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2021年12月24日08:13

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18970911 NO5024 英国政府の東洋政略に関する在英公使及び在露公使の報告書移牒の件

18970911 NO5024 英国政府の東洋政略に関する在英公使及び在露公使の報告書移牒の件
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
012_0020_0500 駐韓日本公使館記録 12巻 二. 機密本省来信 (50) [英国政府の東洋政略に関する現地公使及び駐露公使の報告書を移牒の件]
文書題目 (50) [英国政府の東洋政略に関する現地公使及び駐露公使の報告書を移牒の件]
文書番号 機密送第七七号
発信日 明治三十年九月十一日 ( 1897年 09月 11日 )
発信者 外務大臣 伯爵 大隈重信
受信者 在京城 弁理公使 加藤増雄

(50) [英国政府の東洋政略に関する現地公使及び駐露公使の報告書を移牒の件]
機密送第七七号
英国現内閣の東洋政略に関し、同国下院においての議事について別紙の通り在英・加藤公使及び在露・林公使よりそれぞれ報告がありましたので、右写しを御送に及びます。

明治三十年九月十一日
外務大臣 伯爵 大隈重信 印
在京城 弁理公使 加藤増雄 殿


[別紙 一]
文書題目 英・現内閣の東洋政略に関し当国下院で討議の要領報告

英・現内閣の東洋政略に関し当国下院で討議の要領報告

機密第六一号
昨十九日(*1897年7月19日)、当国下院で外務省経費の討議中、サー・チヤールス・ジルクは現内閣の外交政略が常に因循姑息(*古い習慣に頼ってその場をしのごうとすること)に過ぎることを厳しく批判し、朝鮮等の事に論及してこう述べた。

