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2023年12月01日18:44

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11月の読書記録

先月は途中までかなりいい調子で本が読めていたのだけれど、いかんせん下旬にまさかのコロナ感染…
おかげで11月の最後10日間程は殆ど本が読めず。あれさえなかればかなりの本が読めるはずだったのに…と思うとやりばのない思いにかられる。今年も残りわずか。悔いのない読書生活を送ろう(他にやることはないのか?)

2023年11月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5866ページ
ナイス数:207ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2023/11
■ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)
訳者後書きで「元祖ラブコメ」と述べているだけあって、恐らく全作品の中でもとりわけ、コメディー的要素が強く、語り口が軽妙なのが印象的。また、語り手が一見主人公に寄り添っているように思わせながらも、時に突き放したり、シニカルな意見を述べたりとあえていけずな側面を見せるのも印象的。それから、変質的なまでに馬車への執着を見せるジョン・ソープのようなキャラクターの人物造形には、どことなく後の『モンティパイソン』に通じるユーモア感覚を垣間見た気がした。後、イギリスのゴシック小説についてはもう少し深掘りしたいかも…
読了日:11月29日 著者:ジェイン オースティン
https://bookmeter.com/books/578659

■霊のあふれの手記
ひょんなことから十数年ぶりに手に取ることに。恐らく初読の際も同じような感想を抱いたと思うのだが、とにかく著者の献身的、禁欲的なスタンスに、崇敬を覚えると共に、「こういう生き方は自分には無理だな」と思わされることしきり(笑)。というか、ここまで献身的になれるほど、神の現存を身近に感じるにはどうすればいいのか?という今更ながらの疑問を抱いてしまった。また、著者が聖母マリアと共にマグダレナのマリアも崇敬の対象にしているのが気になる。他の人も述べている通り、一通り読めばいいというものではなく、繰り返し読むべき本。
読了日:11月28日 著者:シャルル ド・フコー
https://bookmeter.com/books/1887010

■分別と多感 (ちくま文庫)
約十年ぶりの再読。おぼろげな印象では、主に妹のマリアンの目線で物語が語られ、また彼女の無分別な言動に苛つかされるという塩梅だったのだけれど、いざ読み返してみたら、その印象とは大きく違っていた(笑)。確かに、冒頭でマリアンがウィロビーと一緒にブランドン大佐をくさすくだりなど、かなり不快感を覚えたのだけれど、後半に至るとそれなりの分別がつき、好感度もあがる。個人的には、オースティンの作品の隠れた魅力でもある、脇を固める登場人物のキャラの濃さは本作でも飛ばしてる(笑)。ただ、三女の影があまりに薄いのが気になる…
読了日:11月26日 著者:ジェイン オースティン
https://bookmeter.com/books/444188

■あまからカルテット
著者お得意のシスターフッド物と言えば安直に過ぎるか。主人公四人の人物造形とそれぞれが抱える個人的事情とそれに果敢に対峙する姿につい感情移入してしまう。こういう複数の人物が主人公という作品では、たいてい自分の中での押しが出てくるのだけれど、本作ではなぜかほぼ好感度はほぼ均等というのは、ちと珍しいかも。巻末の初出をチェックしたところ、最後の二編は書下ろしとのこと。雑誌連載の後、二編書き下ろして、あのような大フィナーレ的な展開にもっていくのは、かなりの力技だったのでは?個人的には満里子と高須との別離が残念…
読了日:11月20日 著者:柚木 麻子
https://bookmeter.com/books/4331678

■つまらない住宅地のすべての家
「幸せな家庭の事情は似たり寄ったりだが…」という例の小説の冒頭部分が度々脳裏をよぎった。特別田舎というわけではないけれど、どこか場末的な印象を与えるとある町の一角。その付近に逃亡犯が逃げ込んだらしいという話から、浮き彫りになる、その家の事情。それぞれに抱えている事情が、時に明るみにでたり、新たな局面を迎えたり、何某かの発展を見せたりと、読者にほのかな光を与えてくれるような結末に何とも言えずほっとする。また、各家族の事情を細部まで書き込み、なおかつ物語に整合性をもたせる著者の力量に改めて驚愕した次第。
読了日:11月20日 著者:津村 記久子
https://bookmeter.com/books/17497512

