東京パラリンピック開会式の偽善性

■パラリンピック開会式の視聴率は23・８％　はるな愛らが出演
(日刊スポーツ - 2021年08月25日 10:41)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=6641794

■主役の車いす少女は演技経験ない生徒会役員　パラ開会式
(朝日新聞デジタル - 08月24日 23:38)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6641450

■パラと五輪、開会式で出た差　「外野の注文少なかった」
(朝日新聞デジタル - 08月24日 22:59)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6641424

　オリンピックの開会式はリアルタイムで最後まで観たが、パラリンピックは入場行進の途中で疲れて寝た。だから話題になったデコトラと布袋とか、片翼少女のクライマックスなどは観ていない。観ていないけれども、翌日のニュースでイヤと言うほどに放送されるので、だいたいの流れはつかめる。
　ゲストの芸能人の皆様方が何も考えて無さそうだよなって言うか、脳天気にはしゃいでいる様子を見ていると、まあ、何とも言えない居た堪れなさを感じてしまう。リアルタイムだったら、相当、胸が苦しくなってしまいそうだったので、観なくて正解だったと思う。

　何が辛いかって、障碍者が頑張ってる姿を見て感動しなさいっよって、24時間テレビにも共通する押しつけがましさだわね。
　障碍者のみんながみんな、頑張れるわけでもないんだから。自分のことを例に挙げるのも何だけれど、私の場合、心臓に負担を掛けるから、走ることはおろか、立って歩くことだって長時間は無理なんだから。
　なのに、頑張れない障碍者は頑張ってないような観られ方、白眼視されるのは本当に辛いんだよ。『おかえりモネ』も、パラ編のあたりは障碍者に寄り添いましょうアピールが強くて、見てられなかったんだよ。

　そんなのは障碍者の被害妄想だと言われるかも知れない。
　でもね、それは「あなた」が優しいから。障碍者に偏見を持たずにいてくださっているから。それだけのことなんだよ。でも「あなた」以外の人は全然そうじゃないのだ。
　もう、あまり具体例を挙げたくないんだけど、嫌な事件がいくらでもあるでしょ、障碍者なんて、社会に必要ない、生活を保障するなんて税金の無駄遣いだって主張する人たちが、これまでにどれだけいたことか。彼らがこれまでに起こしてきた「悲劇」の数々がいかほどのものであったか。

　障碍者も、パラリンピックに出るようなアスリートは「認めてやる」けれども、それ以外の障碍者は差別して構わない、そういう「選別」が確実に行われてるんだよ。でなきゃパラ開会式のあんなわざとらしい「感動ポルノ」丸出しの演出に、感銘を受けたりするはずがない。

　開会式の芸術性そのものは、極めてハイレベルなものだったのだろう。「作品」として、それを賞賛することには私も特に躊躇するものではない。しかし、その芸術性に触れた者が、等しく現実世界に立ち返って、障碍者のために自分に何ができるかを考えるようになるか、実際に行動するようになるか、と言われれば、それは甚だ疑問なのである。
　涙を流して終わり、涙は心の免罪符、それだけのことではなかろうか。
　嫌ごとや皮肉を言いたいわけではない。これは大多数の人がそうだという、単なる事実の指摘に過ぎないのだ。

　子どもたちへのパラ観戦を推し進めようとする組織委や小池都知事の「教育的効果」という言葉が、ただの綺麗事、いや、偽善にしか聞こえないのはそういうことである。
　いじめっ子がパラを観て感動したとして、次の日からいじめをしなくなるだろうか。それとこれとは無関係、と心の中で区分けして、やっぱりいじめの快感に酔って、同じことを繰り返すんじゃなかろうか。涙を流したからって、その人が信用できるかって、そうでもないのは大人も子どもも同じだ。
　パラ開会式に感動した人が、さて現実世界に立ち返ったら、途端に障碍者差別の発言を繰り返す例をいくらでも見てきた。そうした矛盾を、大半の人は「気にしない」ものなのだ。
　今回は特に、組織委員会の面子のセクハラ、パワハラ発言が問題視された大会だったんだからね。そういう連中が、いけしゃあしゃあと「多様性と調和」とか言ってたんだからね。そうした開会式の偽善性に気がつかなかったとすれば、「あなた」も鈍感の謗りを受けても仕方なかろうと思う。

　オリンピックと同様に、パラリンピックについても、競技そのものには全くと言っていいほどに興味がないので、この日記もあくまで開会式に関する限定的な感想だということを付け加えておきます。
　選手を応援する気持ちまで否定するものではありません。