DSIのProphet'08→12と同時にRoland Jupiter50→FA06に機種変更しました。機種変更に踏み込んだ経緯としてJupiter50が悪かった訳ではないです、数個前の日記にも書いた通りすごく世話にもなったし。ただJupiter50/80は新たな音源方式に加え演奏しやすくする工夫が随所にされてるんですが、自分のスタイルにはその工夫が逆に不便に感じる部分も多々ありました。さらに理想的な大きさと驚異的な安さ(Jupiter50の下取りに出し差額はたった2万!)やコンパクトさ(5.7Kg)が決め手になり、全く試演せずに発売と同時に購入しました。昨日ローリングパーティーのリハで使用したのですが今回の機種変更は大成功だって確信しました。Jupiterシリーズとの違いも含め、ファーストインプレッションレポします。
◎音源方式
Jupiter50は
スーパーナチュラル音源(以下
SN)が3パートからなります。一方FA06は
SNと従来の
PCM音源(以下
PCM)がハイブリットで16パートからなります。
スーパーナチュラル音源(SN)とは演奏情報を読み取って最適な音の鳴り方をリアルタイムで再現する方式で、非常に生々しい演奏が出来る反面、音色のエディットは微調整程度しか出来なくて「音を合成する楽器」というシンセサイザーとしてはまだ発展途上の方式です。
PCMとSNのハイブリット音源の先行機種として
INTEGRA7があります。INTEGRA-7は16-7万します。一方FS06は11万円。この値段の違いは収録されているSNの数ではないかと思います。Jupiter50はSNが
80種類以上117種類収録されてましたのでINTEGRA-7も同様か、もっと多いのかも?それに対しFA06はSNが32個。
SNにはアコースティックピアノ、エレピ、ハモンドオルガン、ストリングスアンサンブル、エレキベース、アコースティックギター、エレキギター、金管楽器、木管楽器(含尺八)、単体の弦楽器(含アーフ)、ドラム、ビンテージシンセサイザー等に大きく分類できますが、このうちFA06では
エレキギター、金管楽器、木管楽器、弦楽器のSNがオミットされてます。これらオミットされたSNってかなり複雑な演算を要するんだと思うんです(実際、Jupiter50でこれらのSNを使いすぎると演算が追いつかないのか音が鳴らなくなる事しばしばありましたから
)。当然、多くの演算をする部分は値段が高くなるでしょうから、その部分をバッサリカットする事でここまでコストダウン出来たんだと思います。
だから金管/木管楽器やバイオリンのソロ演奏を生々しくやりたいって人にはFA06は不向きかもしれません。
じゃぁ自分はどうかというと、あまり影響はないかなー。
・・っていうのも金管やサックスが混在したホーンセクションの音って鍵盤で再現するの一番難しいからJupiter50を買ったてのもあるんだけど、単体で聴くとリアルでもバンドアンサンブルの中に入ると意外に頼りない細い音になってしまいまして
。結局多少嘘っぽくてもちゃんと音としての存在感があったほうがイイヤってSNのホンセクは使わなくなりました。
木管や弦楽器の生々しいソロをどうしてもやりたい時はV-Synth GTのAPシンセシスを使えばいいし、PCMには勿論この辺の音に十二分入ってますんで。
「安いんだからあんまり贅沢には望まないようにしよう」って決めてたけど、ほとんど”妥協感”はありませんでした。
◎演奏用のセッティング
ここが一番Jupiterでネックになった所。音色(トーン)をいくつも重ねたり(レイヤー)鍵盤をいくつものゾーンに分割してゾーン毎に違った音色を充てたり(スプリット)、Jupiterではそれがささっと出来るように設計されてましたが、それが自分には仇になりました。メーカーの用意していないセッティングにしようとするとかなり強引なセッティングが必要になり(手の怪我のせいで)Jupiter501台でやった昨年2~5月のライブでは何度も発狂しそうになってた
FAは標準的な16パートのマルチ音源として自由にスプリット/レイヤー出来ます。2パートだけなら演奏中でも一瞬に出来るし、3パート以上でもカラーの大きなディスプレイでセッティングも簡単。
