夏が来れば思いだ…す事あんまねえな…

最近、自分の旅といえば、
行かされている出張先から単線のボロ電車（失礼だが…）に乗って、
景色のいい場所や地元の城をめぐる事が多い。

ただ、シーズンは大体が過ごしやすい、歩き回りやすい春か秋、
雪国とかでなければ冬も入る。

なんで夏はないんだって？
暑いからじゃ

東京の同僚と日曜に飯食いに行った時の話。
同僚は盆休みがあるので、今年はどこかに旅行したいとの事。
さすが家族持ち。そこに痺れる憧れる。

「モトリーどっか行かんのか？」

「行ってるやん。日本中を浮草のように…（遠い目）」

「…いや、そうじゃなくて、行きたい場所ないのかって。」

「国内に限るけど、どこでも行きたいとこあるで。沖縄以外。」

「沖縄料理大好きじゃなかったっけ？なんで？」

「なんで暑い時にクソ暑いとこへ、海外より高い旅費出していかなならんねん。
　しかも海なんて、独身の中年には場違いもええとこやぞ…」

海なんて、20年前に強制的に連れていかれた時以来、泳ぎに行っていない。
ましてや今や若くもないし、男1人で海水浴なんて、地獄以外の何物でもない。
その当時もだが、四捨五入すればスッポンポンの友情と愛情の光に満ちた世界で、
闇属性の余り物が一人で海入ってやけくそで力泳する姿…
想像すらしたくもない。

逆にお前はどうなんよと聞き返すと、
同僚は家族での海水浴が夏の定番らしい。
なんでも、嫁さんが泳ぐの大好きなんだと…普通はチビが行きたいと言いそうやが、
一風変わった動機やな。

「だから、沖縄は絶対行きたいんだよ。」
同僚力説。日本で唯一行きたくないとまで言った俺、少し罪悪感。

旅行の計画とは別に、湘南や大洗あたりに車で今年もいくそうな。

「あそこら辺、人多いやろ。迷子とかならんの？」

「大丈夫。俺、嫁さんがどこで泳いでてもわかるから。」

…なんや惚気かい。
しかし、愛妻家やなぁ…うらやましいにも程がある夫婦仲やん。
俺の番はまだかねえ…
軽い溜息をついて、少し苦く感じるビールをあおり…

「嫁さん、焼きたくないからって1枚羽織ってサンシェードつけて泳ぐから、
　海から上がってきたらダースベーダーみたいな恰好で、すぐ分かるんよ。」

…盛大に噴き出した。