お疲れ様です。
そういえばバッタ博士の話を書く、と宣言してから一回しか書いてないな、と気づきまして。
次の話。
アフリカに渡った若き日本のバッタ博士はバッタを研究するためにバッタを捕まえなければいけません。
捕まえるためにはバッタを見つけなくてはならない。
博士の研究を阻んだ最初の壁は。
バッタ・・・いねぇ・・・
だそうです。
大群が発生するためには色々な条件があるらしく。
普段は広大なアフリカを探しても一匹一匹が孤独層、と呼ばれる状態で好き勝手気ままに生きていて例えば1Km範囲内に1匹又は0匹しか居ないこともあれば。
まばらに数十匹、数百匹、とランダムガチャ要素が多いそうです。
なのでバッタ博士は相棒のアフリカ人と一緒に車を降りてある小さな村の近くでバッタを探してみます。
遊びじゃないんだ。
本気なんだ。
そんな感じで大の大人二人が20分掛けて歩き回って戦果。
2匹。
これはあかん、となったそうです。
実験をするためにはある程度のサンプル数が要ります。
それでどうしようか、と頭を抱えていたら水たまりで遊んでいる現地の子供たちが目に入ったらしく。
そうだ、子供たちに頼めばいいんだ、となったらしく。
早速相棒に通訳をしてもらい、交渉をします。
バッタ一匹につき日本円換算で約300円。
どうだろう?
と。
現地の子供達はまさしく一目散に蜘蛛の子を散らすように草むらへ駆けて行ったそうです。
まぁ、10数匹捕まれば相棒と二人で探すよりは効率的?とか話していたら5分と経たずに一人の子供が戻って来て『見つけた』と握った右手には確かに一匹のバッタ。
『早ッ!!』
日本語とフランス語で二人は異口同音に叫んだそうな。
ありがとう、お駄賃な、と現地通貨で最も価値の低い紙幣で支払っているとすぐにその後ろに二人ほど並び『見つけた、見つけた』と。
我々は現地に住む地元を知り尽くしたジモティーのバタ発見能力を侮っていた、と博士は後に後述します。
あっという間に支払える紙幣が無くなってしまい、日本でいう万札や五千円札しかなくなってしまいますがそんな簡単には両替など出来ない。
子供達は次第にヒートアップしていき早くお駄賃を支払え!と二人の脛を狙ってローキックをかまして来ます。
『分かった、分かった。ならここに籠を用意するから。バッタをまとめて入れたら数を申告しなさい。ノートにメモでカウントしてまとめて大きなお金で払うから』
世の中に『経理』という概念が産まれました。
そのシステムが構築されている間にも子供たちは続々とバッタを見つけてきては両手で覆った数匹のバッタを籠に入れて『5匹入れた!』と自己申告します。
ん?今3匹くらいしか入っていなかったような。。。?
そうして博士が子供たちに囲まれながら相棒が申告された数をメモしつつバッタを受け取っている姿を眺めていると異変に気付きました。
おかしい。
メモによるとカウントされている合計は100を超えているのに籠の中のバッタはどう多めに見積もっても50匹を超えていない。
世の中に『不正』という概念が産まれました。
当たり前ですが村の周辺に居るバッタの数は有限です。子供達が辺りのバッタを乱獲(?)したせいで中々バッタが見つからない子も出てきます。
体の大きな子が小さな子のバッタを殴って『寄越せ!』と強奪し持ってくるではありませんか。
世の中に『暴力』という概念が産まれました。
流石にこら!駄目だぞ!と叱るものの。
そうか、見つからないなら奪えばいいのか。と気づいた子供たちは暴動のようにバッタを奪い合います。
そうか、こういうのを地獄絵図というのか。
博士は学びました。
仕方ないので高額紙幣を2枚、信用出来そうな最年長の二人に握らせて公平に分配してくれ、と言いおいて車で逃げてきたそうです。
車を発進する際にも子供たちはガラスをばしばし叩いて『金を出せ!金を出せ!』とヒートアップしており
『ティジャニ!早く出せ!!』と叫ぶ姿は完全にゾンビ映画のそれだったそうです。
世の中は常に不安定で世界のどこかで戦争は起きていて、日本のどこかで「オレオレ、俺、俺だけど」という電話をどこかのお婆さんが受けています。
世の中って難しいんですね、という話。
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