2年ほど前に廃墟通信に書いたネタの再利用で失礼します。[_ _]
「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ)である。読んだのは半世紀近く前。NHKの「100分de名著」で採り上げられていたのが、約2年前。
「近未来のデストピア」において、文化が衰退してきた「原因」は、なにか。
「20世紀にはいると、フィルムの速度が速くなる。本は短くなる。圧縮される。古典は15分のラジオプロに縮められ、つぎにはカットされて2分間の紹介コラムにおさまり、最後は10行かそこらの梗概となって辞書にのる。」
「要約、概要、短縮、抄録、省略だ。」
時間がない中でもてはやされるのは、すぐに楽しめる娯楽。スポーツが人気を博し、雑誌は活字を減らして漫画やグラビア写真のページが増加。
さらに市場が大きくなると、メディアは抗議の声を恐れ、どんな立場の人も不快に思わないよう配慮、どれも当たり障りのない同じ様な内容になっていく。
「見てのとおりさ、モンターグ。これはお上のお仕着せじゃない。声明の発表もない、宣言もない、検閲もない、最初からなにもないんだ。引金をひいたのはテクノロジーと大衆搾取と少数派からのプレッシャーだ。」
かくして、テレビも本も同時進行的に劣化してゆく。抗議の声を恐れて表現者が自ら表現を手放していく。人々が自ら考えなくなっていく。(隣の家が隠し持っていた)本を燃やすことは、人々の劣等意識を守る、カタルシスを与えるエンターテインメントになった。
「黒人は『ちびくろサンボ』を好まない、燃やしてしまえ。白人は『アンクル・トムの小屋』をよく思わない。燃やしてしまえ。なにもかも燃やしてしまえ。火は明るい。火は清潔だ。」
「国民には記憶力コンテストでもあてがっておけばいい。ポップスの歌詞だの州都の名前だの、アイオワの去年のトウモロコシの収穫量だのをどれだけ憶えているか、競わせておけばいいんだ。」
「もう満腹だと感じるまで“事実”をぎっしり詰め込んでやれ。ただし国民が、自分はなんと輝かしい情報収集能力を持っていることか、と感じるような事実を詰め込むんだ。そうしておけば、みんな、しあわせになれる。」
..本当に70年前の(1953年の)小説なのかよ、という..[;*.*][;*.*][;*.*] 本質的に重要なのは、権力からの押し付けなどではなく、「人々が自発的に本を読むことをやめたに過ぎない」ことなのである。
「おかみのせいでは、ない」のである。
廃墟通信、更新しました。
http://www.kurata-wataru.com/ruin/ruinc43d.html
(今週号の目次は、
2024年03月25日:家電物色2件
2024年03月26日:芸能人格付けチェック 2024 春
2024年03月27日:BGMと水着
2024年03月28日:造園業者決定
2024年03月29日:嵐の日の楽しみ [^.^]
2024年03月30日:まさかのシステム障害 [;^.^]
2024年03月31日:造園打ち合わせ
です。)
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