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2016年12月14日10:19

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明日の朝に 18

明日の朝に 18
「俺の子供?・・考えもしなかったよ。ひょっとしたら?の妄想すら思い付かなかった・・」
「でもあなたの子がいるとして・・なぜ私たちの時代に連絡が取れないのかしら?どこかで血が途絶えた?」
「推測だけど・・」
 俺は篠原康則に憑依する以前から考えていたことを話す気分になった。子供の時から俺は薄々と異星人の血を自覚していたのだ。妄想だと思い込むようにしてはいたが、鳥たちに知らない国の人々の暮らしぶりを教えてもらったり、オレンジ色の蛇に助けられながら空を飛んだりしていたのだ。
 そんな風な、妄想だろうと思えば済むようなことは気楽だったが、周りの大人たちの心を読めるのは驚きを通り越して恐怖になった。表情では優しい、思いやりのある態度を見せているのに、心の中には相手を見下したり自分が優位に立つことを計算している大人のなんと多いことか・・
 そんな大人を嫌悪していた俺は、自分が一番嫌な人間であることにもまた気づいていた。親父のいない寂しさや、メスを感じて距離を取ったおふくろへの罪悪感、自己嫌悪と言いようのない不安の中で俺は育った。
 大人になり、動物のオスとなって発情を持て余すようにようになると、それは種の保存本能として動物が持っている自然な成長過程のひとつだと解り、発情したオスを無理やり抑えると、心が正常に発達しないことも解った。解ったがしかし、オスを放出するには相手がいる。メスを避けて来た俺に、相手がいるはずも無く、メスへ近づく方法も知らなかった。妄想で自己処理するしか放出の手段を知らない。過度の自慰行為、満足しないオス。いつか俺は、自分が発狂するのではないかと思い出した。妄想と現実の区別がついていないのでは?と疑いだしたのだ。
「艦長も、基本的には12名のクルーと同じく無欲に任務を遂行する気質だと思う。だが、彼にはもうひとつ、彼らとは違った任務がある。未知なる星で皆の安全を保ち、いつか故国へ帰らせる責任がある。まだヒトの進化を助けることは楽じゃなかったと思う。自分の常識を捨て、他部族との殺し合いを認めねばならなかっただろうし、援助したヒトが権力を持つと同時に己の富と権力に執着し、利己的になる姿を何度も見たかも知れない。12名のクルーをその手先に使う自分を、獣以下だと悩んだかも知れない・・」
 理沙の眼が再びコピーの眼になっている。心が水の流れを受け止め貯める湖になっている。俺の言葉をわずかの疑いも無く吸い込んでいる。俺はこんなに人を疑わず受け入れたことがあっただろうか?いや、一度だってなかった。常に相手の心の奥を覗きながら表情を作って来た。上っ面で楽しそうに笑ったり、嘆いて見せたりして来た。
 それは篠原康則に憑依して解った、ヒトの本来の姿であったかも知れない。自分の身は自分で守るしかない弱い生物であるヒトの、生きるための知恵でもあったはずだ。
「理沙の時代に艦長の末裔はいないと言ったよね?」
 突然の質問に理沙の眼が不思議そうに瞬いた。(続く)

(^_-)-☆クウネル日記(^_-)-☆
 独り暮らしをしていると、クリスマスや年末も遠い世界で、無縁なのですが、もう12月も半ばに入ろうとしてるのですねぇ。しみじみしたってしょうが無いのですが(笑)
 ところでネットの無料動画を楽しみにしているのですが、ギャオは油断できません(笑)本来DVDを販売するために無料配信しているからでしょうが、油断していると途中から無料で見れなくなります。諦めた頃に全話一挙配信となったりします(笑)今人気のドラマ「逃げ恥」も無料配信されていて、1日遅れで見れるのですが、同時にずっと昔の似たようなドラマの無料配信が始まったりします(笑)最近アップされ出した「働きマン」は2007年だったかな?古いドラマのようですが、監督や脚本家が同じなのか「逃げ恥」と構成が似ています。ドラマの途中に出演者がインタビューを受けているような感じで話しが進み、ドラマの終わりにダンスするのも一緒。ダンスが何とか音頭って言うところが時代を感じます。「逃げ恥」と同じく楽しめます♪
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