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2017年12月13日18:15

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先生の大きな手

先生の大きな手 大阪府寝屋川市 西山冨喜子(48才)

  今から30年あまり前のことになります。小さい頃に父を亡くし母も事情があったため、私は母方の祖父母の家にあずけられていました。そんな状況の中、中学の修学旅行に行かせてほしいなどとは、祖母に話すことができませんでした。「乗り物に酔うから修学旅行には行かない」という私に、母を知っていた国語の先生が見るに見かねて、祖母に「友達と行くのはこれが最後だから、ぜひ行かせてやってほしい」と知らない間に頼みに来て下さいました。そして友達と楽しい修学旅行に大阪・京都へ行かせてもらうことになったのですが、さすがに小遣いまでは、みんなと同じ金額は持って行けず、友達がいろいろ楽しそうにおみやげを買っているのを遠くから見ているだけでした。そのとき、国語の先生がそっとそばにきて私の手に百円札を三枚にぎらせてくれました。「おみやげに何か買っておいで」と言って私の手をしっかりにぎってくれた先生の手の暖かかったこと。私もそのお金を持って友達の輪の中に入っていきました。その頃の三百円は私にも先生にしてもたいへんな大きな金額だったと思います。それを友達にもわからないようにそっとにぎらせてくださった先生。今でもその時の先生のあったかかった手の大きかったこと、心からの思いやりを忘れることができない私です。


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