mixiユーザー(id:4997632)

2022年06月01日11:20

61 view

原発雑考第407号の転載    核抑止論の破綻、 2021年度のわが家のエネルギー消費など

原発雑考第407号の転載です。

2022・6・5
発行 田中良明
転載自由
連絡先 豊橋市富士見台二丁目12-8 E-Mail tnk24@tees.jp


核抑止論の破綻

 ウクライナ戦争勃発から3ヶ月。依然として戦闘が続いている。
 開戦時にはロシアが軍事力で圧倒してこの戦争は早期に終結するという観測が一般的だった。この観測を下敷きにして降伏論が唱えられた。どうせ負けるのなら、初めから抵抗しない方が犠牲も少なくて済むという理屈で、降伏したあとウクライナがどうなるのかを考えない無責任な論である。
 アメリカがNATOを拡大してロシアを刺激したことがこの戦争の原因であり、戦争の責任はアメリカにあるというアメリカ責任論もあった。しかし戦争が長期化し、その過程でロシアの戦争目的がウクライナの属国化・ロシア化であることがますます明白になり、この論も消え去った。
 以下ではこの戦争が呼び起こした真の論点のひとつである核抑止論の破綻について述べる。
 核抑止論とは、侵略にたいしては核兵器で反撃すると警告することで侵略を抑止できるという内容の核保有正当化論である。核抑止論では核兵器は防御的に使用されることが前提になっている。核先制不使用宣言をめぐる議論においても、宣言反対派の反対理由は生物・化学兵器の使用にたいし核兵器で反撃する選択肢を残しておくべきだということであり、核兵器は防御的にのみ使われるということは賛成派、反対派の共通理解になっている。
 ところがウクライナ戦争でプーチンがほのめかした核兵器使用のケースは、第三国が本格介入した場合と、戦況がロシアにいちじるしく不利になった場合とである。どちらも戦争を有利に進めるために核兵器を攻撃的に使うことを意味している。核戦争を辞さずという権力者が現れたのである。
 トランプという危なっかしい前例もあり、プーチンが去ってもこの手の権力者がまた出現しない保証はどこにもない。いかなる権力者も核戦争は望まないというのが核抑止論の前提であるが、それが失われたのである。そしてその瞬間に核抑止論という核保有正当化論は破綻したのである。


2021年度のわが家のエネルギー消費

 過去10年間のわが家の太陽光発電の発電量と電気・都市ガスの消費量は以下のとおりである。
年度   電  気(kWh) 都市ガス(㎥)  原油換算したA
    発電量  消費量(A)  消費量(B)   とBの合計(ℓ)
12   2632   1612   302  726
13   2676   1621   300  681
14   2516  1548   283   647
15   2450  1658   284  673
16   2632  1546   244  600
17   2689  1609   281  659
18 2615   1569   284 653
 19 2636   1582 276 648
 20 2646   1623 285 675
 21 2664   1602 273 657
 太陽光発電は2000年8月の運転開始で、年間フル運転した2001年度から2005年度までの年平均発電量は2483kWhである。また、2011年以前に年発電量が2600kWhを超えた年はない。これにたいして表にあるように2012年以降は2600kWhを超えた年が8年あり、最近6年間はすべて2600kWhを超えている。発電量は日照量に左右されるので、近くの伊良湖の年間日照時間を調べると、2001〜2005年の平均は2189.6時間、2012〜2021年の平均は2282.2時間で、後者のほうが4%あまり多い(豊橋の日照時間は期間中に観測条件の変更があってデータが均質でないので、代わりに伊良湖のデータを使用)。この違いが発電量に反映していると考えられる。
 2016年以降についてはこの年の4月にパワーコンディショナー(太陽光発電で発電されるのは直流で、それを交流に変換する装置)を交換し、変換効率が上がっていることも影響していると考えられる。たとえば2004年は伊良湖の年間日照時間が2261.2時間で、発電量は2537kWh、これにたいして2021年は年間日照時間が2244.7時間で、発電量は2664kWhとなっている。
 こういう有利な条件があるとはいえ、運転開始時より発電量が多いのだから、設置からまもなく満22年になるがまだ性能劣化はしていないと考えてよさそうだ。太陽光発電の設備容量1kWあたりの年発電は1000Whが目安とされている。わが家の設備容量は2.24kWだから、2021年度は1kWあたり1189kWh発電したことになり、目安を2割近く上回っている。この点からも性能劣化はしていないといえよう。
 太陽光発電装置は長持ちするのである。ただしリユース・リサイクル・廃棄のシステムは未整備である。これはわが家に太陽光発電装置を設置した頃にすでに指摘されていた。その時は、わが家の装置が運転をやめることになるまでには整備されるだろうと考えていたが、甘かった。業界も行政も問題を放置したままである。こういう点からも太陽光発電(広くいえば再エネ発電)を本気で普及しようという気構えがあまりないことが窺える。
 わが家の電気消費量(太陽光発電の自家消費分+電気事業者からの購入分)は1602kWhであり、世帯あたり電気消費量の全国平均4322kWh(2017年)の37%に相当する。ただし、家庭で使われるエネルギーには都市ガス、LPガス、灯油もあり、オール電化であればこれらはまったく使われないから、家庭のエネルギー消費の多寡を比較するには家庭で使われたすべてのエネルギーを合算する必要がある。換算係数を用いて計算すると、わが家の家庭エネルギー消費は2017年の全国平均の半分程度になる(なお、住宅太陽光発電の自家消費分はどこにも報告されておらず、統計から完全に漏れている。したがって実際の全国平均の電気消費量は公表されている4322kWhよりやや多いはずである)。
 ところで、3月の東電管内の電力需給逼迫警報発令や、ウクライナ戦争による化石燃料の価格上昇・調達困難化、および化石燃料海外依存の危険性の表面化、そして長期的には脱炭素化による火力発電の縮小・消滅の予想などから、必要な電力をいかに安定的に確保していくかが関心を集めている。
 上に挙げた問題のすべてに対応できるのが省エネと再エネ利用の促進であることはいうまでもない。再エネ利用についてはたびたび取り上げているので、以下では省エネとりわけ家庭における省エネについて一言しておく。
 家庭の省エネの根本は住宅の省エネ化であり、日射と風をうまく取り入れることと十分な断熱化が基本である。もちろん省エネ機器の導入も必要である。しかしこれらには費用がかかるし、住宅の本格的な省エネ化が可能なのは住宅を新築あるいはリフォームする場合に限られ、だれにでもできることではない。そして本誌395号で紹介した北九州市の城野ゼロ・カーボン先進街区の事例が示すように、節約を伴わない設備の省エネ化だけでは十分な省エネ効果は出ない。節約なしには家庭の省エネは成功しないのである。
節約はだれでもどこでもできるし、もちろん家計支出の軽減にもなる。節約の呼びかけにもっと力が入れられるべきだ。


