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2017年02月01日03:13

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飛燕【追加済】

昨年行ってきたものの諸般の事情で画像をさわりしかお見せしてなかった飛燕2型の画像をここで大蔵ざらえしようかと

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知覧に展示されていた飛燕2型を製造元の川崎がレストアしていたのですが、それが完成したという事で神戸三宮はポートターミナルで展示していたわけです

知覧の飛燕は見たかったのですが場所が場所なのでいけなかったところに向こうからやってきたってことで行ってきました

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見てください、この日本機離れした美しいフォルム
飛燕の特徴の高アスペクト比による細長い主翼と細長い胴体の美しさ


え?なぜ銀ムクなのか?塗装しないのか?

そこがこの展示のコンセプトなのです。
今回のレストアのコンセプトはありがちな「空を再び飛ばす」ではなく「かつての先達が行ってきた事績技術技法を可能な限り後世に残す」という点で、ここが他の復元機と大きく異なる点であるという事は特筆すべき点ではないかと

例えば飛ばすだけならメリケンの好事家がやってるみたいに桁も何もかも交換した上でマーリンでも乗せたらいっちょあがりですけどそういうとこは目指してないわけです。
あくまでも「当時モノを後に検証可能な形で遺す」という戦国時代の城跡にやるようなアプローチ
そこで「戦後に塗った」塗装は資料として妨げになるので剥がし、銀ムクにすることで発生する劣化は保存場所側のアプローチで防ぐ
(ってことはいずれ各務ヶ原で保存するときも脱酸素とかそれ相応の設備持った場所になるってことなのでここのようなオープンスペースでの展示はされないかも?)

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かようなアプローチなので失われた部品はすべて新製するとしてもその代わりに外した「戦後作ったと思われる部材」も別途保存した上で「事後新製」であるのは記録するという事までやってる模様

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ここに搬入するのもそうですが知覧から出すのも問題があったようで
米軍が横田やらに持ってたのを返還してもらって知覧に安住の地を得たのはいいものの、知覧の博物館が飛燕入れた後増築して当時使っていた搬入口が使えなくなってしまった模様

そこで搬出に専用の治具(およびその一部始終を収めた同人…じゃなくて広報誌)まで作る力の入れよう

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翼部分にライトがあるのに注目
これ、陸軍機の特徴だそうで、海軍機にはないのだそうな
(推測ながら地文航法の陸軍と天測航法でわざわざ目印照らして探す必要のない海軍の違い?)
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失われた部品を新製するといっても資料がなきゃはじまりません
てなわけでオーストラリアに唯一残ってる飛燕(といってもこちらは1型でこの2型とは異なる部分も多い)や2型の進化形の5式を唯一保存してるエゲレスの博物館までいって資料を探してきたとのこと

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その展示の目玉といえばこのハ40
貴重なブツゆえに鏡を設置して通常見れないアングルからも見れるようにしてました

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「日本のジェットエンジン発祥の地明石」と言われたら撮らないわけには(ぉ

で、操縦席の複製モックアップも
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実は知覧にあったメーター類は戦後米軍が付けたものだというのが判明したとかでわざわざ当時モノを再製したそうな
(で、その当時モノのデータ使った缶バッジが発売されてました)

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尾翼部分だけ色が違うのに気づくでしょうか?
これが後述する「帆布」部分で、布張り。これはさすがに無塗装とはいかず塗装したとのこと

当時の小型機は尾翼はかような帆布になってたてなことを昔水上機整備やってた祖父から聞いたこと思い出したのでありました

あと中の人捕まえたり中の人が他の人と話したりした内容としては・・・


Q1 そもそもどうやってここに入れたのか?
A1 主翼と胴体はフィレットを外したらボルト(8か所?)で接続されていてそこを外して主翼胴体(あと尾翼も)バラして搬入

Q2 胴体などは無塗装でも尾翼補助翼などは銀色に塗ってるように見えるが?
A2 尾翼補助翼などは帆布で作られてるため便宜上塗装してる

Q3 明石でエンジン作ってたそうですけど明石で試験飛行とかやってたのか?
A3 試験飛行はもっぱら各務ヶ原でやってた。明石は発動機部門の為いろいろわけありのがやってくるくらい。飛行場自体は今バイクのテストコースになってるあたりにあった。

Q4 操縦席のキャノピはガラスでできてたのか?
A4 正面の一枚だけはガラスだったが残りは有機ガラス(アクリルのようなもの)で、実際には工作精度上ここまで透明でなかったと考えられる。

Q5 で、ここまでやったんですから飛べますよね?
A5 無理。国交省の認定とれない

Q6 でも、そういう書類上の問題クリアすれば物理的には?
A6 やっぱり無理。横田にいたときに米軍が主翼をピトー管のあたりでぶった切ってるから主翼強度ガタ落ちで飛べる状態は保証できないんでやるとしたら主翼桁交換するしかない。他の部材も70年以上前のだから金属疲労が考えられる。でもどこがどれだけ疲労してるかはわからんから各部品ばらして各個に強度テストする必要がある。そこまでやるならゼロからつくる方がよほど手っ取り早い

形式認定の壁はMRJがぶち当たってましたが、メリケンなんかではライト兄弟に起源をもつ「落ちても自己責任」なレギュレーションがあるとかでそれで飛んでるWW2ウォーバーズも多数とか

でも先述の通りそもそもそんなの目指してないんでしょうなぁ
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