■三代目JSB・山下健二郎、鈴木おさむ監督の「見どころはイケメンゾンビのアップ」発言に「え、主演俺やねんけど」
(M-ON! MUSIC - 07月18日 18:10)
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■三代目JSB山下健二郎、主演作封切りに安堵 同日公開の「今日から俺は！！」ライバル視＜八王子ゾンビーズ＞
(モデルプレス - 2020年07月18日 12:45)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=137&from=diary&id=6162648
『今日から俺は!!』をライバル視してるって主演の山下健二郎が息巻いていらっしゃる。ファンの方には残念なお知らせであるが、『八王子ゾンビーズ』の興行収入成績は、ベストテンにすら入らない惨憺たるもの。元々公開規模が全国60館程度で、全国350館の『今日俺』とは比べものにならない。
かてて加えて、日本映画においては「舞台の映画化」ってのは「鬼門」の一つで、なかなかヒットしないんだよ。先日の『星屑の町』も殆ど話題になってない。過去半世紀くらいの歴史を振り返ってみても、舞台の映画化でヒットしたのって、つかこうへいの『蒲田行進曲』とか串田和美の『上海バンスキング』とか、数えるほどしか見当たらない。
そもそも「演劇ファン」って層が、この国ではクラスターができるほどには充実してはいないからね。その数少ないファン層だって、自分の好きな舞台が映画になったからって、映画館まで足を運ぼうとはしないのだ。ヒットさせようと思ったら、題材が果たして映画向きかどうか、そういう根本的なところから考慮しなきゃならないと思うんだけど、本作には、どうもそうした「知恵」を働かせた気配がない。
そもそもの企画が、テレビドラマ版の第１話で、勝矢に「『ウォーキングデッド』がヒットしたからって、その人気にあやかろうとして」みたいなセリフを言わせていたとおりの「柳の下の泥鰌」をねらったキワモノなのだ。『カメラを止めるな！』の大ヒットの影響もあるかな。はっきり言って、「安易すぎるほどに安易な企画」である。
『八王子ゾンビーズ』のオリジナルである舞台公演が行われたのは、2018年のこと。その後、「ゾンビものコメディ」は、わずか２年の間に、『ゾンビランドサガ』や『ゾンビランド:ダブルタップ』、『デッド・ドント・ダイ』などが制作されているから、いささか食傷気味ですらある。よっぽどの工夫がなければ、集客を望めそうにないのは自明だったのだ。
タイトルもあえてダサさをねらったのだろうが、完全にハズしてしまっている。
イケメンゾンビが８人も出るから「�猗��甓�子」なわけね。一応、舞台も八王子ってことにしてるけど、映画中、目立った名所は紹介されない。「希望寺」という架空の寺以外、ロケも殆ど行われていないから、八王子らしさみたいなものも感じられない。
もっとその土地なりの地域性・特徴を打ち出していれば、一般の映画ファンへの訴求力も高かっただろうし、「聖地巡礼」で話題を呼ぶこともできただろうに、なぜそうした工夫を考えなかったのだろうか。実際にロケに使われたのは塩澤山寳光寺という西多摩郡日の出町にある寺で、登場している大仏もその寺にある鹿野(ろくや)大仏。八王子からはちょっと離れているのである。
つまりはタイトルに「八王子」と付けたから面白くなった、という要素がないのだ。そこが『下妻物語』や『翔んで埼玉』といった作品と決定的に違うところ。
ストーリーは、ダンサーの道に挫折した主人公が、寺に入り、ゾンビたちに「成仏するためには満月に向かってダンスしなけりゃならないから教えてくれ」と頼まれるが、寺の住職や、雇われ剣士に邪魔されて……というもの。キャストのみなさんも「意味が分からない」と困惑気味であったらしいが、実際、意味が分からない、というか、そのアイデアのどこが面白いのか分からない(苦笑)。ゾンビのダンス映画を撮りたいから、リクツを後付けでムリヤリ捻りだしただけだろうって気がする。
鈴木おさむ監督、『ハンサムスーツ』の時は、よくこんなアイデアを思いつけるものだなと感心したが、今回は残念ながら「突拍子もないからナンセンスで面白い」というほどのレベルには達していない。
加えて、コメディなのに、小出しのギャグが滑りまくっている。これも『今日俺』と比べると対照的だ。しょーもないギャグが好きな私がしょーもないと感じるくらいであるから、一般のお客さんは「なんじゃこりゃ？」状態になったのではないか。
「知ってるか？ 『やるっきゃ騎士(ナイト)』って、『騎士』と書いて『ナイト』って読むんだぜ。漢字、書けないけどな」とか、私は懐かしくて大いに受けたのだが、今時の若い人は「みやすのんき」がいかに偉大なエロギャグマンガ家であったかなど、全然知らないだろう。
他に、市長役のRIKACOのアイドル時代の水着グラビアが紹介されてたのも嬉しかったが、そんな50代男性向けのギャグばっかの作品に、若者が関心を示すわけがないのである。鈴木おさむの感性、完全に時代遅れになってしまっているのである。
ルーティーンギャグが三度も繰り返されるのは予測が付くだけに、諸刃の剣だって気づいてほしかった。１回目より２回目、２回目より３回目が漸層的に面白くなっていかなきゃ、観客には笑ってもらえなくなるんだから。だんだん尻すぼみになっていくんだものなあ。
さすがにクライマックスのダンスシーンは見応えがある。ここだけ観るのでも損はしないとは思う。でも、それならわざわざドラマ映画にしなくても、ミュージックビデオにするだけで充分ってことになっちゃうじゃないか。
ミュージカル映画として観るには、曲が少なすぎるのも欠点。そりゃ、ゾンビにダンスを教える話だから、最初はみんな全く踊れない。見せ場の作りようがないのだが、そのせいで練習シーンはすっかり冗長になってしまった。
すぐ踊れるようになるやつとそうでないやつとに分けて、それぞれのドラマを各キャラに合わせた曲でつないでいくとか、何とか工夫ができなかったものかと残念に思う。それをちゃんとやった『ゾンビランドサガ』は成功したんだから、映画化に当たって、舞台やドラマで不十分だった部分を補ってほしかったよ。
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