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2021年12月01日08:11

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11月の読書記録

先月も今一つ思うよう本が読めなかったな…ただ、こうして先月読んだ本のタイトルを確認すると、意外と哲学思想系の本の割合が多いのに、我ながらビックリ。

2021年11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4681ページ
ナイス数:157ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2021/11
■他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ
人の気持ちに寄り添う、相手の立場になって考える…ただでさえ難しいのに、それにここまで色々と学術的な分析がなされると、取り留めがなくなってしまいそう…しかし、本書で「アナーキーとエンパシーはセットで」と銘打っているように、その概念を深く理解し、有効に活用していけば、世の中は確実に良くなる…もちろん、最初からうまくいくわけはないだろうが、それでも著者が幾度となく提唱する「地べた」からのスタンスで、エンパシーという能力を育て共有していけば、とりあえず自分達の周囲だけでも気持ちよく生活できる。そこから始めるか。
読了日:11月30日 著者:ブレイディ みかこ
https://bookmeter.com/books/18094812

■「ことば」に殺される前に (河出新書)
収められているテキストの大半が十年程前のもの。本書で幾度となく言及されている著者の息子さん達も早くも十代半ば。年の経つ速さに唖然とすると共に、この頃から比べても更に混迷を極めている世相に思わず嘆息…古希を迎えて十代の息子と対峙するってどんな感じなのかな…と本書の内容とは関係ないことをふと考えてしまった。個人的にとりわけ印象的だったのは、著者の小説観、そして創作に向かう姿勢。須く小説家というのはかくあるべし、とは思わないが、それでも物書きとしての矜持が強く感じられた。そして、改めて小説家にはなれないな…と。
読了日:11月28日 著者:高橋源一郎
https://bookmeter.com/books/17827833

■本心
人間の定義とは一体何か?ふとそんなことを思わされた。実体のない物でありながら、限りなくかつて存在した人に近づいていくヴァーチャルな何か。その人と会話しているような気になっていても、それはAIが学習した機能の表れでしかない。しかし、時に人はそれに慰めを見出したりもする…決して荒唐無稽とは思えない、むしろ近未来にはこのような現象が実現化すると思わせるようなリアリティを覚える。しかし、そのVRに飽き足りない主人公が見出す新たな人生への可能性。そこにまで至るプロセスの描写が秀逸の一言。幸せになってと願うばかり。
読了日:11月25日 著者:平野 啓一郎
https://bookmeter.com/books/17826636

■島尾敏雄日記―『死の棘』までの日々
十年ぶりの再読。やはり著者のクズぶりについ目が行ってしまう(苦笑)。三十路前で結婚もしているのに、親の脛齧り。時折、息子に意見したり、叱咤したりするも、何だかんだ言って、息子に甘い父親。今でいう共依存というやつか?大学の助教授という職に就いているなら、お金に困らない筈だが、それでも借金を繰り返すという経済観念の欠落ぶりはまさしく夜郎自大。何度もお金がないとこぼしているが、だったら浪費を控えろよと突っ込みたくなることしきり。一方で文壇との関わり、特に三島を非常に意識しているのが、意外であり、また興味深い。
読了日:11月24日 著者:島尾 敏雄
https://bookmeter.com/books/643064

■現代の超克 本当の「読む」を取り戻す
若松、中島両氏共柔らかく平易な語り口。そして本人達が自認しているように、関心領域がかなり重なっているためか、よくよく注意していないと、どちらの発言かわからなくなる。しかし、これは著者達流に言えば同じコトバが二人を通して、語られるということなのだろう。前述のように平易でさくさく読み進めることができるが、その内容は深く、未消化な箇所が少なからずあった。それと同時に心に突き刺さる、あるいは引っかかる言葉が随所にあり、あちこちに付箋を貼りまくることに。近代の超克とは何だったのか。新たな評価への嚆矢となりうるか。
読了日:11月22日 著者:中島岳志・若松英輔
https://bookmeter.com/books/8246186

■じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ (新潮文庫)
やっぱりモンティ・パイソンを産んだお国柄何だな…と思わされた。言葉遊びやドタバタ的要素など、ああこの感じはと度々気付かされることに。ただ、その一方で解説でも指摘されている通り、話の辻褄が合わない箇所が散見されるのが気になる。それでも、そういうことが許容されるような時代で、別の楽しみ方をすべきだということか。時代といえば、女性蔑視的要素が強いのもそうか。とりわけ女性を物として見る傾向がかなり露骨。収められた二作ともツンデレタイプの女性が登場するが、個人的には「空騒ぎ」のベアトリスの方に魅力を覚えるかも。
読了日:11月19日 著者:シェイクスピア
https://bookmeter.com/books/522919

■不道徳教育講座 (角川文庫)
著者自身も後書きが述べているが、序盤は若者向けという趣向であったのが、段々と一般向けになっていったキライが。それでもそれなりに楽しめたか。とはいえ、やはり時代性を感じさせるのは否めない。何せ半世紀も前のものだからさもありなんだが、逆に一時代を移す鏡という側面もあるか。この頃に比べると、今の若者はだいぶ大人しくなったというか、牙を抜かれた感があることしきり。また、炎上だのコンプライアンスなんてものの萌芽さえ存在しなかった時代。特に今日的なジェンダーとかフェミニズム的視点からアウトな記述があるのも逆に一興か。
読了日:11月18日 著者:三島 由紀夫
https://bookmeter.com/books/576125

■吉満義彦――詩と天使の形而上学
2度目の再読。それでも新たな発見と知的興奮と驚きに事欠かず、あちこちに付箋を貼ってしまった。カトリック、プロテスタントの代表者が時に反発しながらも深いところで、互いに認め合っている姿に、改めてエキュメニズムの兆しが感じられる。また、プロテスタントだけに止まらない他州派との関係性、また文学者との交流など、あの時代によくもこれまでと言いたくなるくらいに、多様な領域の知識人と吉満が関わっていたという事実に驚愕。吉満とその師岩下壮一がせめて後数年でも長生きしていたら日本の知的状況が大きく変わっていたに違いない。
読了日:11月14日 著者:若松 英輔
https://bookmeter.com/books/8333677

■忍びの滋賀: いつも京都の日陰で (小学館新書)
滋賀ってそこまで自虐的にならないほど地味な存在なのか?とちょっとびっくり。滋賀ってひこにゃん有名だし、かつて都があったとこだし、京都へのアクセス便利だし…と思っていたが、関西圏以外の人からそんなもんなのかな…とちょっと納得。そしてその地味なこと極まりない滋賀という存在を、これでもかというくらいに面白おかしく、また随所に蘊蓄を散りばめながら綴る著者の語り口に脱帽。この人文章上手いな…と改めて思わされた。それから滋賀の不幸は、隣に京都があるからで、そうでなかったら、そこまで地味と言われなかったのかもしれない。
読了日:11月13日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/14782171

■差別感情の哲学
本書で指摘されている差別用語に対するアレルギー的な反応。そして現在席巻している中韓に対するヘイト的な言説。後者は前者の反動というより、結局同一線上にあるものではないか?と思わされた。つまり、両者とも著者が度々言及する「繊細の精神」の欠如の表れではないか。確かに自分の中にある差別感情をゼロにするのは不可能。しかし、それを自覚し、それといかに対峙するか?という視点を持ち続けること。そのことの重要性を認識していない人達がヘイトに走るということだろう。哲学は決して虚学ではないということを再認識させてくれる。
読了日:11月10日 著者:中島 義道
https://bookmeter.com/books/420912

■ウソつきの構造 法と道徳のあいだ (角川新書)
ウソをつくことは基本的に良くないと恐らく誰もが思っている。しかし、一生嘘をつかずにいることは不可能。これも周知のことである。「嘘も方便」は一体どこまで許容できる概念なのか?本書を読んでふとそんなことを考えた。また、本書を読んで、前政権から今日にかけていかに政治家の言葉が軽くなり、政治が腐敗したかを改めて痛感。常識では到底あり得ないことが堂々と罷り通って今日に至っているという状態の異常さに今更ながらに驚愕。著者のいう「繊細の精神」が減退しているということか。哲学の復権が必須だが、ほぼ絶望的なのが辛い。
読了日:11月09日 著者:中島 義道
https://bookmeter.com/books/14545519

