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2022年09月24日23:33

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緊急事態条項 無知蒙昧の田布施日本ヤクザ株式会社の奴隷か酷民 

危険・警告緊急事態条項の理論危険・警告

 自然災害や国際紛争のような危急の事態に対し、政府が予め準備を進めることに異論を挟む人々はいないだろう。事実、危機(crises)への行政上の対応を明確化した法律は、ほとんどの国に存在する。日本でも、国と地方公共団体が、国民の生命と財産を保護するために公的資源をいかに活用するかを定めた災害対策基本法が設けられており、国の領域と国民を守るために、いつどのような場合に自衛隊が発動可能となるかのガイドラインを示した有事法制もある。危機は、その予測可能性、出現スピード、短期的・長期的影響などが多様であるため、変わりゆく状況に対する融通を極力認めるような準備や対応を通常の法律で明示する傾向がある。

対照的に、憲法での緊急事態条項は、もっと抜本的なものである。国家緊急権としても知られているその規定は、立憲主義体制に対する「例外」を作り出すことを目的としている。最も一般的な意味において、憲法は2つの事柄を特定化する。第一に憲法は、私的な事柄に対する政府による介入や偏重を制約するものとして、公民権と自由権を定めるものである。第二に憲法は、政治代表の選択、維持、権威などを制定する統治機構、なかでも政治制度の輪郭を描くものである。各国の憲法は、その詳細さのレベルにおいて、一定の幅がある。たとえば、インド憲法は約15万単語にまで及ぶのに対し、日本国憲法は英訳で5千語にも満たない薄い文書でしかない。ところが、立憲主義のもとでは、明記されている人権と統治機構の取り決めは、正式な憲法改正の手続きを踏まない限り、廃棄することは不可能である。憲法98条に記されるとおり、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」のである。最高法規として国民の支持のもと長期的に効力を発するために、国会の過半数で変えられる「法令」と違い、日本国憲法の「改憲」は各議員の3分の2と国民投票の過半数の承認を要する。

 緊急事態条項は、特定の状況下、定められた機関(主に行政府)に対し、一時的に平常の憲法の枠組みを超える権限を与えるものである。例として、デモなどの規制(集会の自由の制限)、法律と同等の効力を持った政令(立法府の権限の奪取)、政府情報の開示の制限(報道規制)、議会の事前承認無しでの軍隊の発動(シビリアンコントロールの弱体)などを、総理大臣および大統領が宣言することは、緊急事態条項によって許される。これらの行動は、平常の秩序を取り戻し維持するために必要な非常処置として、合法化されるのである。

 そして乱用されがちとなる国家緊急権は、用心しなければならない十分な理由があることを歴史は物語る。おそらく最も有名なケースが、戦前ドイツ国のヴァイマル憲法48条である。そこでは共和国議会の事前同意なく緊急令を発し、一時的に基本権を停止する権限を、大統領に与えられた。1930年代初頭におけるヴァイマル大統領による度重なる緊急令の乱発のため、立憲民主主義に対する大衆の不満は増大していく。それが結果的に、ナチスの台頭と第二次世界大戦前のドイツにおける議会政治の崩壊につながっていくのである5。同様の問題は、1980年代を通じて南米諸国においても噴出した。軍隊をバックに付けた大統領が、権力の集中と自由権・公民権の制限を合法化する緊急権をその支配に用いたのである6。

 その結果として、ほとんどの現行憲法は国家緊急権に関する条項を定めている一方で、緊急事態として取り上げられる具体的な状況とは何か、そのような状況が実際に現れたかどうかの判断を誰が決められるのか、緊急に際してどのような主体が権力を発揮できるのか、それらの権力が、どの程度、通常の人権を制限することが出来るのか等を、各国の憲法では具体的に列挙しているのである。

比較憲法典データで見る緊急事態条項

 では、緊急事態条項の内容は、各国の憲法において、どの程度、共通しているのだろうか。これまで多くの研究者が、着想を得るべく、ヴァイマル憲法などの歴史的な比較検証を行ってきた。それに対し、ここで私はより広範なアプローチを行ってみたい。具体的には、1789年から今日までの約900にのぼる憲法の内容を、800以上の変数についてコード化した"Comparative Constitutions Project(比較憲法プロジェクト)"のデータを用いる7。このデータからは、人権、統治機構、政府と軍の関係、そして緊急事態条項などの内容が、憲法上、どのような流れに沿って特定化されてきたのかを、直接比較し、計測することが可能である。

 具体的な例から始めよう。図1には、調査された各国の憲法のうち、緊急非常事態の条項を含む割合(太線)、および緊急時の人権保護規定の緩和もしくは停止を含む割合(点線)の経年変化を示したものである。ここからまず、今日では90.3%の憲法において、緊急事態条項の含まれていることが分かる。今や緊急事態条項は、憲法における最も共通した項目の一つとなっている。比較として、表現の自由は現行憲法の95.9%に明記されている。ところが一方で、緊急時の人権保護に関する規定は、かなり異なった動きをみせている。2つの線は、歴史上多くの場合、併行して動いてきたが、1960年代になって大きな断絶を見せた。その因果関係については今後さらなる検証が必要ではあるが、現行憲法のうち、緊急時における人権制限を認めているのは61.3%に限られる。言い換えれば、憲法の起草者たちは、政治的に選ばれた人々に過大な権力を委任することに対して、ますます慎重になっているのである。
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