「眼を転じて極東の形勢を見よ。現内閣の清国並びに朝鮮に対する政略は、その暹羅(シャム*今日のタイ)における政略と同じく相も変わらず不定にして不運である。
ある議員はかつてソースベリー侯(*「保守党政権下で閣僚職を歴任し、ベンジャミン・ディズレーリ亡き後には保守党の党首となり、ヴィクトリア朝後期からエドワード朝初期にかけて3度にわたって首相を務めた(第1次:1885年 - 1886年、第2次:1886年 - 1892年、第3次:1895年 - 1902年)。」)を賞揚して『侯の強硬な意思は英国外交上に偉大なる効果を与えている』と云った。しかしながら私は、極東においても、又近東においても、所謂ソースベリー侯の強硬意思というものはどこにあるのか、これを発見するのに苦しむのである。
大蔵尚書・バルフオア氏は、昨年二月において意外にも露国を促して北太平洋に出口を持たせ、このため満州を縦断して太平洋に出る道路を持たせたのだが、英においては異議も苦情もなかっただけでなく、かえって貿易上英の利益であるとまで言い放った。
しかしながら私は実にその論理が正当性を疑うものである。いや、私は極東において、特に北支那において、露国にその領土あるいは勢力を拡張させる事が英国貿易のために利益なる事とは信じられない。露はかつてその海兵を朝鮮に上陸させたことがある。英もまた同じ時期に同一の手段を執った。これは朝鮮半島における英の利益は依然としてなお存続している。ところがその後英政府の政略は一変し、外務次官が『極東問題』という有名なその著書において論究した東洋政略は今や棚の上に置かれて、朝鮮はその運命に放任され、露国の勢力は朝鮮に日一日に加わり、一方では北支那の全部に向って拡張されている。
そもそも朝鮮の将来に対する露の約束は青書(*政府の報告書か)にはっきりと記されている。露国はこれによって実際上朝鮮の属土を占領せず、その国土の安全に干渉する事がないことを公約しているのである。
ところが現状を顧みよ。露国は多数の士官に朝鮮兵とその王宮守護兵を訓練させつつある。彼は山林伐採・鉱山採掘の特権を得、その上仏国某会社に鉄道布設の権を獲得させている。ことに甚だしきに至ってはその国境における関税を特約し、そして英国およびその他の諸外国はこの利益に均霑する(*利益を平等に受けること)ことができない。これらから見ても所謂侯(*ソースベリー侯)の強硬意思は果してどこにあるのであろうか」
云々と。
これに対し外務次官・カーゾン氏は現内閣の政策を弁護しかつ説明してこう言った。
「ジルク(*サー・チヤールス・ジルク)氏は東洋における現内閣の政略に論及された。私はただこれを非難しないだけでなく、このような問題について誰であっても熱心にその意志を注ぐものがあることは私の最も喜ぶところである。私がかつて絶東問題について吐露した私見は、現内閣が維持しまた実行しつつある意見とその本体において甚だしき相違があるとは思わない。
ジルク氏は『朝鮮における英の利益はどうなるのか』との問いを設けられた。私はこう言おう。朝鮮の独立は各国の利益である、と。しかし絶東の歴史に詳しいジルク氏は、朝鮮の弱国であって、かつて一度も自立したことがないことは必ずこれを諒解されるであろう。朝鮮は数百年の間清国の保護に頼っていた。そして日清戦争後は日露両国の協商とも云われるものに基づき、この両国の保護に頼っている。氏は朝鮮をその運命に放任しておられる。また今後といえども北支那と同一の運命に放任されるであろうと考えておられるようだ。
しかしながら私はこれについて氏とその意見を同じくすることはできない。この半島における英国の利益は無論、前に陳べた諸国とその性質上、また軽重の度合上、全くおなじものではない。我が国は朝鮮と土壌を接する露・清のようではない。また一筋の帯のような海を隔てて相対する日本のようでもない。
英はもとより朝鮮に対しては貿易上の利益を有している。ただこの利益を私はもとよりこれを軽視する事を欲しないが、諸君はよく記憶されているであろう。この利益というものは金額において甚だ大きいものということは出来ない。したがって今日までまだ一軒の英国商店をもその地に開かせるに足らない事を。
私は再言する。英国の朝鮮における利益は通商上の利益である、と。
そしてなお我が利益を保護するために我々が取るべき方針は
第一、朝鮮の独立を維持し、領有的に、あるいは行政的に、ロシア帝国に併吞されないよう注意する事。
第二、朝鮮の国土、あるいは港湾が侵略的画策の根拠地に供せられ、これによって極東における権力の平衡を撹乱し、さらに東洋における海上優等権を一国に占領されるようなことのないよう勉めるべき事、これである。
もし他国の平和的手段に属する通商上の膨張は、我々がもともと予期しておくべきところであり、我々も同じく平和の手段をもってこれに当る事に努めるべきであるが、ただ前述のような侵略的手段を一国が取る場合においては、その国は我々が我々の利益を保護するため常にこれに対する相当の覚悟をしていることを発見することになるであろう」云々、と。

これを要約すると、このカーゾン氏の答弁は、昨年来ソースベリー侯をはじめ有力な現内閣員の対露的東方政策に関する語調とは異にして、多少世の人々の意識を強めるに足るものあるように見えます。しかしながら昨年と本年との間において別に事情の変じている事も無く、またその他一般の形勢を察するに、当国の対露策か近来に至って著しい変化を来した形跡は全く見えません。
だとすると、このカーゾン氏の語気から見て、直ちに英国の東洋における政略が大いに面目を改め、昔巨文島占領の当時のような活気を回復して来ていると想像することはなお大いに早計であるようであり、もっとも露国においてこの際断固たる手段を施して侵略の意思を公然と発表する場合には、英もまた敢えて黙止するもではないであろうと思考致しますが、もし露がとげとげしい挙動に出ず、暗々のうちにその勢力を半島に拡張するの策を取る場合においては、進んで英がその機微を察して露の進路を妨害する手段を執るようなことはなお甚だ疑わしいことであります。
なおカーゾン氏の答弁を精密に考査してみると実は攻撃者の論旨に答えていないところがある。その上、答えても隔履搔痒の感を免れないところがある。例えばその論旨は主として将来の方針に関わっており、目下の形勢については深く論究しない。北支那あるいは朝鮮において、露国の貿易上その他現に専占している利益に対しては、強いてその分配を受けるか、もしくは平等の利益を他方に求めるべきかの意思も十分にこれを示していない。単に、通商上の膨脹はいずれもこれを覚悟して敢えて競争に後れない工夫をしなければならない、と言うばかりである。

