行と同じく、露国地学協会黒龍江省支部に付属の物品陳列所のためこれを採集することが目的である」と公言し、ことさらに当港（＊釜山港）近海における魚類の見本を得る事を本官に依頼していた。
旅行の道順 前回ソコウニンの一行は、日本の兵站線路に沿って京城に向った。今回は「重複を避け別路を取り、先ず東海岸に沿って各地にある日本の古城址を一見し、それよち京城に向う」と云う。現に二三日前、蔚山（ウルサン）・彦陽（オニャン ＊「現在の蔚山広域市の西部にあたる」）地方から帰って来た日本人の談話に拠れば、ロシア隊のうち一隊は彦陽におり、一隊は蔚山にあって頻りに測量に従事して居た、と言うので、察するに一隊は彦陽より慶州（キョンジュ）に出、一隊は蔚山より東岸に沿って迎日湾（ヨンイルマン）に至り、更に慶州に出て合流し、そこから永川（ヨンチョン）、義興（ウィフン）、安東（アンドン）、栄川（ヨンチョン）などを経て京城に進行中の事と思われる。
一行の旅装 大佐、副官いずれも通常旅客の服装、コサック兵四人は武装、露化朝鮮人二人は洋服、観察使よりの付添い一人、都合九人で、馬匹が十二頭である。そして前回と異なる所はコサク兵四人が皆武装していたことの一事である。
以上御内報に及びます。 敬具
明治二十九年一月八日
在釜山 一等領事 加藤増雄
在京城 弁理公使 小村寿太�� 殿
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