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2017年09月29日18:41

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音だけバブルへGO! ゴッキュッパ戦争時代へタイムスリップ

ショップから借りたJBLモニターが相性が悪く、自宅で使用できず、代わりにショップからお借りしたのがこれ。
ケンウッドLS-11ESでした。1989年製です。
1989年と言えばバブル真っ只中。30年近く前ですね。定価が5万4000円、いわゆるゴッキュッパ戦争と呼ばれた低価格スピーカー競争時代のものです。なんか懐かしいですね。

外観はほとんどダイヤトーンのそれですね。KENWOODの刻印が無いと何処の製品か全くわかりません。驚いたのは塗装で、普通30年も経過すると塗装に部分的にムラが出てきますがどこを見てもそういう部分がありません。質のいい塗装をしていたことがわかります。
木工も手抜きされた部分も見当たらず、ガッチリ作られています。

●最初の出てきた音はひどかった。
デフォルト、調整なしでそのまま音を出してみました。ひどいですねー。高音部はパキパキ、低音は全く出ません。凄まじいハイアガリ音です。はっきり言って滅茶苦茶な音です。いったいどういう経緯でこんな音で調整されたんでしょうか?。

●ハイアガリを修正する作業に一日費やす。
まず背面にあるツイーターのボリューム調整をしました。ノーマルポジションでは凄いハイアガリとなり、結局ソフトと書いてあるところまでボリュームを落としました。かなり良好になりましたが、低音は全く出ません。
マランツ社のアンプ、PM-14S1のトーンコントロールを使い、低音のみ補正しました。トーンコントロールボリューム位置の写真をアップします。いかに低音が出ないかよくわかると思います。
結局補正に一日かかりました。

●補正が終わった後の音に驚愕する。
調整が終わり音を再度聴きました。ふわっと優しく空間が広がります。自然であくまで優しい耳当たりのいい音が出てきました。ボーカルを聴くとふわりと中央に自然な声が定位します。スピーカーユニットの設計も工作精度もすさまじいレベルだということが聴いて良く分かります。
低音もトーンコントロールで補正しているとはとても思えない自然なものでドラムもコントラバスなども形が正確かつ自然に再現されます。
久しぶりにすごいものに出会ったなあと思いました。正直、出てきた音にまさしく驚愕しました。

●メーカーが調整したフラットポジションはなぜひどい音なのか?。
凄いポテンシャルのスピーカーだと分かったのですが、疑問が一つ。メーカーが調整したフラットポジションでは凄まじいハイアガリで、とても聴けたものではないのも事実です。
まるで、宝石を泥水に浸けて店頭に並べる宝石店のようです。自ら価値を落とし、商品化しているのはなぜなんでしょうか?。

この時期はCDが普及し始めた時期でもあります。パキパキの音にした方が売れると思ったとしか思えません。つまり、これを作った技術者は売れることを優先し、はやりの音に仕立てて出したつもりだったのではないでしょうか。

自分でこの音は正しいのか、いい音なのか判断しない技術者。音に信念の無い技術者がどんなに頑張ってもいいものを作ってもダメなものしかできない。そう思いました。

この後ゴッキュッパ戦争は終結しました。勝者は誰もいませんでした。ダイヤトーンは消滅。いまだに国産スピーカーは全滅状態に等しい状況となりました。「自滅」という言葉が頭に浮かびました。

やはり起こるべくしてそうなったような気がしました。自滅した国産スピーカーの歴史を垣間見たような気がしました。

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