ソースベリー侯はかつて本使の質問に対しこう答えた。「露国が東洋において不凍港を得たとしてもそれは軍港ではない。またはこれを得た後砲台などを築造し侵略的基礎とするわけではない。純粹に通商のためにするものであるのであるから、英はこれに対して抗議を入れる理由を見ない」と。
今カーゾン氏の演説を見ると、語勢は遥かにこれよりも強硬であるが、やはり両者全く相容れないわけではない。ただ実際の英の意気込みがどうであっても、朝鮮の独立は英の希望するところであって、彼は「朝鮮が如何なる方法をもって露国の支配に帰するとしてもこれを黙視できることではないし、また露国か朝鮮の国土及び港湾をもってその侵略的手殷の用に供する事をも傍観しないものである事を明言したことは、外交上十分の価値を置いて見るべきものであり、仮に露国においてこの際速やかに際立った処分に出る事をひそかに希望している事があるとするならば、その政略に対する一大意義のある事を露に覚知させた事は疑ないところであり、即ち少なくとも当分の間露国に果断な政策を執る事を躊躇させる効果はあると存じます。この件具報に及びます。 敬具
明治三十年七月二十日
在英 特命全権公使 加藤高明
外務大臣 伯爵 大隅重信 殿

[別紙 二]
文書題目 英国外務次官(*カーゾン、カルゾンとも)の演説の件

英国外務次官の演説の件
送第七十六号
英国下院において外務省経費予算案討議の際、外務次官・カルゾン氏か陳述した外交諸問題に関する説明中
「英国は貿易上朝鮮とこの上も無く大きい関係を持っているわけではないが、同国において最も緊要な英国の利益は、朝鮮の独立を支持することにあるので、朝鮮の港湾を絶東の均勢を破るような他国の運動の支点とならせる事は許さない。もしこのような企図を為すものがあるとするなら、英国は自己に固有の利益を保護するために躊躇しないであろう云々と公言した」
との電報が当地に達するやいなや「ノウオエ ウレミヤ」新聞は七月二十一日の社説にこれを批評してこう書いた。
「この説明は多言すぎて明晰でない。土耳古(トルコ)問題に関する説明に比べ、更に一層不完全であり、さらに巧妙を欠いているものと言わざるを得ない。露国政府は常に日本の侵害・蚕食に対し朝鮮を防禦し、朝鮮を露国の絶東(*極東)領土と接境する一独立国と見做している事は、カルゾン氏が以前から諒解しているところであろう。朝鮮は独りこの強大なる隣邦と親睦なる関係を有することによって利益を収めることができるであろうし、露国もまたこのような好関係を利用しようと思料しているのであるから、最早同氏の調言はその影響を及ぼすことはできないのである。露国が一般人類社会の公益を謀って企画した西伯利(シベリア)鉄道の大事業によって、絶東に世界的意味を有せしめることのできる地位を占有しようと勉めるのは、全く正当の手段に出たものであるので、将来英国はこれに対しいかに抗議を試みたとしても最早その効力はないであろう。現に英国政府は欧洲において孤独の地位に立ち、さらに北米合衆国と釁(*争い)を生じている際、カルゾン氏が朝鮮問題に関し、到底英国の実行できない虚名的約諾を与えることは決して賢い行為ではないであろう。
絶東における英国の利益はいかに大きいと言っても、これによって朝鮮の将来を支配することはできない。この国の独立を保持する者は英国ではなく露国である。もしこの保護を為すに当たって、我が艦船を同国の港湾に定繫する必要を見るに至ったならば、露国は、英国外務大臣及び次官の考えるようには英国に商議する義務を有していないのであるから、前記カルゾン氏の宣言は最早、絶東において最後の地位(*朝鮮の独立の保護者としての地位、か)を鞏固にさせようとする露国政府の意見を変更する事は出来ないのである。」
と論述致しております。
以上御参考までに訳出を差し出します。 敬具
明治三十年七月二十二日
在露 特命全権公使 男爵 林董
外務大臣 伯爵 大隈重信 殿




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