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2019年10月18日23:57

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宇宙企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏が、人類を火星に移住させる構想と、そのための巨大なロケットと宇宙船を発表したのは、2016年9月のことだった。以来、毎年この時期には、マスク氏自身が>>

毎年変化し続けてきた巨大宇宙船の設計と、変わらぬコンセプト


10/18(金) 16:03配信

マイナビニュース


>構想の最新情報を発表するのが恒例≪




毎年変化し続けてきた巨大宇宙船の設計と、変わらぬコンセプト


打ち上がるスターシップ/スーパー・ヘヴィの想像図。この構成に至るまでには幾多の設計変更があった (C) SpaceX


宇宙企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏が、人類を火星に移住させる構想と、そのための巨大なロケットと宇宙船を発表したのは、2016年9月のことだった。以来、毎年この時期には、マスク氏自身が構想の最新情報を発表するのが恒例となっている。

【画像】現時点で最新のスターシップ/スーパー・ヘヴィの想像図

この3年で、火星移民に使うロケットと宇宙船の設計は、目まぐるしく変化し続けてきた。一方で、その機体の巨大さや、根底にあるコンセプトは変わらず、一貫している。

連載第1回では、マスク氏の考える火星移民構想と、それを実現させるために必要な4つの鍵について紹介した。

今回は、火星移民に使う巨大ロケットと宇宙船のあらましと、発表からこんにちに至る3年の間に繰り返された設計変更についてみていきたい。

火星移民をかなえる超巨大ロケット

火星に都市を造るという構想を実現するため、そしてその実現の鍵となる4つの要素を満たすため、イーロン・マスク氏率いるスペースXが2016年に出した答えが、「惑星間輸送システム(ITS)」だった。

このITSは、直径17m、全長122m、地球低軌道に300t以上もの打ち上げ能力をもつ超巨大なロケットで、これはかつてアポロを月へ送った「サターンV」(直径10m、全長110m)よりもはるかに大きく、打ち上げ能力も約2.4倍にもなる。

機体は2段式で、1段目にブースターとなる強力なロケットを置き、そのうえに宇宙船を兼ねた2段目を載せる。100人の乗員・乗客と100t以上の物資を積んだ宇宙船は、まずブースターの力で宇宙空間に送られ、分離後、自力で地球周回軌道に乗る。一方、ブースターは発射場に舞い戻って着陸し、今度は推進剤を満載したタンカーを載せて打ち上げ。タンカーは地球周回軌道上で先に打ち上げた宇宙船とドッキングし、推進剤を送り込む。ふたたび推進剤が満タンになった宇宙船は火星に向けて飛んでいく一方、タンカーとブースターは地上に舞い戻り、さらに次の打ち上げに備える。これを繰り返すことで、火星に大量の人間と物資を送り込み、都市を築くというのである。

ITSのブースター、宇宙船ともに、機体の構造には炭素繊維複合材を多用するとされ、実機と同じサイズのカーボン製タンクを試作して試験も行われた。

また、ブースターと宇宙船はともに、液体メタンと液体水素を推進剤に使う、「ラプター(Raptor)」というロケット・エンジンを搭載する。以前も取り上げているが、メタンは火星で現地調達が可能で、また性能も比較的高いといった優れた特徴を兼ね備えている。

そのうえでラプターは、高い性能を発揮するため、そして繰り返し再使用することを念頭に置いた、高いメンテナンス性や耐久性をもたせるために、「フル・フロウ二段燃焼サイクル(Full-flow staged combustion)」と呼ばれる仕組みを採用している。この技術は、開発は難しいものの、エンジンの高性能化が図れるのと同時に、エンジンの耐久性や信頼性を向上させることができ、再使用に向いている。つまり月や火星へ、人を乗せて飛行し、なおかつ再使用でコストダウンを目指すロケットにとっては、まさにうってつけの仕組みである。

ビッグ・ファルコン・ロケット、そしてスターシップへ

もっともその1年後、2017年に開催された会見では、マスク氏は設計変更を行ったとして、ITS改め「ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)」と「ビッグ・ファルコン・シップ(BFS)」を発表した。一番大きな変化は機体の大きさで、ITSの直径17m、全長122mから、BFRでは機体が小さくなり、直径は9m、全長は106mに。打ち上げ能力も、ITSでは地球低軌道に300t以上となっていたが、150tに減少した。

そして2018年には再び設計が変わり、打ち上げ能力は最大150tでほぼ変わらず、一方で機体の全長がやや伸び、内部が広くなった。また、この2018年の設計変更では、それまではなかった比較的大きな翼が後部に追加され、また前部にもカナード翼が追加されるなど、それまでの翼のないリフティング・ボディ機のような姿から、飛行機やスペースシャトルに近い姿へと変貌した。

この2018年の時点で、マスク氏は「これが最後の大きな設計変更になるだろう」と語っていた。しかし実際には、今日に至るまでの間に、設計もさらにまた大きく変化している。

当初のITSと比べると、機体の大きさも、姿かたちも、目標とする打ち上げ能力も、毎年のように大きく変化し続けてきた。こうした度重なる設計変更に対し、マスク氏のそもそものコンセプトやスペースXの技術力を不安視する声もあった。

しかし、たしかに打ち上げ能力は当初の約半分に落ちたものの、それでも地球低軌道に150tと、史上最大級の能力をもつモンスターのようなロケットであることには変わらない。また、機体が小さくなったということは、それだけ実現する可能性が高くなったということもである。さらに、宇宙船もブースターも垂直着陸して再使用できること、推進剤にメタンと液体酸素を使うこと、軌道上で宇宙船とタンカーがドッキングし、推進剤の補給ができることなどは変わってはいない。

ラプターの開発もまた、目標とする性能の変更などはあったものの、粛々と続けられ、燃焼試験が繰り返されている。

こうしたことからわかるのは、こうした設計変更は決してネガティブなものではなく、火星移民を実現させるという目標に向け、検討が繰り返されてきた結果だということである。また、ロケット開発などを始め、多くのものづくりにおいては、本格的な開発の前の検討段階で、大きな設計変更が行われることは珍しくはなく、マスク氏が毎年のように大々的な会見を行うために、それが可視化されやすかっただけとも言えよう。いずれにしても、この一連の設計変更は、最適化が進んだ、あるいは成熟度が増してきたことを示すものといっていいだろう。

そして2019年9月28日、マスク氏は今年もまた、さらに練り直した構想を明らかにした。名前が宇宙船が「スターシップ」、それを打ち上げるブースターが「スーパー・ヘヴィ」と名前が変わったのを皮切りに、さまざまな部分が2018年のBFRから変わっている。なにより重要なことは、講演するマスク氏の後ろに、スターシップの試験機の実機が立っていたことである。構想発表からわずか3年で、スペースXは実機を飛ばせる段階にまでたどり着いた。


出典

・STARSHIP UPDATE | SpaceX

・Starship | SpaceX

・STARSHIP UPDATE | SpaceX

・Making Life Multiplanetary SpaceX

・Elon Musk(@elonmusk)さん / Twitter


著者プロフィール

鳥嶋真也(とりしま・しんや)

宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。


著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
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鳥嶋真也




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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191018-00000008-mynavin-sci
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