mixiユーザー(id:7711478)

2020年03月02日15:06

70 view

【路面電車】 とさでん交通(後編)

前回の続きです。

とさでん交通の西の端「伊野」電停に到着したのは、14時半過ぎでした(2019年11月20日)。立派な駅舎付きで、電停と言うより「駅」と呼ぶのが相応しい感じです。実際に、「いの駅」という駅名標まで掲げられてありますしね(写真一、二枚目)。
乗って来た電車は、すぐ降り返して発車して行きましたので、一台待つ間に、電停付近を散策。「和紙の里」として知られる伊野市ですが、次の電車は20分後ですから、本格的な観光は無理です。それでも、裏手の小高い丘に登って、頂上の神社に参詣したり、眺望を楽しんだりしました。
ところで、電停から東に延びている本線の他に、現在は使用されていない引き込み線跡があり、レールが撤去されずに残っていたので、辿ってみると数十メートル先で途切れ、周りは駐車場になっていました。「パーク&ライド駐車場」と明記されており、ここでマイカーを停めて電車に乗り換え、高知市中心部に向かう、という利用者を想定しているようですね。そう言えば、車両内に掲げられていた路線図のあちこちに「P・R」という記号があったので、何の宣伝だろうと思っていたのですが、「パーク&ライド」の略だったか。モータリゼーション化と共に各地で邪魔者扱いされて、廃線を余儀なくされた路面電車が多い中、逆に幹線道路の混雑緩和に一役買いつつ生き残る、という手法をとっているようです。

来た路線を引き返して、「はりまや橋」電停に戻って参りました。途中、一万円札しか持っていなかった女性客の為に、運転士さんが両替を呼び掛けていたので、くずして差し上げたところ、私が渡した千円札の中に、間違えて一万円札が混ざっていたという、なんとも言いようのないミスを犯し、互いに恐縮し合う一幕もありました(汗)。
前回記したように、東西に延びる路線と南北に延びる路線が、ここ「はりまや橋」電停で交差しています。まずは、ここで乗り換えて、南端に向かうことにしました。南と言うことは、つまり、海側に向かう訳ですね。「はりまや橋」電停から、終点の「桟橋五丁目」電停までは、2.4kmしかありません。その間は全て併用軌道になります。幅の広い道路を行くと、最初の「梅の辻」電停までは鏡川を渡る関係もあって、少し距離が離れていましたが、後は、少し進んでは停まり、進んでは停まり、といった感じで「桟橋×丁目」という名前の電停が連なっています。
終点の「桟橋五丁目」電停(の直前から)だけが単線になっていまして、一線二面の構造。すぐ背後には貨物船用の大きな港が控えていますが、海との間は堤防や港湾施設があって、電停から直接、海を眺めることは出来ません。せっかくなので、電車を一台遅らせて、周辺を散歩。堤防の上に昇って、海も瞥見しましたが、なにしろ貨物用の港ですから工場のようなもので、眺望を楽しむ、といった風情ではありませんね。まあ、有名な桂浜が割に近いので、そちらへ行けば良いだけなのですが。
電停に戻ると、16時過ぎに出る電車がやって来ました。製造70年、つまり古希を祝う板が掲げられています(写真三枚目)。下校中の中学生を乗せて、すぐに折り返し、16時半には「はりまや橋」に戻ってきました。