■作家の日記 5 (岩波文庫 赤 615-7)
本書をすんなり理解できるだけの世界史の知識を持った人がどれだけいるのだろう?とふと考えてしまう。逆に言えば、この内容を理解できるだけの詳細な注釈と解釈があれば、本書を深く読み込むことで、とうじのヨーロッパの状況に相当に精通することができたに違いない。そう思うと、改めて本書の注釈と解釈が薄いのが非常に惜しまれる。特に本書では、当時のローマ・カトリックについての言及が多く、その辺りは多少世界史に通じている人にとっても理解が困難なはず。また、『アンナ・カレーニナ』の評論も未読の人に理解できる注釈が欲しかった。
読了日:11月17日 著者:ドストエーフスキイ
https://bookmeter.com/books/1100879

■エヴリシング・フロウズ
図書館で何の気なしに借りてみたら、先に読んだ『ウエスト ウイング』の続編的作品でちょっとびっくり。『ウエスト〜』では小学生だったヒロシの中三の生活を描いたもの。そのまんまだったわけではもちろんないけれど、中三独特のモヤモヤ感や焦燥感や苛立ちにはかなりのリアリティを覚える。また、女子とあまりうまく接することができないと言いながらも、なんだかんだいって結構交流しているヒロシがちょっと羨ましかったり(苦笑)。また、いい人なんだけれど、絡みづらいと言われながらも、生徒のために尽くす担任教師森野がいい味出してる。
読了日:11月16日 著者:津村 記久子
https://bookmeter.com/books/8172653

■ウエストウイング
とある雑居ビルでエアポケットのようにあるいはアジールとして機能していた空間。殆どの人からは見向きもされなかったその空間をアジールとして活用していた三人が織りなすドラマ。書面を通しての交流はわずかながらあるものの、直接的な対面にはなかなか至らず。その微妙なモヤモヤ感は読者の気持ちを妙にそそるものがある。著者独特のふわふわした文体とも相まって、一見、何気ない人々の日常を描いたのほほんとした内容かと思いきや、実は結構ヘビーな要素を孕んでいるのが妙。巻末での、その雑居ビルの存続を巡っての経緯と顛末にハラハラ。
読了日:11月13日 著者:津村 記久子
https://bookmeter.com/books/5589135

■さらさら流る
表紙とタイトル、そして冒頭の大学に入ってまもない男女の交際へと発展しそうなエピソード…当然、この後はこの二人のラブストーリーが語られるのかと思えば、まさかの陰鬱な内容に変転。このあたりの切り替えは本当にうまいな…と感心することしきり。主人公菫とその元恋人である光晴、双方の視点が時に交差しながらも、最終的には全く違う方向へと向かう。そこまでの流れには読者を引きつけずにはいられないものがある。個人的には、ずっと気にかかっていた光晴にトラウマ的体験をもたらした義母を最終章で登場させたことに溜飲がさがった。
読了日:11月12日 著者:柚木 麻子
https://bookmeter.com/books/12143315

■恐怖の正体-トラウマ・恐怖症からホラーまで (中公新書 2772)
タイトルには「正体」とあるが、もちろん「恐怖とは何か」という問いへの究極的な回答が明示されているわけではなく、様々な事例や視点を通して、「恐怖の本質」に迫っていくという態になっている。毎度のことながら、著者の読書や鑑賞した映画の幅の広さと、本書で取り上げられているそれらのチョイスの絶妙さに驚嘆する。ニッチな領域に目を配り、それを独特の視点であれこれと考察するという著者のスタイルと恐怖というテーマはまさに絶妙な取り合わせではないかと思えてくる。個人的には冒頭の電車の下を潜り抜けようとした男の話に絶句。
読了日:11月11日 著者:春日 武彦
https://bookmeter.com/books/21509878

■シンデレラはどこへ行ったのか 少女小説と『ジェイン・エア』 (岩波新書 新赤版 1989)
以前からジェイン・オースティンは初期の少女漫画の源流では?と思っていたのだけれど、その類例を見せられた感じ(笑)。『ジェイン・エア』は良くも悪くも、かなり強烈な読後感を覚えた作品だったけれど、それがその後の少女小説にこれほどまでに大きな影響を与えていたということに驚き。またジェイン・エアという自らの人生を切り開いていくタイプの女性と受け身で王子様を待っているシンデレラという二つのタイプを用いながら、論を進めていくというスタイルが絶妙。個人的には、最後に取り上げられた『木曜日のこどもたち』に興味がわいた。
読了日:11月10日 著者:廣野 由美子
https://bookmeter.com/books/21526496

