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2022年11月01日10:07

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10月の読書記録

先月は、終盤になって想定外の追い上げで久しぶりに6千頁超え。また、先月は哲学思想系の本を読むことが割に多かったかな。今月も頑張って読もう。

2022年10月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:6110ページ
ナイス数:241ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2022/10
■恋の花詞集―歌謡曲が輝いていた時 (ちくま文庫)
著者の仕事の幅の広さ見識の深さに改めて驚愕そして脱帽。日本の歌謡曲を含む芸能一般の歴史を振り返る上で大変貴重な資料になると思われるし、また単純に読み物として滅法面白い。こういう仕事をモノにすることができる人って今後そうそう出てこないだろうな…それはそうと、本書で今更ながらに痛感させられるのが、日本人の和洋折衷…というか、ハイブリッド感覚の徹底ぶり。本来水と油であるようなものを半ば力業(≒無理矢理)で合体させてしまい、それを一つの作品として成立させてしまう。果たして、そういう強かさが今の日本人にもあるのか…
読了日:10月31日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/199714

■「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか (ちくま新書)
左翼リベラルを自認する人全てが読むべき一冊。時に極論はドギツイ物言いについ鼻白む思いをすることがあるが、基本的にその舌鋒は的確かつ鋭い。一見、正論に思えたり、美しく響いたりする左翼リベラルの言説がいかに説得力に欠けたり、論理的に破綻していたり、矛盾したりしているか…ということが克明かつリアルに語られる。本来なら本書を礎にして、今後の展開を考えるべきなのだろうが、そのハードルはあまりにも高いと言わざるを得ない。かといって、保守ネトウヨが優勢かというとそうとも言えないというのが何とも…今後の左右の未来は?
読了日:10月30日 著者:浅羽 通明
https://bookmeter.com/books/10434326

■現代思想入門 (講談社現代新書)
『現代思想入門』というタイトルの本がこんなにサクサク読めていいのか?と思ったほど、平易な文体。そしてその内容は簡にして要を得ていると思う。個人的には著者自身、かつては難解な思想書を理解するのにいかに苦労したかをかなり赤裸々に語っているのに好感が持てる。こんな本を上梓する人でも最初は色々と躓いたんだな…と。本書の肝はやはり、デリダ、ドゥルーズ、フーコーがいかに二項対立的な思考に揺さぶりをかけたかについての考察だろう。また、巻末の「現代思想の読み方」は現代思想入門者に少なからず勇気を与えてくれるに違いない。
読了日:10月29日 著者:千葉 雅也
https://bookmeter.com/books/19473860

■ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)
左を自称する人でも、その影響と全く無関係ではいられない「ナショナリズム」という呪縛…いや、一言で呪縛だと結論づけられない。それはある時は空気のようなものであり、ある時は明確なイデオロギーとして、色々な形態で我々に影響を及ぼしてくる。そもそもネーションという概念そのものが、比較的最近のもの。それがどうしてこうも我々の心情を支配してくるのか?もちろん本書がその答えを提示するわけではない。あくまでそれについて考えるヒントを与えるにとどまる。ただ、合理性やエビデンス性に基づいて人は生きるのではないことがわかる。
読了日:10月29日 著者:浅羽 通明
https://bookmeter.com/books/553412

■初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)
これまで著者の名前だけは何となし知っていたが、完全にスルーしていた。しかし、小津映画の原作である『彼岸花』が気になり手に取ることに…何というか色々な意味で「こんな小説を書く人だったんだ」と驚かされることに。とにかく端正な文体が印象的。また会話文に独特の躍動感を湛えており、そこが魅力になっている。個人的には年上の女性との微妙な関係性を描いた「みごとな醜聞」と「初舞台」がとりわけ印象的だったか。お目当ての「彼岸花」はつい映画版と比べてしまいがちだが、これはこれで味わい深い。文子の顛末にはかなり驚かされた。
読了日:10月26日 著者:里見 トン
https://bookmeter.com/books/375524

■右翼と左翼 (幻冬舎新書)
明確な違いがあり、決して交わることがないと思われがちな右翼と左翼。しかし、それはかなり相対的なものであり、地政学的な条件次第では、左右の立場が逆になってしまうこともあり得る…いみじくも、本書が出た当時より、左右の政治的立場が錯綜し、気分としてのウヨクとサヨクがネット場で丁々発止のやり取りをしている感がある昨今。改めて左右のイデオロギーの違いを問う著作が必要とされているのではないか?という気がする。個人的には7章での左右双方に対する辛辣な言及がとりわけ印象的。結局、この時の状況を引きずっている気がする。
読了日:10月24日 著者:浅羽 通明
https://bookmeter.com/books/564150