雑 記 帳

 5月初めに庭のアマナツとダイダイの花が咲いた。柑橘類の花は香りが命。柑橘類の大産地である和歌山と愛媛で高校卒業までのほとんどの時間を過ごした私にとっては、懐かしい香りでもある。5月の末になると木に咲く花はほぼなくなり、緑の季節になる。仕事部屋から外を眺めると、狭い庭とその先の小さな公園の木々の緑が視界いっぱいに広がる。
 ツバメはわが家の巣に4月中旬からときどき飛来していたが、今年は周辺一帯への飛来数が少なく、営巣はあまり期待していなかった。ところが5月20日過ぎから1羽がひんぱんに飛来し、25日からはそれが2羽になり、営巣の期待が一挙に高まった。その状況は月末まで続いているが、産卵はしておらず、巣に入ったり巣の周りを飛び回ったりしながら騒いでいるだけで、過去に営巣したツバメとはどうも様子が違う。近くで営巣しているカップルがセカンドハウスとして気晴らしに使っているだけかもしれない。
 27日の朝、庭の水がめの日除け用のすだれにムギワラトンボが止まっているのを連れ合いが発見した。まだ羽が湿っていた。昨年に続き、水がめのなかで育ったヤゴが外に出て脱皮したようだ。残念なことにこの日は雨模様で気温も低く、飛び立てるようになる前に力尽きたらしく、夕方にはすだれの下で死んでいた。ところが翌日からも3日連続で1匹ずつ脱皮があり、すべて無事に飛び立った。4日目の31日には水がめのなかでヤゴが1匹死んでいた。水がめから出ることができなかったためだろうか。

万場緑地のネコ 第30話 
 昨年の1月から8月の間に万場緑地公園内で10匹を新たに保護した。その後は今年の4月に1匹保護しただけである。昨年最後に保護したネコと今年保護したネコは、公園周辺の同じ場所をねぐらにし、公園には餌をもらいにだけ来ているようで(そういう「通い」のネコはほかにもいる)、公園内に捨てられたのではない。公園内に捨てられたのは昨年7月が最後で、それからほぼ1 年間は1匹も捨てられていないのである。これが捨て猫の全般的減少の結果であればうれしいが、はっきりした理由は分からない。なお、昨年1月以降これまでに譲渡3匹・ケージ飼いへの移行2匹・行方不明3匹・死亡1匹の計9匹がいなくなっているので、この約1年半の間の増減は1匹の増である。

お知らせ 見てお分かりのとおり、今号から前月のエネルギー消費の欄は廃止しました。年1回の年間エネルギー消費の報告は続けます。

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年06月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930