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2019年01月16日21:53

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今さらモバイル音楽ツールを語る:AQ Interactive「KORG DS-10」gamma

(↓ beta より承前)

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970020568&owner_id=498257


●あなたにとっての長所

超お手軽。これがモバイルギアか!
ソフトウェアシンセだが、パソコンを起動するよりずっと起動が速い。小さいボディで持ち運びも便利な上に、充電式バッテリー駆動なので、どこでも気軽に遊べる。バッテリーが古くなってすぐ放電するようなら、バッテリーパックを買い換えればいい。最新型の DSi のほうが画面がやや大きく内蔵スピーカーも良くなったらしいが、バッテリーの持続時間が短くなった。なので私は中古で型落ちした DS Lite を買ったが、充分使える。これだけのために、DS Lite を買ったくらい。
とにかく、ポケットに入るコンパクトさで、すぐ起動し、思いついたときに音創りや作曲に専念できるので、ちょっとした空き時間や隙間時間を有効利用できるところに、DS-10 の意味がある。これは新感覚のツールと言っていい。

しかもワイアレスで、どこでもお気楽につながって、あおむけにひっくり返ってでもつながって、複数台で同期したりできる新感覚。

あまりにあたりまえだが、ゲーム機の上で動作するシンセなので、使わないときは他のソフトを活用できる。

スタイラスペンを使うので、年寄りになって指が乾燥しても、ちゃんとタッチパネルが反応してくれる! 爆


●あなたにとっての短所

もすごく面白いグルボなのだが、残念なことに USB も MIDI もない、独立した箱庭宇宙。

もっと痛いのが、MIDI ファイルやオーディオファイルでのインポートもエクスポートも無いこと。ほんとうに、これだけの独立した小宇宙。せっかくのクリエイティヴな環境なので、せめてエクスポートだけでもしてほしかった。

鍵盤弾きながらノブひねって音創りしたかった! DSi を使えばダブルタッチスクリーンだからできるのかと期待したが、違うみたい。シーケンス駆動で音創りするのに慣れるまでずいぶん時間かかった私は、化石人間に違いない。でも、何年もかかっておっさんは慣れたw なにごとも、時間かけてえも実践してみるもんである。
そんなわけで、いぇーい、手に入れて十年近くたったころに、シーケンスフレーズを回しつつ音創りできるようになったww
往年のヤマハ QY シリーズやローランド PMA-5 のような、従来型の携帯作曲ツールの代わりに使うことを期待すると、あきらかにお門違い。1小節ループシーケンスを 16 個しか一度に使えないという壁に、ぶちあたる。だが、根本的に発想をクラブ音楽的なつくりかたに変えれば、これ1台でできる。

音色にしてもヴァーチャルアナログなので、リアルな音が出る PCM シンセでは無い。リズム音なんかは、外部音声を DS 内蔵マイクでいいからサンプリングしアナログ音と併用してみたかった。この点、あとから出てきた Detune 社の DS ソフト「コルグ M01」は、 コルグ M1 シミュレーターを DS の上で走るようにした上で、M1、01/W などからすべて PCM 波形を移植し、なんと音色エディットを省き、音創りがまったくできなくなり、その代りシーケンサーの仕様を大幅に強化、カラフルなプリセット音色を活かした DTM ソフトになり、シーケンシングのみに徹したところが、DS-10 とは異なる回答になっていて面白い。

DS-10 での音色や作曲における限界は、だがこれは、知恵と工夫を凝らせ、ということだ。ソングに頼らず、リアルタイムにパターンを再生し切替えつつ演奏することで 100 小節の限界を突破するとか、パート・ミュートもリアルタイムに駆使するとか、リズムマシンもシンセとみなして音創りにこだわるとか、音色エディットやテンポチェンジまでパターン再生中にリアルタイムにやってしまうとか、いろいろやりようがある。
ネットにはツワモノがごろごろいて、テンポ半速にしてシーケンサーの容量を稼ぐ代わりに BPM にあわせたディレイで細かい刻みを演出したりする人とか、リズム音色はリサンプリングされていることを逆手にとりフランジングすれすれの極短いディレイを併用しオケヒの音をつくってしまったという目からうろこの脱帽もんな人までいる。当時、mixi の DS-10 コミュでは、サティの「ジムノペディ第1番」を裏技つかい倒してコピってる人がおり驚愕させられた。さっそく私もテンポ半速ワザをやってみたが、2小節ループができるようになったただけでも可能性は大きく広がる。発売されて半年ほどたった 2008 年末には、当時流行したネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」を中心に「DS-10 で除夜の鐘をつくる」という人々が多数現れ、自然発生的に祭りとなり、ついにはメーカー社員まで参戦するなど盛り上がりを見せた。メーカー社員が創った音は、さすが寺の梵鐘っぽく聴こえ、しかも変調を使わず、単に音源波形を加算してフィルタリングしただけと思わせるところが、また感心させられた。

