「11月の米国大統領選挙でもしトランプさんが勝ったらどうなるのだろうか」という記事が増えてきました。NATOの関係で、ウクライナ支援をアメリカにばかり押し付け、自国の支援が低いEUに2％以上の軍事費が出せなければ米国はウクライナ支援を放棄して、ロシアを勝たせるだろう」というような観測記事が横行しています。私たち日本に対しても、「台湾有事」に対する「関与の優先順位が米国の後になるのはオカシイ」として「敵基地反撃能力保持」を前提に、「アメリカより前に台湾支援に出るべきだ」と言われるのではないかと懸念が伝えられています。
この「もしトランプさんが勝ったらどうしよう」というような議論そのものがおかしくないかと思います。つまり、「自衛隊の存在」と同じ感覚で、「トランプさんに攻められたらどう守るのか」という前提で「対策を考える姿勢」が問題ではないのかと思います。これでは、「習近平に振り回され、トランプに蹴飛ばされ何もできないままに、彼らの欲望の犠牲になるだけの哀れな国」になってしまいます。ここは「安倍元総理の対トランプ外交」のように、「猛牛トランプの牛飼のごとく、鼻ずらを取って引き回す」ことが肝心なのであって、「猛牛が暴れるがままに任せる」というのでは、「習近平＝トランプの関係悪化のトバッチリをまともに食らう」ばかりです。
安倍元総理亡き後にその代役がいないのであれば、それをしのぐ「チームもしトラ」を発足させて、どう「トランプ政権を攻めるのか」を「台湾有事」に限らず常に各方面からの利害関係の分析に基づき、対応策を確立してサポートすべきです。現にアメリカ側の手口を見れば、ブリンケン氏やイエレン氏が「チームバイデン政権」として前面に出て戦っています。
そもそも、今日の「台湾有事」の元をたどれば、「米国が自国の利益のために、蒋介石政権に台湾を渡し、毛沢東に大陸を渡して、対立の構図を作って、アメリカの軍需産業の販売先を作ったことが原因であり、朝鮮戦争ともどもアメリカの利権拡大のために種を植えられたものです。その後ソ連の崩壊により代わって中国が敵役をできるように育ててきたのもアメリカの政策だったわけです。要はアメリカは自国と離れた中東や欧州、アジアに常に火種を仕込んで、その黒幕として「戦争」を演出しながら利益を上げる国であるという本質を忘れてはなりません。イスラエル＝パレスチナでも同じことが言えます。
すなわち「台湾有事」は「アメリカの利益のために作られた戦争」であり、「日本が巻き込まれなければならない理由はない」。いわば子供のころの学校の教室で言えば「隣の席の子が横の席の子ともめている」けど、クラスのガキ大将が「お前が助けてやれ」と言っているにすぎません。ウクライナ戦争だって、「EU各国は【アメリカから買った自国防衛用の戦闘機やミサイル】をウクライナに供与しているわけで、米国の軍需産業は笑いが止まりません。EU各国が供与しているのは「旧型化した戦闘機」などを譲って、最新型の戦闘機に更新しているのが実情にすぎません。
すでにアメリカは直接台湾にのめりこみ、軍需物資を最新化し、軍人も投与している上に、沖縄に極東最大の基地を保有しており、その維持に十分の予算を日本はつけていますから、日本は「米国製の憲法」によって「手足を縛られて交戦権を行使できない」と突っぱねていれば十分な条件がそろっています。日本にとっては「台湾有事は対岸の火事」にすぎません。
もっと大事なことは、「台湾有事後」のことです。中国が勝てば手が付けられなくなるでしょう。だから「朝鮮戦争」の時のように、「中台戦争」を米中で戦わせ、日本は漁夫の利を得る方策が必要なのです。どうせアメリカが勝っても、今の中国の我儘が収まり、大きな市場になって日本が何かを得ることはほとんど考えられません。なぜなら日本の10倍の人口があり、GHQを10個も作って7年半かけて中国を改造できるアメリカではないからです。
習近平は決して被災地の見舞いには出かけません。「君子危うきに近寄らず」です。
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