左上から、シングルのトーン、2トーンスプリット、2トーンレイヤー、3トーン以上のレイヤーの画面です。エフェクターもシングルの音のまんまで使えるので、いやー、進化したモンだなぁってしみじみ
◎音色エディット
TONE EDITのモードに入ると各音源方式毎のエディット画面が出てきます。
左上からSNのピアノ、エレピ、オルガン、アコギ、ベース、ストリングス。可変パラメータはJupiterと共通ですね。オルガンがかなり自由度が高いけどあとはバリエーションの選択と微調整程度。
SNのビンテージシンセの画面一部。
SNSとも呼ばれてる。今の所(?)JupiterやINTEGRAみたいなiPadエディターはないけどディスプレーが見やすいので試しにゼロからひとつ音色作ってみたけどさほど苦ではなかった。D50をはじめとしたPCM波形も
300種類以上450種類あるんでそれらを使った変調をバリバリに掛けた変態音色も簡単に作れそう。
PCMの画面の一部。XV-5080の音源がまるまる入ってるらしい。流石にパラメが多いからゼロからの音作りは流石に難しかも
だけど、見やすいから既存音色のエディットはカンタン。[WG→TVF→TVA]×4ってJD800以降のシンプルな構造
でJD990以降にあったリングモジュレターやブースター等の変調系のパラメはないけど、そゆことはSNSでやれって事でしょうね(間違い、JV1080同様のリング変調やブースターを含んだストラクチャーがありました)。ちょっと現実から逸脱した音色はSNよりPCMの方が圧倒的に軍配が上がるね。
◎サンプラー
音階付けた演奏は出来ないけどワンショットサンプルを右上のパッドで鳴らせるみたいです。直接SDカードに書き込み/読み出しなので、読み込み時間はゼロ。まだ未使用なので使ってみたら使用感をレポします。
◎アルベジエーター/シーケンサー
こちらもまだ未使用。タップテンポがあるからアルベジオを生演奏にスパイス的に合わせる事できるかも。シーケンサーは多分使わないですがDAWとうまく連携出来る仕様らしいですよ。
◎サウンドモディファイ
カットオフ、レゾナンズをはじめ音色全体をノブで微調整出来るのってバンドマンにとっては想像以上に便利ね。ワタシみたいな変態仕様でわなくて
普通に使う分にはここ弄るだけで充分かも
。JUNO-D以降、ローランドが培ってきた技術が生きてますね
◎スクリーンセーバー
Rolandのカラーディスプレーは使ってない時にアニメのスクリーンセーバーが出現します。ファントムはどんなだか知らないけどV-SynthGTの場合は搭載されてる機能のCM?が流れる。
これに対し、FAでは(良く知らないケド)手塚漫画の”火の鳥”のようなアニメが流れる。若干オドロオドロシイけど、まぁ”お遊び”と思えばいいか
。
FAのFはフェニックス(=不死鳥)のFらしいです(本来ならPHENIXだからPだけどね。Fantomと同じやね
)
ちなみにV-SynthGTはタッチパネルってのもあってスクリーンに取り込んだ画像を表示するとかiPadの譜面アプリみたいな事が出来るけどFAはマニュアルにその辺の記載がなかったから出来ないのかな?(ま、あってもやらないケド
)
◎その他注意点
あまりにも軽いので派手にグリッサンドすると本体が飛んでっちゃいそうです
でも鍵盤はこの価格帯にしてはしっかりしてる印象です。
アフタータッチがないのは残念だけど、これも時代の流れかな・・
◎何気に高ポイント
起動時間が超早い!蛍光灯よりはやいかも?今度はかってみる。
◎総括
20年前にJV80っていうRolandのPCMシンセをはじめて買いましたがその頃からあったRoland独特のキラキラしたキャラクターはそのままに、音色の中低域の密度やはっきりとした音の輪郭は90年代の海外シンセ並みで、実際昨日Kurzweilのシンセと一緒に使ったけど全然違うキャラに音圧は全く引けを取りませんでした。国産シンセもここまで来たかーってしみじみしております。
おまけ・・
最高に猫に小判なマイシンセルーム。こんだけ揃えててナニやるのよっってカンジですがー
これでも相当機材を整理しましたのよ
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