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2023年07月02日11:09

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『アシスタント』感想

〜名門大学を卒業したばかりのジェーンは、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意するが――〜<公式HPより>

〜2017年にハリウッドを発端に巻き起こった「#MeToo運動」を題材に、憧れの映画業界が抱える闇に気づいた新人アシスタントの姿を通し、多くの職場が抱える問題をあぶり出した社会派ドラマ〜<映画.comさんより>

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2019年製作作品。87分。

戦場を描かない戦争映画があるように、今作は性暴力の直接的描写は無いMeToo映画。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』では、姿を現したものの、顔は映されなかったハーベイ・ワインスタイン。
今作でも、問題の会長は姿を現さない。

冒頭、まだ暗いニューヨーク。一台の車がジェーンを迎えに来る。
ジェーンの住んでいる建物&灯が、ふと印象の残る。

今日もオフィスに一番のり。明かりやパソコンの電源を順番につけていきます。
(朝一番にオフィスに来て、最後に帰る。週末も働くのがジェーン)

ジェーンは、憧れの企業に就職できたものの、毎日の仕事は、単調そのもの。
ゴミの片付け、コーヒーの準備、コピー、資料配り、電話とり。
(床に落ちていた女性のアクセサリーを拾うことも)
中でも会長の奥さんから電話が、厄介です。
けれど、ジェーンには助けてくれる仲間がいません。
同じ部屋には、2人の男性アシスタントがいますが、ジェーンを名前で呼ばないどころか、紙屑を投げて「ホラ、電話でろよ」と指図してきます。

「君が辞めても、400人が応募してくる」

ジェーンの食事・・・簡単で、温める必要もなく、すぐ食べ終えられるものばかり。

ジェーンは、いつか映画の仕事をしたいと思っていますが、まずは下積みの日々。
ひたすら無言で日々耐え忍んでいます。

ある日、オフィスにアシスタント志望という、若い女の子がやってきます。
その子は会長とホテルで会う約束をしているらしく、ジェーンは送っていくのですが、何かがおかしいと気づきます。
そして、悩んだ挙句、別の棟の人事担当者に、その事を話に行くのですが・・・。

※予告編
https://youtu.be/DZi2HrcVtwk

人事のウィルコックは、最初は穏やかにジェーンの話を聞いてくれるのですが、ある瞬間、それまでのメモを破り捨て、ジェーンの言葉を全てもみ消すような発言をします。
そして帰り際にはこの一言。
「大丈夫、君はボスのタイプじゃない」
オイオイ、もろ、それ、問題を肯定してるってことじゃんか。

部屋に戻れば、アシスタントたちが、もうその事を知っているっていう。
そこで、書かされる反省文。(反省文シーンは2回)
「I overreacted. I will never let you down」
辛い、辛すぎだ。

ジェーンのプライベートシーンはほとんどないのですが、唯一は母に電話するシーン。
「大丈夫なの?」と心配され、自分が父の誕生日を忘れていたことに気づかされます。

エンディング、ようやく仕事が終わって「何か温かいものでも食べて〜」とこちらは思うのですが、ジェーンがとあるお店に入って口にするのは、1個のカップケーキ。
そして、ようやく、1日遅れで父親にハッピーバースデーを伝えます。

カップケーキからこぼれ落ちる屑・・・。
その静かなシーン、ジェーンの声にならない、声にしてはならない、悔しさや、情けなさや、あらゆる感情がこぼれ落ちたように見えました。

今作、明確な起承転結はありません。
とにかく淡々と、冷ややかな空気がずっと漂っています。
万人向けではない作品ですが、監督からの’これが社会のシステム’というメッセージを共感したい方にはオススメ。3.4☆
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