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2021年03月23日03:46

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地震計算、地殻変動

ナビエ–ストークス方程式(ナビエ–ストークスほうていしき、英: Navier–Stokes equations)は、流体の運動を記述する2階非線型偏微分方程式であり、流体力学で用いられるアンリ・ナビエとジョージ・ガブリエル・ストークスによって導かれた。日本語の文献だとNS方程式とも略される。ニュートン力学における運動の第2法則に相当し、運動量の流れの保存則を表す。



導出
流体の質量と運動量の保存則を表す連続の方程式

フォト

フォト


から、流れの速度場 v のラグランジュ微分は

フォト


と導かれる。ここで ρ は密度場で、σ は応力場、g は流体の質量あたりに作用する外力場(加速度場)である。

ニュートン流体を仮定すれば、応力場が

フォト


で与えられる。ここで p は圧力(静圧)で、χ は体積粘性率、μ は剪断粘性率である。e は対称化した速度勾配で、デカルト座標の下で成分表示をすれば

フォト

で表され、Θ は速度場の発散


フォト


である。

この形の応力場を用いると、速度場のラグランジュ微分が
フォト

で与えられる。この方程式がナビエ–ストークス方程式である。

速度場のラグランジュ微分の第二項は対流項(移流項)と呼ばれる。対流項はベクトル解析の公式により

フォト

と変形することができる。ここで ω は速度場の回転

フォト

であり、渦度と呼ばれる。

単純化した方程式
ナビエ–ストークス方程式は複雑過ぎるが故に解を求めることは困難である。このため、いくつかの仮定をして問題を単純化することが多い。しかし単純化された方程式でも解析的な解法は知られておらず、数値的解法が必要であることが多い[注

非圧縮性流れ
非圧縮性流れでは、速度場の発散 Θ がゼロなので、速度場の発散を含む項を落として
フォト

となる。

粘性率が一定の流れ
粘性率 μ や χ は温度や圧力の関数であり一定ではないが、多くの場合に粘性率は一定とみなされる。 この場合は粘性率の勾配を含む項を落として
フォト

となる。また、体積粘性率 χ は小さいので、χ = 0 に選べば

フォト

となる(ストークスの仮説)。ここで ν = μ/ρ は動粘性率である。

粘性率が一定の非圧縮性流れ
粘性率が一定で非圧縮性の流れでは

となる。ここで ν = μ/ρ は動粘性率である。

ストークス流れ(クリープ流れ)
流体の速度が遅かったりスケールが小さいなど、レイノルズ数が小さい場合に、非線型である対流項
フォト

が無視できて


となる。この式はストークス方程式(Stokes equations)と呼ばれている。
オイラー方程式
粘性のない(χ = μ = 0)流れでは
フォト

となる。この式はオイラー方程式と呼ばれている。

ポテンシャル流れ
渦度(速度場の回転)がない流れ
フォト


の場合には、ベクトル解析の定理により
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となる速度ポテンシャル Φ が存在する。

近似
ブシネスク近似
熱輸送を伴う流れにおいて、温度による密度変化が大きくないとして扱う近似法をブシネスク近似という。
境界層近似
流れが主流方向を持ち(逆流、再循環および剥離がない)、幾何的な変形が緩やかなときに行う近似法を境界層近似という。
一般解
しばしば用いられる条件である、非圧縮性流れ (incompressible flow)ρ = const. の場合、ナビエ–ストークス方程式は
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;は動粘性係数である。各項はそれぞれ、

左辺 - 第1項:時間[微分]項、第2項:移流項(対流項)
右辺 - 第1項:圧力項、第2項:粘性項(拡散項)、第3項:外力項
と呼ばれる。外力項には、状況によって、重力をはじめ浮力・表面張力・電磁気力などが該当する。

上記の、非圧縮性流れに対するナビエ–ストークス方程式は、未知数として圧力
を含んでいる。したがって未知数決定に必要な方程式の数が足りない。そこで、質量保存則から導かれる連続の式(非圧縮性流れについては次の形)

フォト

と連立することによって、原理的には解くことが可能である。もし一般解が求まれば、流体の挙動を完全に知る事ができることになるが、未だに一般解は発見されていない。また、解の存在可能性についても明らかとはなっておらず、物理学と数学の両方に跨る重要な課題の一つとなっている(ミレニアム懸賞問題、ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ参照)。従って、極めて特殊な制約条件の問題を除いて数値解析によって近似的に解を求める。

数値シミュレーション
流体の数値シミュレーション(数値流体力学、CFD)では、このナビエ–ストークス方程式と連続の式、その他必要に応じてエネルギーの式(熱対流)やマクスウェルの方程式(電磁流体力学)、状態方程式などを連立して、数値的に解くことで流体の挙動を予測する


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