さて、残るは「はりまや橋」から東側に向かうか、北側に向かうかの二択。東京より日没が遅い高知とは言え、この季節、17時半が限界、とみるべきでしょう。そうなると、どちらかは翌日に回すしかないのですが、実は、翌朝は11時発の飛行機に乗るので、そんなに時間が無いのです。
と言う訳で、距離の長い東側を先に片づけることに決定。ここから終点の「後免町」電停までは10.9kmあります。さて、一時間で辿り着けますやら。
先に途中までの電車が来たので、後続の電車と二台を乗り継いだのですが、二台とも、かなり混みあっていました。平日の夕方に町の中心地から遠ざかるのだから、当然と言えば当然ですが、今回の行程で「混んでいた」と言えるのは、この区間だけだったので、ちょっと不思議な感じでしたね。いや、どこもかしこもガラガラでは廃線になってしまうから、混んでいてくれて嬉しいです。
電車が高知市から、東隣の南国市に入ると、専用軌道中心となります。徐々に薄暗くなっていく窓外も、街並みよりは里山や田園風景(この辺りは二期作です)が中心となり、故に一際、暗くなっていきます。そんな中を、小中学生たちが、電停ごとにパラパラと下車していくのですが、なにしろ南国市内は、安全地帯の無い電停(車内放送では「ノーガード電停」と呼称していました。分かりやすい用語ですね)が続くので、見ていてもヒヤヒヤします。まあ、子供たちは毎日のことで慣れているんでしょうけれども。
とは言え、終点の後免町(ごめんまち)が近づくと、再び両側に建物が立ち並ぶようになります。
車内混雑で乗り降りに時間がかかった為か、後免町到着は予定時刻より少し遅れ、17時15分頃になりました。辛うじて、周辺の様子が見えるレベルの暗さです。でも、なんとか終点まで景色が見られて良かった。
この終点、電停名は「後免町」なのですが、車両前面の行き先表示板は「ごめん」と、あっさりしたものです。櫛型ホームと言いますか、一線だけなので凹型ホームとでも言いましょうか、そんな感じで行き止まりになっていて、その向こう50〜100mほどのところにもう一つ、堂々とした高架に設置された二階建て(?)の「後免町駅」が見えます。これは、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の駅ですが、ここまで一緒に乗って来たJCもしくはJKたちが、土佐くろしお鉄道の駅に向かって走る走る! 路面電車が遅れたせいですが、なにしろ、土佐くろしお鉄道の、奈半利(なはり)方面行き普通電車は一時間に一、二本しか無いので、一本遅れたら大惨事です。
……路面電車は高知市の中心街を通ってくる訳で、併用軌道区間も多いですし、五分や十分の遅れは仕方無いとおもうのですが、そんな路面電車と、一時間に一、二本のローカル線との乗り継ぎで、毎日の登下校をこなしているとは、大変な苦労ですね。時刻から言って部活か補習だろうと思いますが、頑張れ若人たち。
 気楽な老人の当方は、折り返し電車に揺られて、「はりまや橋」まで引き返します。この時も途中から混んできましたが、どうせ景色は全く見えませんし、けっこう疲れていたので、うつらうつらしていました。
18時過ぎに「はりまや橋」到着。この日は「酔鯨亭」さんで、かつお塩たたき・かつおハランボ焼き・うつぼ唐揚げ・青さノリ天ぷら・ちゃんばら貝といった高知料理を、これでもかと言うぐらい堪能しました。会計の時、「ぎょうさん食べて下さって」と感心されて(呆れられて?)しまった(恥。

翌11月21日、空港に向かう前に、唯一残った「はりまや橋」−「高知駅前」区間を片づけました。途中の電停が二つだけですので、あっという間です。はりまや橋も高知駅も交通の要衝なので、混んでいるかな?と思ったのですが、ガラガラでした。私は「はりまや橋」から北に向かったのですが、方向が逆だったのか、午前8時頃と、やや遅い時間帯だった為か。
途中の電停が二つだけですので、あっという間に到着です。併用軌道とは言え、
道幅も広いですしね。高知駅はJR土讃線の主要駅ではありますが、普通電車の停車本数はさほど多くもありませんから、駅舎内は閑散としていて、「こだま級のみが停まる新幹線駅」みたいな風情?がありました。そんな駅舎内を南から北に突っ切ってバスターミナルに出、後は空港まで一っ走りです。さらば高知、いすれまた来るよ〜。 おしまい

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する