■沈黙 (新潮文庫)
約20年ぶりの再読。初読の際は、「名作とされているわりには内容の薄い小説だな…」という浅はかな感想を抱いたことに深く恥じいった次第。本書のタイトルにもなっている「沈黙」という言葉が、本文中にそれぞれ違った文脈で頻出しており、その意味を考察するだけで一冊の本が書けるくらいに、本書は多くの示唆に富んでいる。また、初読の時にはただひたすらに醜悪という印象しかなかったキチジローが、その弱さが故に多くの人間が持つ、どうしようもない情けなさ卑小さを表していることに驚き。一キリスト者として、信仰の意味を考えさせられた。
読了日:10月23日 著者:遠藤 周作
https://bookmeter.com/books/556977

■善の研究 (岩波文庫)
約二十年ぶりの再読。初読の際は「意外と分かりやすい」という印象だったのだけれど、改めて読み返してみると、一体どんな読み方をしていたんだろう?と思うくらいの難物。それでも著者独特の文体と、そこに秘められた思いのようなものに当てられて、ひたすら読み進めていた感が。解説にもあるように、日本に哲学という学問が齎されて早一世紀半の月日が経つのにも関わらず、結局のところ本書を超える日本オリジナルの哲学書は未だ世に出ていないと思うと、一抹の感慨が湧く。やはり圧巻は最後の宗教か。西田の他の論文も読み返したくなった。
読了日:10月22日 著者:西田 幾多郎
https://bookmeter.com/books/538309

■リトル・ピープルの時代
興味深くは読めたが、思っていたのと違うな…というのが正直なところ。てっきり『1Q 84』におけるリトル・ピープルに特化した考察を予想していたので。それはそうと幼少期にウルトラマンと仮面ライダーそれぞれのシリーズをほぼリアルタイムで見ていた者として、その両シリーズについての詳細な分析にちと驚き。何より驚かされたのが、0年代の仮面ライダーシリーズの複雑かつシビアなストーリー。ライダー同士の戦いがテーマという設定もあるとは聞いていたが、あそこまでとは…ヒーロー物≒勧善懲悪物という概念を完膚なきまでに覆された。
読了日:10月21日 著者:宇野 常寛
https://bookmeter.com/books/4011013

■文学者と哲学者と聖者 吉満義彦コレクション (文春学藝ライブラリー)
かつて全集版で何冊か読んだことがあるが、ここまで読みにくい文章を書いていたとは…とにかく無駄に長い文章が多くて、つい「どうすればうまいこと短くできるだろうか」てなことを考えてしまい、先に進まないこと数知れず(笑)。外はいえ、何かと触発される箇所も少なからずあり、あちこちに付箋を貼ったのも事実。行き過ぎた進歩主義や個人主義、そしてつい忘れられがちになる宗教や魂の問題など、百年近く前から人間が抱えている問題ってあまり変わっていないのだな…という気にもさせられる。それから編者による注釈が全くないのは不親切。
読了日:10月17日 著者:吉満 義彦,若松 英輔
https://bookmeter.com/books/19652387

■大江健三郎 柄谷行人 全対話 世界と日本と日本人
登録場面を開くまで既読本であることに全く気づかなかった(笑)。それはそうと本書で、二人が度々、文学の終わりについて言及しているのにも関わらず、今も文学…というか小説は出続け、新しい読者を獲得しているという事実をどう捉えれば良いのか?という疑問が湧く。彼らの言う文学と今巷に出回っている小説は、もしかして似て非なるものではないのか…とか。」また、日本の翻訳事情の特殊さを改めて痛感。この文化を根絶やしにしてはいけない。それと、巻末の年譜で記載されている二人の政治活動に、今時の子は拒否反応を示すだろうな…と。
読了日:10月16日 著者:大江 健三郎,柄谷 行人
https://bookmeter.com/books/12878276

■文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争 (講談社文芸文庫)
兼ねてから谷崎と芥川の論争は知っていたが、さぞかし丁々発止の激論が交わされているのかと思いきや、拍子抜けするほど、淡々としたもの。それでも、この論争の渦中、谷崎は芥川にややきまりの悪い思いをしたこともあったとのことだから、字面では掬いきれないものがあったのかもしれない。というより、谷崎と芥川がこれ程、個人的な交流があったというのも驚き。ただ当時の文壇の状況についての予備知識がないと理解し難い記述や、一般に馴染みのない人名も頻出するのにも関わらず、注釈が全くないのは不親切。詳細な注釈をつけた増補版を望む。
読了日:10月16日 著者:芥川 龍之介,谷崎 潤一郎
https://bookmeter.com/books/12179383

■読書会という幸福 (岩波新書 新赤版 1932)
こうやって地道に本の感想を書いていっても、なかなか本を通じての他者との交流ができないのに、直に他人と会って、本の感想を共有する…憧れはあるけど、個人的にハードルが高いな…というのが正直なところ(笑)。それでも、読書の楽しみを他者と分かち合うことの楽しさは、本書から十分伝わってくる。その一方で、著者が参加する読書会のメンバーの高年齢化、中高生による読書会開催の困難さなど、暗澹とさせられる記述があるのが気になる。それから、以前から自分の中で被っていると感じていたヴェイユとウルフを同時に扱う記述が嬉しかった。
読了日:10月13日 著者:向井 和美
https://bookmeter.com/books/19779696

