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2023年12月17日03:42

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周庭

皆様もご存じの通り、日本で一番有名な香港の民主活動家だった周庭(チョウ・ティン、アグネス・チョウ)が9月に出国し、カナダに亡命しました。

元々イギリス国籍を持っていたのですが、2017年に立法会地方選挙に立候補するために、自分から放棄してしまいました。イギリスから中国への香港返還の1年前に生まれていますから、イギリスでも永住権をもらえたはずですが、彼女が亡命先に選んだのは移民に寛容なカナダでした。正解だったと思います。

逮捕歴は合計3度。はじめの2度は、保釈金(日本円で300万円余)を払って一日とちょっとで保釈されましたが、2020年11月23日に、2019年6月の香港警察本部包囲デモを巡り、無許可の集会に参加して若者たちの参加を扇動したことなどで公安条例違反罪に問われて起訴された裁判で起訴事実を認めたため、有罪と認定されてそのまま収監され、同年12月2日に香港の簡易裁判所で禁錮10月の実刑を言い渡されたました。

服役中は、囚人服を作る作業に従事させられていたそうですが、ひたすらまじめに勤めて模範囚として刑期が短縮され、翌年2021年6月12日に服役していた香港北西部の刑務所から出所しました。

ただし、外国勢力との結託を恐れる香港政庁は、彼女のパスポートを返還することはなく、出所後も3ヶ月に一度、警察への出頭を求めました。

出所後は、一切の情報を発信することはありませんでしたが、つい先日12月3日の27歳の誕生日に突然カナダからSNSで事実上のの亡命表明に至りました。

今年の7月に警察に出頭した際に、警察が彼女に出国の方法を提案したそうです。

その内容は、彼女が謝罪状を書いて過去の政治活動に対する後悔を表明し、治安当局者と共に中国本土の広東省深圳市を訪れてテンセント本社など中国の業績を見学し、今後は二度と政治活動を行わないことを約束すること。そうすれば引き換えにパスポートの再所持やカナダへの留学を認めるというもの。

8月に深圳訪問を受け入れ、現地では何枚も写真を撮影されたほか、中国の偉大さを見せてくれた治安当局者に対する感謝状を書かされたとのこと。

12月3日、彼女はSNS上で「おそらく一生(香港には)戻らない」と決意を表明し、カナダに事実上亡命したと報じられまし。

それを受けて香港警察は「あからさまに法律に違反する行動」だと非難する声明を出し、「一生逃亡者の名前を背負う」として、「手遅れになる前に」香港へ戻り、12月中の出頭を呼び掛けました。周庭は保釈中であり「(定期的に)出頭しなければ逃亡犯になる。そうなれば指名手配する」としました。また中国外務省も毛寧報道官に「必ず法律の裁きを受ける」と主張させました。

私は、国際報道2023(NHK−BS)の12月4日の放送でこれらの事情を知りました。おそらくほとんどの日本人はそうだったろうと思います。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/872910?display=1

以下は私の感想です。

2014年の雨傘運動から一貫して立法会議員と行政長官の直接選挙を訴え、香港を中共とは別の民主国家にすることを訴えてきた彼女です。刑務所でのまじめな服役ぶりも、出所後の従順さも全てはお芝居であることに、香港警察は気づいていたに違いありません。

それでも模範囚に徹するなら、それなりに刑期は短縮しなければならないし、出所後も違法行為がないなら、拘束するわけにはいきません。しかし、彼女を放っておけば、いつまたなにがしかの発信をされるかわかったものではない。なんとか外国に亡命して貰う方法はないものか、もちろん北京に怒られない方法で。

行政長官の李家超は熟慮を重ねて、「我々は彼女に十分な刑罰を与えました。精神的教育も施しました。彼女もそれを受け入れた証拠に反省文と感謝の言葉を書かせました。その上でパスポートを返してカナダへの留学を認めました。ところが我々の手の届かない場所に行ったら、やっぱり周庭は周庭だったんですよ。これはもう仕方がないことです。やっかい払いができてよかったじゃありませんか。ねぇ習近平さん」といった、北京への言い訳も考えたのえはないでしょうか。

香港だったから、彼女は8ヶ月で出所できた。
香港だったから、すぐに出国できた。
香港だったから、そのようにできる手段があった。

私は、そういうことなのだろうと推測します。

まぁ、無事で良かった。彼女には習近平には無い「若さ」という武器があります。習近平は70歳。20年後まで影響力を保つことは無理ですよ。20年経っても彼女は47歳。習近平が消えた後の中共も香港も十分見られます。

そのときまでにしっかりと中共史上の習近平時代の位置づけを語れるように、勉強して欲しいと思います。







注:本稿における周庭の概略は、『週刊新潮』12月21日号129〜131頁に依拠しました。
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