多少なりとも弾ける人間にとっては、タッチパネルとスタイラスペンで鍵盤演奏するのは、やはり限界がある。和音も弾けない。どうせモノシンセ2台のみとはいえ、デュオフォニックのシンセとして使いたいときもあるので、鍵盤だけはリアルな物理的な鍵盤のほうが和音もメロも自由に弾けていい。物理鍵盤には運指できる快感やインタラクティヴ性というものがあることも、再発見させられる。ミニ鍵でいいから、なんかインターフェイスしてくれるものがほしくなる。
単音フレーズを弾くにしても、画面サイズの制限から仕方ないが、鍵盤が1オクターヴ強しか表示されないので、フレーズを弾きにくい。16 ステップ・シーケンサーのピアノロール画面やソング制作画面も、画面が小さいので盛んに上下にスクロールしまくりで、使いにくい。リズム音色のパッドも、リアルタイムで叩くには、ちょっと運動神経が要る。けっきょく全てはステップ入力で行うか、リアルタイム入力をステップ・シーケンサーでイベント・エディットするという、DTM ではあたりまえの手段で作曲することになる。

ディレイヴィブラートを、かけれないのは痛い。かつてのコルグは、こういう音楽的なところに気を配ってくれていたのだが、今回はテクノばかり眼中に置いたということか? まぁカオスパッド画面を使えば、後追いで付加することはできるのだが、最初に演奏するときにディレイヴィブラートかけないと雰囲気が乗らない向きもあろう。

このように、弾ける人からみれば、カードスロットに挿せる鍵盤とかあればいいんだろうが「いつでもどこでも」を身上とするモバイル機だからこそ、そしてミニマルなテクノをつくるツールとして設計したからこそ、よけいなアクセサリーは不要と割り切ったのかもしれない。充実したアクセサリーができても、電池を激しく食うのかもしれない。ここは、多少なりとも弾ける人と、まったく弾けない人とで大きく感覚も意見も分かれるところだろう。
というのも、やはりグルボなので、そもそも鍵盤が弾けないけど音創り曲作りするトラックメイカーにとっては、むしろシーケンサー回しながら音創り曲作りしているほうが、はるかにたくさん音や曲を思いつくだろうし、創造性が刺激されインスパイアされるだろう。弾けない人々にとって、これほど敷居が低く、福音となるいい環境も無いはず。

だから DS 内蔵マイクで鼻歌を感知してメロディ入力とか実現してほしかった。オケをヘッドフォンで聴きながら歌えば、純粋にメロだけ入力できるはず。でも、ピッチ検出って演算が大変なのかなぁ?


シーケンサーは、最大 64 ステップ4小節で1パターンとするくらい容量がほしかった。まぁかつて MS-20 と4トラ・カセット MTR だけで財政上必死になってしまい、SQ-10 なんてぜいたく品にまで手が回らなかった時代を思えば、超めぐまれた環境なのだが、これも携帯ゲーム機に搭載するための割りきりの美学なのか? グルボに徹している点で、なかなか考え抜かれたクレバーな割りきりかもしれない。
と思ってたら、前述の M01 では、ちゃんと 64 ステップシーケンサーに拡張されていた。

ついでにソング再生中も、鍵盤を弾いたりカオスパッド画面を弾いたりしてみたかった。
MIDI 同期対応もさせたい。現状では、MIDI サンプラーにフレーズ・サンプリングするしかない。

アナログシンセやシーケンサーに熟知している人なら、ほぼマニュアル無しで使えるが、初心者にとっては、このマニュアルは難しすぎるだろう。開発・発売元の AQ Interactive 社も、この点は重視したようで、攻略本をつくったり、YouTube 上で初心者向け解説動画などを多数アップしたりしている。
ところでゲーム機の性格上か、マニュアルにある漢字にはすべてふりがなが振ってあるところが面白い。こんなヲタなマニュアルを読むお子ちゃまは、どんな子?w


( ↓  delta へと続く)

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