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2017年05月17日18:10

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善良さとは

マクドナルドで33年勤務 ダウン症の男性、退職の日迎える(米)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=103&from=diary&id=4576202


明らかにダウン症っぽい人が一般の会社で働いてたら、健常者と比べて多少仕事が出来なくても「障害があるのに頑張ってて偉いわね」って言って、大概の人はそれをサポートしたり応援したりする。

でもその障害がダウン症とか手足が無い、みたいな判り易い障害じゃなくて、パッと見では判別できない発達障害とか精神障害だったら。

健常者と同じように出来ないと「どうしてお前はそんなにできないんだ、努力が足りない、やる気が足りない、能力が足りない、向上心が足りない」と怒られる。

最悪の場合クビになる。

それがダウン症だったり手足が無い人だったら「そんな理由でクビにするなんて差別だ!クソな企業だ!」って炎上騒ぎになるけど、発達障害や精神病だったら「クビになっても仕方ない」って言うのが大半の人。


ダウン症の人と
軽度発達障害の人。


この社会で生きていくのに、いったいどっちが不利だろう。


統計的にいえば、重度障害を抱えた人のほうが、
軽度発達障害の人より遥かに就業率が高い。


周囲からの理解とサポートを得やすい分、どれだけのハンデがあっても結果的に「働きやすい環境」を構築しやすいからだ。

対して発達障害や精神的な病を抱えてる人は理解もサポートも得られないどころか、批判と罵声と蔑みに常に晒されて、必要以上に悪条件な環境で働かされて大半は心か体を悪くして働けない状態まで追い詰められる。


こういう記事を見た時、「ダウン症の人を受け入れる社会、素晴らしいね!」で思考停止して、それよりもう少し先に存在する本当の闇に蓋をするのは良くない傾向だと思う。


重度の障害を持つ人間を受け入れる社会はたしかに素晴らしい。


でも、障害者を受け入れる彼らの「善意」が本物であるなら、障害の重度、軽度を問わず、障害を抱えて生きる全ての人に適切な配慮が与えられるはずなんだ。


だけど現実には重度の、判り易い、アレな言い方をすれば「見栄えのする障害」だけが配慮の対象。

手足が無いとか、ダウン症とか、パッと見で分かる、健常者の同情心に訴えかけやすい種類の障害者はこれみよがしに手厚く保護する。

それでいて、見た目で分からない種類の障害者に対しては「公平」どころか、とことん無理解で差別的で暴力的な態度を当たり前のように取る。


だから俺は、この手のお涙頂戴話にいつも欺瞞を感じるんだ。


このトピックの美談に感動する権利があるのは、目に見えない障害を抱える人に対しても常に公平な配慮を示せる人間だけだ。

職場にいる軽度発達障害の人間を平気で「使えないクズ」扱いして、小馬鹿にして、蔑んで、見下して、排斥して、だけどこういう「判り易い美談」には簡単に感銘受けちゃうような人って実際めちゃめちゃ多い。

感動ポルノなんて言葉が以前あったけどまさにそれ。

「自分が気持ちよくなれる善意」だけが好きな人たち。

だけどそこに本当の善意は無い。

自分たちにとって都合がいい、気持ちいい、判り易い、そういうものだけを愛でて同情して涙して、
だけど「同じ障害者なのに」見た目でわかりづらい障害ってだけで簡単に差別の対象にしちゃう人たち。


「だってその障害は・・・やっぱりちょっと分かりづらいから」


残念だけどそれは言い訳にならないんだ。


あなたが人間というものを「真心」で見つめる思慮深い人物なら、わかりやすいとか分かりづらいとか関係ないはずだもの。


判り易い、判りづらいで短絡的に物事を判断してる事自体が「心ない人間の証明」なんだ。


心ある人間は、いつだって、どんな場面でだって、目の前にいるその人の奥底に有る真実を探ろうと最大限努力するし、人を「判り易いイチ側面」だけ切り取って判断したり断罪したりしないんだ。


重度障害者の就業割合は健常者に次いで高い。


けど軽度発達障害みたいな、障害年金も発生しない、見た目で分からない障害持ちの人の就業割合はぶっちぎりで低い。

障害があるなりに、健常者に追いつこうと人の倍頑張って働いても、成果は人の半分しか出せない。

だから怒られるしバカにされるし見下されるし昇給もしないしクビになったりもする。

人の倍頑張っても「お前は怠けてる」って言われる。

で、次の仕事も見つからない。

「きっとまた精一杯頑張っても、認めてもらえず散々に怒られてバカにされてクビになるだけだし・・・」

働く意欲もメキメキ低下して、自分で自分を認めてあげられなくなって、鬱とかになって、閉じこもるようになって、最悪自殺とかさ。


バリアフリーって言葉を使う人は多いけど、バリアフリーの本当の意味を理解してる人は残念ながら極めて少ない。


目に見えない障害や、事情や境遇を背負って生きてる人は沢山いる。


「誰だって何かしら背負ってるんだから甘えるな」って言って互いに首を締めあって、結局「背負ってるものが軽いやつほど勝ちやすいルール」の世界で、勝ち続けなければ脱落する世界で生きてくのか。

それとも互いが背負うそれに、互いに配慮して双方快適に生きていける手段を模索するのか。


配慮や同情が、「判りやすいお涙頂戴系障害者」に対してだけじゃなくて、実際に困難を抱えながら生きるすべての人に公平に傾けられる世の中になって欲しいと思う。
30 10

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