親友を救えなかった…。
その後悔とイジメやってた不良達への復讐心で俺は鬼となった。
徹底的に不良達に制裁。
数年後に知った真実。
その親友が自ら命を絶った理由はイジメや虐待ではなかった。
中学校時代を記した日記にも書いたが…
親友の家は父子家庭。
妹が2人いたが虐待やってた暴力親父が育児放棄して親戚宅に押し付けた。
幸運なのか、それで妹達は虐待被害にはあわなかった。
親友はだからこそ耐え続けたんだ。
自分が折れてしまったら、この暴力親父の矛先が妹達に向くかも知れないと。
しかも妹達が親戚宅で馴染めているか、様子を見に親戚宅に何度も行っていたのを覚えている。
その時は家で辛い事があるとは一言も言わず、元気な顔で妹達と親戚達に会っていた。
そして中学2年中盤の頃。
暴力親父はだんだん恐くなって不安が大きくなっていた。
さんざんサンドバッグにしていた息子が成長期で身長も高くなり、体格も良くなってきた。
いつか復讐される恐怖に焦った暴力親父。
その暴力親父がやろうとしたのは息子と娘を物のようにトレードする事だった。
息子を親戚宅に押し付ける代わりに、親戚宅から長女か次女を連れ戻そうとした。
女の子なら復讐される心配は無いし、女の子にしか出来ない事もあるから…。
新しいサンドバッグ欲しさと下心で息子と娘を物のように交換…、もはや人の所業とは思えない。
親友は妹に矛先が向かないようにと奔走した。
警察に訴えても事件起きてないから動かない。
児相も妹達が今現在被害を受けているわけではないから話半分にしか聞いてくれないし動かない。
親友はダメ元で色んなところに相談したが結果は虚しかった。
親友は親友(俺)が自分やイジメ被害者を助ける為に色んなところに相談していたのを知っている。
大人が全く動いてくれなかった事も知っている。
だから親友(俺)はたった1人で不良集団に潜入した事も知っている。
……もう時間がない。
自分の力では妹を救えないかも知れない。
…事件でも起きれば妹は救える。
事件さえ起きれば……。
親友は今までの人生を遺書に書き、自ら命を絶った。
それで虐待の事実が明るみに出た。
暴力親父は逮捕された。
妹達の親権は妹達を引き取っていた親戚に移った。
親友は妹達の盾になったんだ。
命を燃やし尽くしたんだ。
でも、もしイジメが無くて…
色んな人達が親友を支えてあげれていたら…
別の選択肢もあって、違う結果になっていたかも知れない。
そして親友の妹達から聞いた話が悲しくもあり、嬉しくもあった。
親友と思っていたのは俺だけじゃないのか?
あいつは俺を自分に同情しているだけの男と見ていたかも知れない。
そんな思いがずっとあった。
妹達の話はこうだった。
あの妹想いの兄が…
親戚宅で馴染めているか度々見に来たり、色々と世話を焼いたり…最後は盾になって命を絶ったあの妹想いの兄が妹達を遺して旅立つと思いますか?
自分亡き後、妹達の事を任せられる男がいたからこそ何の憂いも無く旅立ったのではないですか?
その話がとても嬉しかった。
親友と思っていたのは俺だけじゃなかった。
でも、俺がいたから後顧の憂い無しと旅立ってしまったのは複雑な気持ちで悲しくもある。
親友の妹…次女は数年前に結婚。
子供が産まれた時に相談を受けた。
名前は二文字にしたい。
最初の一文字は先輩(俺)の名前、最後の一文字は兄の名前から取りたい。
夫になった男性は今までの経緯の話を聞いて、自分で決めていた名前候補の紙をゴミ箱に捨てた。
できれば自分の名前の一文字を我が子の名前に入れたかったが、そんな熱い男2人から一文字ずつ取って付けた方が良いと笑って承諾してくれた。
いつか語る日が来ると思うとそれが良いと笑っていた。
お前の名前の由来を知ってるか?
ママを命懸けで守った、ママの兄ちゃんの名前が最後の文字。
その兄ちゃんを救おうとした男の文字が最初の文字だ。
親友は見ているだろうか。
命を懸けて守った妹達はどちらも幸せに生きている。
長女にいたっては色んな経験したいとアグレッシブ過ぎるくらいに色んなところに行っている。
俺は自分の死期を見定めた。
いつか自分で命を絶つ。
それまで全力で生きていくさ。
またどこかで会える日があれば、その時は一緒に酒でも飲もう。
あ、最初の一杯はお前の奢りな( ´∀`)
あの元気爆発してる妹達の事でどれだけ苦労したか…(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)
その礼に一杯奢ってくれ。
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