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2021年05月16日12:06

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死にたい夜にかぎって

5月16日(日)晴れのち雨のち曇り←午前中時点
ツィッターに上がってきてた爪切男さんの「クラスメイトの女子、全員好きでした」を試し読みしてみた。
いつまで読めるか知らんが、リンク貼っておくので読んでみて。
ワタクシは、すごく面白いと思った。
まえがきと第1章だけですが。
『クラスメイトの女子、全員好きでした』第1章「傘をささない僕らのスタンドバイミー」
簡単に言うと、主人公は変人で厳格な父親から「男たるもの傘なんかささない」教育を受ける。
嵐が過ぎた日の午後、荒れた川を見に行くとクラスの女子新井さんも見に来ていた。
彼女も「傘をささない」人間だ。
二人で荒れ狂う川を見ている。そうこうしていると、スタンドバイミーみたいな事件が起こり、二人で堤防を走る。
そして滝壺のようなところまで来た時、主人公が「怖いな」と言う。新井さんは「こういう場所は綺麗やと思う。」
新井さん「なんで濁った水が汚いの?赤色も黄色も濁った色も全部同じ色よ。」
雨上がりの空に虹が出て、主人公が「虹だ!綺麗やなあ」と言うと・・・
新井さん「虹は嫌いよ。言うたやん、綺麗な色を好きな人ばかりとちゃうんよ。」

主人公小学二年生の時の話だ。
ワタクシにはこういうのが足りない。
いや、避けてきたのかもしれない。
少々の個性はあっても、どこか自分に似た、安定した人達としか交流を持たないで生きてきた。
虹が嫌いな、(それも女子で!)人がいるとは想像さえしていなかった。
それもこんなに小さな頃から。
いろんな人がいるよなあというのは、さすがに大人になってくると思うことだ。
そして、できれば、そういう「いろんな人(←否定的な意味)」とは関わらないようにしている。

ふーっとため息ついて、すぐに図書館の予約検索に「爪切男」をかける。
で「死にたい夜にかぎって」を入手し、一気に読んだ。
こりゃまた一段とハード過ぎて、56歳の、まあまあ常識的に生きてきた女には荷が重い。
娘に試し読みを進めたことすら後悔するほどだ。
我が娘は「なんかイマドキっぽい感じがする(←イマドキからほど遠いものが好きなタイプ)
ドラマ化されているくらいだから面白いのだろうけれども。」と相変わらずクールな反応であった。
が、読み終えて思うのが、ワタクシの百倍、娘の周りには変人を含め、良い悪い含め、いろんな人がいるよなあと。
そんな彼女がこれを読むと、「ふうん。○ちゃんみたいな恋愛ね。」的な感想を持ったりするんだろうな。
が、ワタクシ的にはまず「こんな女がおるんか!?」
いや、主人公(=作者 限りなく自伝的小説だろうから)の人生も「まぢで?大変やなあ〜」と同情したり憐憫したりはするものの、どこかで男っちゅうもんはわからんという諦めの気持ちが底辺にあるので、そこらはさらりと読み流せる。
でも出てくる女たち一人として同情も尊敬も可愛いとも思えない。
特に主人公と6年間同棲したアスカちゃんには「ええっ!?振るんだ!鬱病の大量の薬を減薬する為、共に闘ってくれた彼を捨てるんだ。浮気しても浮気しても許してくれてた彼をあなたがフルんだ。病気で働けない時期、ずっと昼夜働いて養ってくれた彼を捨てるんだ。」という驚きしかなかった。
さらにはこのアスカちゃんが、好きな人と結婚までして幸せに暮らしている、という衝撃。
この、逆パターンは芸能ニュースで見かけたりする。
糟糠の妻を捨て、アイドルやら女優やらと再婚する漫画家、ミュージシャン、俳優達・・・
これは、まあ、どこかでまだ「男社会」の世の中のせいか。
男は黙って捨てられておかないと、少しでも泣き言言うと「女々しい」と逆に叩かれるからかもしれない。
ワタクシみたいな逆セクハラ大王から。
そんなこと思いながら読み終わる。

そして・・・あとがきを読んで・・・
う〜ん、そりゃしょうがないねえと思う。
この本を出そうということになった時、作者はアスカちゃんを呼び出して「書いていいか」と了承を取るのだがその時に「俺のいいところはどこだ」と聞かれたアスカちゃんが言った言葉。
「どんなに辛いことがあっても『まあいいか』で済ませるところだね。あれはすごい。」彼のいいところをそう表現した後、
「うん、すごすぎる。苦しいことに鈍感なんだよね。でも、それと同じぐらい幸せにも鈍感だからダメなんだけどね。」
うわ〜わかる。
「幸せに鈍感な人」ってダメだよね。
今までずっと嫌な女だった「アスカちゃん」を急に見直す。
あなたの人生の歩き方は、いろいろ問題も多かっただろうけど、結婚相手のチョイスは正解だったと思うよ。
六年一緒に暮らしても、彼とは一緒に幸せを感じられなかったんだよね。
いや彼は彼なりに幸せを感じる事はあったんだろうけど、「一緒に」とか「タイミング」とか「言葉で言う」とかのズレをずっと彼女は感じていたんだろう。
そりゃずっと一緒にはいられないな。
そしてその反動で、「幸せに敏感な人」と一緒にいる幸せを見つけてしまったんだろうな。
「あとがき」書いてくれてよかったよ〜
また人を片方の面からだけ見てしまうところだった。
と、不思議な読後感を感じつつ本を閉じる。
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