■つかふ: 使用論ノート
「つかふ」という言葉を巡っての哲学的論考。そこに芸術論、文化人類学、言語学的分析も織り込んで、縦横無尽に論じているため、話の道筋についていくのにやや難を覚えたか。それでも、普段何気無く使っている「つかふ」という言葉にこれ程の豊穣で多義的な意味が込められていたのかということに驚愕を覚える。また、科学技術の発達により、我々がいかに自分達の身体の可能性を狭めているかという事実を改めて痛感。元の状態に戻ることは最早不可能なのだろうけれど、日頃から自分の身体について考えようという気になる。教育論としても有効。
読了日:11月08日 著者:鷲田 清一
https://bookmeter.com/books/17281635

■後悔と自責の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)
タイトルからして、まさに著者がいかに後悔に塗れた人生を送ってきたかを綴ったエッセイだと思ったのだけれど、実は結構硬質な哲学書だった(苦笑)。正直、少なからず未消化な箇所もあったが、概ね興味深く読めたか。ただ、偶然についての考察にはちょっと突っ込みたくなったが。それと、いかにも世を拗ねたようなスタンスを取りながらも、「この人やっぱりいい人かも?」という印象は拭えず(苦笑)。後、気になったのが「ですます」調と「である」調の文体を併用しているところ。著者が考えなしにそのようなことをするわけはないと思うが…
読了日:11月08日 著者:中島 義道
https://bookmeter.com/books/430846

■これからの哲学入門 未来を捨てて生きよ
この人が書くものは、どうしてこうもどこか上滑りで今一つ心に響かないんだろう?この人の著作を読むのはこれで七冊目だが、どうしてもその印象が拭いきれない。また、哲学的考察がないわけではないが、それでもこの「哲学入門」というタイトルはあまりに盛り過ぎだろう。いかにものごとをとことんまで突き詰めて考え抜くか?というのが哲学ならば、ここで書かれているのは人生訓で、とても哲学とは言えないと思うのだが。またどこかぎこちない文体にも違和感を覚える。ただ、昨今の監視社会的傾向や国家のあり方への異議には、共感を覚えたが。
読了日:11月06日 著者:岸見 一郎
https://bookmeter.com/books/17061798

■反〈絆〉論 (ちくま新書)
著者自身は「いい人」と呼ばれることを喜ばないようだが、でも基本いいひとなのではないか?という気がする。それはともかくとして、本書が出た当時よりもますます同調圧力が強まった感がある昨今、このような提言の重さはより一層ますだろう。「そんなことを言うなら日本から出ていけ」なんて暴言を吐くバカには、著者の主張は恐らく1ミリも理解できないだろうな…と思うと嘆息…後、ある問題についてとことんまで突き詰めて考えようとする著者のスタンスに改めて驚愕。ここまでしないと哲学者とは言えないのだな…と。つい我が身を恥じてしまう。
読了日:11月03日 著者:中島 義道
https://bookmeter.com/books/8760033

■法華経入門――七つの比喩にこめられた真実(祥伝社新書209)
法華経のエッセンスをかなり分かりやすく説いた良書だと思うが、同時に恐らく本書のような解説書を読んだだけでは、法華経に限らず、経典の真髄には至らないのだろうと思わせることしきり。本書に収められた御伽話のように一見単純なエピソード。しかし、その理解度によって得られるものは大きく違ってくることを幾度となく示唆している。多分、文字面だけで理解するだけではなく、実際にお経を唱えることでしか、その真髄に触れることができないのだろう。しかし、非信者である自分にはそれができない。そこに何とも言えないもどかしさを覚える。
読了日:11月01日 著者:松原泰道
https://bookmeter.com/books/610866


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