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2016年12月11日01:24

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一畑の新車は20mクラス

こういう話になると必ず出てくる「18mクラスの出物がないから新車が増えてる」論って実際のとこかな〜り微妙なものだったり。

なにしろ18mが欲しいなら東急1000系が絶賛譲渡中で上田を皮切りに伊賀、一畑、さらに今般福島交通が東急1000系導入を決めてるからそこまで出物ないって状況でもない
(それをもらい損ねたなら数年待てば日比谷線関連のメトロ東武の出物もまわってくる)

そもそも「新車が続々」といっても静岡鉄道は高度成長期からこっちずっと自社発注か自社製ばかりなので中古などいれたらそっちの方がニュースだし越後トキめきは社長の趣味、純粋に趣旨に合うのは一畑と記事にはないけど上信の7000系くらいなものなので「続々」といえるかどうかは非常に疑問があるところ

■地方の鉄道会社で「新型車両」が続々デビューしている理由
(日刊SPA! - 12月10日 09:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=81&from=diary&id=4335063

によるなら

>>一方、地方の鉄道路線は、18m程度の車両で、ドアが少なく、ある程度の座席数がある車両を求めている。大手私鉄も、以前は18m車やドアの少ない車両がありましたが、最近はほとんどなくなってしまいました。

こう書かれたら結構頷いてしまいそうですけど、この論には巨大すぎる例外があるんです。



西武鉄道



451系551系はじめ所沢工場をブローカーに数多の私鉄に中古車を供給してきて今も4ドア化政策で経年の割に出物になってる新101ファミリーをせっせと供給してる西武はだいぶ前から20mを各地の地方私鉄に譲渡してきました

記事の一畑にしてからが今使ってる元京王5000が来る前には西武の20m車を使ってて20m車両投入そのもののには障害がない

だからこそ新車もJR四国7000系とほぼ同一の設計の20m車で入れてるし、先に書いた上信7000系(こちらは助成金の予算執行の関係で2両編成を1両ずつ2年越しで導入という方法で導入している)も20m車

同様に西武の系列下にある近江鉄道はその関係ゆえ以前から西武から車両の供給受けてましたが以前は「部品状態で仕入れて自前でそれ使って車体新造」という手法で17mクラスの車体をでっち上げてたのが800系の時点で「20m車体でも対応可能なように裾を限界に合わせてカット」にシフト、最近の新101系譲渡車でついに「ホーム改修で20m車を導入可能なように設備を変える」に至った。

供給源となる会社から今後とも小型車もらえないならそのための費用にもよるとしても「大は小を兼ねる」で設備改修した方が得という判断することも少なくないわけで、極端な事例が銚子電鉄

20年ほど前には15m車両運転台車しか入ってなかったところに伊予鉄道から18mの801形を導入し、営団2000系を経て伊予鉄から元京王2010系、京王5000系を仕入れてきてどう見ても輸送力過剰な18m2両編成にまで限界を拡大

つい最近まで東急5000系走らせてた熊本電鉄上熊本支線もあまりの状況を改善するために「両運転台」という点を妥協してメトロから01系を導入してドアカットで対応
(この車両は川重の最新台車ef−wingを付けてますが、これって意図したものじゃなくたまたま中の人が川重の人と話す機会があって「こんな車両もらったんだけど足回りのアテある?」と相談したとこから話が進んだとか)

設備改修の余地のない伊賀鉄道はもともと資本系列化にあって話のしやすい近鉄ではなく東急に話を振って1000系もらってきたし、豊橋鉄道や水間鉄道みたいにそれまで中古車もらってきたところが出物ないからと東急からもらってくるという事もある

逆に20m車を走らせることに何の制約もない大井川鉄道は店じまいした十和田観光から18mの元東急7200系をサルベージして使ってる



何?西武は3ドアだから使いやすいだけで最近の4ドア車は地方では使いにくい?

それはもっと対応が容易で琴電で今や主力は4ドアの元京急700系
富山地方鉄道でも元東急をワンマン用に導入しましたが中間ドアは締切にしておしまい
熊本電鉄は東京都に5200系でもくれないかと打診したら20m4ドアの6000系をもらってきてそのまま使用
ワンマン運転なのでドアが多くても無人駅で使うのは2枚だけでそれで何の支障があるわけでもない
(この辺は播但線加古川線和歌山線などの4ドア車使ってるJRローカル線でも一緒)

両者合わせた例が弘南鉄道1521系

東急7000系がすでに主力となってるところに20m、しかも北国なら猶更ハンディになりそうな4ドアをそのまま導入

何でこんなことしたかといえば京王重機あたりが「京王3000系売りますよ」とやってるとこに「安く売りますよ?」と持ってきたブローカーが入ってきてお値段で妥結
その結果が「当の南海は廃車のつもりで渡したロートル」で、南海からのフォローは何もなく結局ラッシュ用に使ってカニバリズム整備の限界来たところで廃車と



ことほどかように「譲渡元が大型化した」のなら出物をほかに求めるか設備改修するか出物出るまで待つかってのが大方とる措置で、「だから新車」ってのはその中でもレアケースだったりするわけです
(しかも先に書いた通り最近の事例限定だとサイズだけならその気になれば出物を探しやすそうな20m車ばかり)

なお、20m車ばかりってのは関東の話で関西ではいまだに19mが多い
しかし、まとまった廃車がなかなか出ないから譲渡の話はなかなかなかったんですが、その例外が阪神
なんば線開業に前後して大量の2000系を廃車することになり「せっかくだからもらってくれんか?」とあちこちに声かけたものの、その時点ではそのクラスを欲しがる会社はすでに更新済みで話はまとまらず一両も譲渡されないまま全車解体

阪急2800系も富山へ譲渡する話があったものの廃車時期が諸事情でずれて譲渡ならず
(この時座席だけもらうつもりだった京阪3000系の方が譲渡話がまとまって今も現役)
京阪80形は「路面区間もイケる冷房車」ってことで福井鉄道や琴電、はては海外からも引き合いがあったものの、廃車時期や補助金の関係で結局どれもまとまらずこちらも譲渡ならず


結局のとこ中古車で近代化する場合一番重要なのは
・廃車時期と導入時期のすり合わせ
・譲渡元と譲渡先のコネ
だから「大型化したから新車」という単純な話でくくれる話じゃないんですよね
(だからこそ面白いうんですが)


第一この話はあくまで電化私鉄だけの話であって非電化部門だとほとんどの私鉄がだいぶ前から国鉄から20mクラスを仕入れてて、最近は「新車」のNDCを導入…






…と思ったけど今残る日本の「全線非電化の旅客営業してる純民鉄」って
・関東鉄道
・小湊鉄道
・紀州鉄道
・水島臨海鉄道
・島原鉄道

だけ

どう数えても片手で足りる状態になってるんですよね・・・

ちなみに紀州鉄道は20m車の入ってない希少な例外ながら今年になって信楽高原鐡道から中古NDCもらってきて近代化
こちらの「新車」はまだまだ先の話になりそうです…
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