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2020年04月30日09:11

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「だいじょうぶだぁ」――個人事業主の拡大も?

 コロナ禍は、何となくおかしいと思っても「だいじょうぶだぁ」と曖昧にしてきた多くのことが大丈夫ではなかったたくさんのことを表に出しました。この際、曖昧にしないで直視するきっかけにできればと思います。最近の雇用形態の変化もその1つです。

 2月に映画「家族を想うとき」を観ました。
 https://www.youtube.com/watch?v=76_GaE1L7LU

 イギリスの巨匠ケン・ローチが隠居の身を翻して昨年作りました。ケン・ローチは「麦の穂をゆらす風」のように政治経済をモチーフにしつつも抒情性豊かに描写する作風が大好きですが、今回は切なさがシビアに迫ってきてしんどかったです。

 イングランド北部の町ニューカッスル。失業したリッキーは職を転々とした末にフランチャイズの宅配ドライバーになりました。割り当てられた区域を自己所有のバンで日に14時間労働。出退勤とノルマを厳格に管理された完全な被用者ですが、法的には請負契約の個人事業主です。勤務中の事故も自己負担、息子の不祥事で学校に呼び出されやむなく欠勤すると高額な違約金を払わせられます。

 介護福祉士の妻は訪問介護に12時間費やしても、訪問時間6,7時間分の賃金しか出ません。夜間の急な呼び出しもあります。狭いアパートで窮屈に暮らし両親と顔を合わせる時間も足りない子ども2人も荒れてきます。

 家族みんなのためを想って懸命に役割りを果そうとする4人ですが、過酷な両親の仕事が家族のまとまりを許さず、家族崩壊に至ります。その崩壊に自暴自棄になり人間崩壊も示唆されるリッキーを弱いと責められるでしょうか。

 原題「Sorry We Missed You」は両親の声にならない絶叫です。

 雇用契約を請負契約に切り替える動きは世界的です。コロナ危機で拡大すると思います。日本でも宅配ドライバー、ITエンジニア、ホテルの支配人、(元からそうである)コンビニ店主と無間地獄が拡散しています。

 3月末に改正された高齢者雇用安定法は、「就業」に請負契約を含ませました。この法律を突破口にして、労働基準法や最低賃金法が適用される雇用契約から実体はそのままで自己責任の請負契約に切りかえ、労働組合による交渉も排除する請負契約に転換させることを自公政権は推進しています。個人事業主という「働かせ方改革」ではないでしょうか。個人事業主はコロナ禍にみられるように簡単に首を切ることができます。雇用「安定」という法律の名称は国民を騙すフェイクでしょう。ケン・ローチが言うように家庭とその成員も破壊します。

 資本主義が始めた雇用契約という「近代」の否定です。
労働者を切り捨て、摩耗することでしか活路を見い出せなくなった株主資本主義、金融資本主義の現れのように思われます。

 今朝のニュースでは、イギリスのコロナによる死者が一挙に4000人増えました。病院外の死者をカウントしていなかったとか。リッキーのような下層の人たちの犠牲が多いです。

 コロナ禍で国内外が大きく変わります。どう変わるのか、人間味のある連帯する社会にしたいものです。

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