■哲学思想史 問題の展開を中心として (角川ソフィア文庫)
もっと早くに本書に出会いたかったと思うことしきり。恐らく本書一冊では例えば哲学科の院試にはとても対応できないだろうけれど、学部一年目の哲学史入門として、本書はうってつけではないか。巻末で佐藤優が述べているとおり、「内在的論理がよくわかるように」書かれているため、他の哲学史書に比べ、格段に読みやすくわかりやすい。もちろん、その内容はそれなりのレベルに達しているので、一読して百%理解できるというものではないが、一貫して著者の哲学的視点から書かれているため、再読へのハードルが他の哲学史書に比べ非常に低いのでは。
読了日:11月09日 著者:淡野 安太郎
https://bookmeter.com/books/19304422

■そこのみにて光輝く (河出文庫)
十数年ぶりの再読。著者独特のヒリヒリする感覚を改めて満喫。決して明るくも、爽快感があるわけでもない青春像。でもその陰影に富んだ人達の姿は強烈に読者の頭に焼き付いてくる。特筆すべきは主人公の妻千夏のある種ディーヴァとでも呼びたくなるような存在感であろう。家族のため、自分の実父をも含む数知れぬ男と交わりながらも、決して女性としてのプライドを捨てないその凛としたあり方には、崇敬の念さえ覚える。おそらく女性にもファンが多いと思うのだが、どうか?また、個人的には松本の元妻と主人公とのその後の関係が気になるのだが…
読了日:11月09日 著者:佐藤 泰志
https://bookmeter.com/books/3026216

■嵐が丘〈下〉 (光文社古典新訳文庫)
初読の際も感じたが、今回別訳で読み返して、改めてヒースクリフは満足な気持ちで亡くなった、それとも…という気にさせられる。一応、表向きはキャサリンを奪ったエドガーと、自分を貶めたヒンドリーへの復讐が目的だったが、実のところ自分が果しえなかったキャサリンとの幸せな生活を、次の世代に実現させることに魅力を感じていたのでは?そして、その光景を目にしたことに満足して亡くなったのでは?ついそんな気にさせられた(もちろん、反対意見も多いだろうが)。また、著者解説での、本作の作中人物は観念であるという指摘が示唆に富む。
読了日:11月05日 著者:エミリー ブロンテ
https://bookmeter.com/books/550143

■嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
以前新潮文庫で読んだものを別訳にて再読。ここまで殆どの登場人物に共感できない小説も珍しいのではないか?という気にさせられた(笑)。とりわけヒースクリフとキャサリンという互いにエゴ剥き出しで、時に激しく罵り合いながらも、途轍もないレベルで愛し合っているという複雑な在り方には、想像を絶するものがある。また、一見、第三者的な立場から物語を冷静に語っているかのように思えるネリーも、結構エゴイストで、それに時折判断を誤り、状況を悪化させるような場面も見受けられるし…また、物語の背景にある社会状況がふと気になった。
読了日:11月04日 著者:E・ブロンテ
https://bookmeter.com/books/493115

■テアイテトス (光文社古典新訳文庫)
初読だけでは、理解が心許ないので再読してみたものの、思った以上に理解が進まず。自分の頭の悪さを改めて痛感(笑い)。プラトンってこんなに理解するのが難しかったっけ?と思うことしきり。何分、会話文なだけに、とりあえずサクサク読み進めることができるのが、そこで言わんとすることを深く理解しようとすると、いちいち立ち止まり思索することを強いられるのだが、ついそこをなおざりにしてやみくもに読み進めてしまった感じか。なので巻末の詳細な訳者解説も、やや理解不足。ただ、プラトンの問題意識が今日的であることは理解できたか。
読了日:11月03日 著者:プラトン
https://bookmeter.com/books/13430647

■ディス・イズ・ザ・デイ
何の気なしに手に取って読んでみたら、何とJリーグ2部チームのファンによる人間模様を描いた作品。サッカーはおろかスポーツ観戦の興味が皆無の僕でもそれなりに楽しんで読ませるのに驚き。しかも、架空のサッカーチームとその特徴を構築するだけでも、相当に想像力を駆使せねばならないはず。それプラスそのチームのホームグラウンドの地域とのかかわりやそこに住む人たちの生活を描いてくのだから、並大抵のことではない。サッカーに殆ど興味がないながらも、スポーツチームとそのファンがいれば、それだけでドラマが生まれると痛感した次第。
読了日:11月02日 著者:津村記久子
https://bookmeter.com/books/12820028


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