■人間: シンボルを操るもの (岩波文庫)
前々から気になっていたので再読。さすがに初読のより理解が深まった感があるが、それと同時に本書が哲学入門書としていかに優れているかということを改めて再認識。タイトルそのものである「人間」という存在が人間独自のシンボルという道具を用いて、いかにこれまでの進歩を成し遂げてきたかということが如実に窺い知れる。また、この再読の際、とりわけ印象的だったのが、ヘレン・ケラーの言語習得のエピソードだったのだが、初読の時も同じことを述べていたに驚いたのと同時に納得させられた。これは、哲学科のテキストとして広く読まれるべき。
読了日:10月10日 著者:E. カッシーラー
https://bookmeter.com/books/12506

■新訳 夏の夜の夢 (角川文庫)
作品そのものの内容はともかくとして、英文科プロパーとか、演劇志向の人でない限り、他の訳書で読んだ方がいいと思われる。とにかくトリヴィアルな注釈を読むのが辛いし、行末に表記される夥しいまでの記号の意味がわからなくて、しかも目障り。それはともかくとして、その内容はこれまで読んできた著者の作品にはないやや複雑な構造。そして本編のストーリーとサブストーリーである作中劇との絡みが今一つ理解できず。その辺りの解説がないのも物足りなかった。個人的にはハーミアとヘレナとの女の争いが興味深く読めたか。他の訳で読もう。
読了日:10月09日 著者:シェイクスピア
https://bookmeter.com/books/7493032

■読書と人生 (講談社文芸文庫)
これまでそれなりに読書経験を積んできたと自負するが、それでも三木のような碩学の読書歴や読書論を目の当たりにすると、やはり自分の読書量の乏しさ読みの浅さに赤面する次第。明治維新からまだ半世紀程さか経てない時代に、西洋哲学に触れ、原書を入手し、辞書を片手にひたすら読み込む…そうした幾多の先人の努力の成果があっての、今日の大学の筈なのだが…それはともかくとして、ネットはおろか電話さえもろくに通じていなかった時代だからこその、師弟と弟子、勉強仲間との濃い関係性には何とも言えない憧憬を覚える。氏の短命が惜しまれる。
読了日:10月07日 著者:三木 清
https://bookmeter.com/books/7086514

■私の文学史: なぜ俺はこんな人間になったのか? (NHK出版新書 681)
著者の作品で時折出会う訳の分からない表現や、常人には理解し難い登場人物のこだわりや思い込み。当然のことながら、そのルーツは著者町田康にあったのだな…と再認識。実際、本書で幾度となく、「この人何いってるんだろ?」という発言を目にして、その度に「まあそれが町田だということなのだろう」と納得させてきた気がする(笑)。それはともかくとして、氏の文学的ルーツの一つに、僕の大愛読書であった北杜夫の『船乗りクプクプの冒険』があったという事実が、個人的に非常に嬉しかった。また、日本の古典の大切さを気づかせてくれたか。
読了日:10月06日 著者:町田 康
https://bookmeter.com/books/19957495

■灯台へ (岩波文庫)
約二十年ぶりの再読。初読の際は、起伏に乏しい淡々とした小説という印象しかなかったが、その浅はかな読みを深く恥じいった次第。ごく狭い人間関係の中にも様々な人間模様や言い出せぬ思いがある。そのような人間の感情の微妙な襞や機微をいきいきと描くその筆致に驚き。また、昔でいう初老に近い年齢に達した者にとって、妻と二人の子供に先立たれたラムジー氏の姿に何とも言えないシンパシーを覚える。そしてその傲慢で強権的な父親ラムジーに反発心を抱きながらも、渋々従う二人の子供との微妙な関係性は多くの人に心当たりがあるのでは。
読了日:10月02日 著者:ヴァージニア ウルフ
https://bookmeter.com/books/386147

■在宅ひとり死のススメ (文春新書 1295)
五十代半ばのお一人様として、何かと身につまされる内容ではあった。しかし、その一方で、本書で書かれているような在宅ひとり死のハードルがそれ程低いものだとは思えないというのが、正直なところ。コロナ禍の後、経済はますます低調、福祉カットと自己負担率の上昇は避けられない状況にきていると思われる。本来なら著者後書きにもあるように、一人一人が高齢者福祉のあり方に声を上げるべきなのだろうが、それが大きな動きになる可能性も低い気がする。五年、十年で常識が非常識にあるいはその反対という現象が起こる高齢者福祉。その未来は?
読了日:10月01日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/17246508


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