■King & Prince高橋、クイズ参加でハプニング発生!?
(テレビドガッチ - 2021年08月14日 08:11)
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■細田守監督が『ガンダム』のビニールシートを観て感じたリアリティとは？ 『竜とそばかすの姫』『時をかける少女』にも影響を与えた「今、絶対に観てほしい5つのアニメ」を紹介！『世界一受けたい授業』番組レポート
(animate Times - 2021年08月15日 18:30)
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1628946150
今でも細田守の最高傑作は『おジャ魔女どれみ ドッカ〜ン！／第40話 どれみと魔女をやめた魔女』だと思っている。だから、『竜とそばかすの姫』が大ヒットして、賛否両論、毀誉褒貶相半ばしているのを見ていると、肯定派、否定派の双方に「『どれみ』を観てから言ってくれ！」と言いたくなる。
よく「映画監督の殆どはデビュー作が最高傑作で、それを超える映画を作ることは難しい」と言われる。なるほど、細田監督の場合も、東映アニメーション時代の『デジモン』や『どれみ』の完成度の高さは目を見張るほどだった。そして、独立して『時をかける少女』を作ったときまではよかったんだよね。でも、あとは下り坂を転がるように、凡作、失敗作を連発している。脚本の奥寺佐��子さんと決別してからの３作がもう、困った出来でね。『竜とそばかすの姫』も正直、評価できるのは「歌だけ」だ。
なんかねー、昔は凄かった天才がすっかりボケちゃったって印象でねえ。本人も作品の不評はいろいろ聞いてると思うよ？ だから、躍起になってるんだうなあってのが『竜そば』観てても感じるしねえ。でもどの作品を観ても、話を無理やりまとめようとして収拾が付かなくなっちゃったって感じのものばかりでねえ(溜息)。
昔、思い入れが深かった分、その迷走ぶりがかえって痛々しくて見てらんなくなってるんだよ。
細田氏、その程度の実力で、人に「授業」するなんて、おこがましいとは感じないのだろうかと思って番組観てたんだけれど――。
これ以上ないってくらい、薄味の番組だったよ。これだけは観てほしいっていう五本の映画を紹介して、見所を解説してくれはするんだけれど、話の中身が素人でも言えるようなことばっかりで。それとも聞き手が素人だからって、手抜きして喋ってる？
『赤毛のアン』の第１話を、アンのお喋りだけで通したって、高畑勲演出を誉めてるけれど、それ、「原作通り」だから！ むしろ、１話の演出を誉めるなら、アンの空想が頂点に達する「花の乱舞」シーンでしょう。あれは原作にないオリジナル。ちょうどこないだの高畑勲展の記念トークで、富野由悠季が、「高畑勲の『飛ぶ』シーンは、常に進化している」って評価してたんだけど、『ハイジ』の頃は何だかよく分からない飛び方(ＯＰのブランコのシーンとか、どこからプランコが下がっているのか分からない)をしてたのが、『アン』ではちゃんと車に乗ったりしてるんだそうな。まあ、それを「進化」と言っちゃっていいのかどうかは疑問だけれど、確かに高畑勲の飛翔シーンは、一つとして同じものはない。空想での飛翔、という点では、『おもひでぽろぽろ』での有頂天になったタエ子の飛翔シーンがあるが、そちらの方はユーモアが強調された演出になっている。全ての飛翔シーンに意味があり、意味が違っているのだ。
「演出家」としての視点で言うなら、細田守は富野由悠季には遠く及ばない。同じ作品を観ていても、注目しなければならない肝心なものが、細田氏には見えていないのである。
『機動戦士ガンダム』についても、ビニールシートを被せてあるってことだけを取り上げて、ガンダムが単なるロボットではなくて、乗り物であることを強調してるって言ってたけれど――。正直、「それだけかい！」と突っ込みたくなってしまう。
いや、『ガンダム』が画期的だったってのは、設定も描写もとことんリアルに拘ったって点にあるんだよ。ビニールシートの件だけじゃない。それまでのロボットアニメによくある「秘密基地」なんかじゃなくて、普通の「格納庫」でガンダムを製造してたってのもそうだ。アムロがガンダムに乗り込むとき、これまた普通(巨大だけど)のトレーラーに横たえて運搬しようとしてたところだった。そんな「荷物」としてロボットを扱った点から言及しなければ、ガンダムの本質を語ったことにはならないよ。某アニメみたいに、どっかの山肌がグイーンと割れて、そこからロボットが飛び立つような荒唐無稽な描写をガンダムは極力排しているのだ。
スポンサーの要請で、シリーズ途中で、仕方なくガンダムを「合体ロボ」にしてしまったことはあったが、劇場版ではその設定もなくした。
ともかく、ロボット一つ取っても「モビルスーツ」という設定に拘って、あり得そうな兵器としての演出がてんこ盛りだったんだよ。それが「脚なんて飾りです」って台詞にまで繋がってくるんだね。
アニメ作家なんだから、画面構成についても何か深いことを言ってくれるかと思ったら、『竜とそばかすの姫』について、「空間を広く見せるために、遠くにあるものをできるだけ小さく描いて、近づいても近づいても大きくならないようにする」と、それだけ。
えーっとね、それって、奥行きを作って空間を広く見せてはいるけれど、本当に「それだけ」なのね。映画ってのは、見えているものに「意味」がないと、観客は退屈するだけなんだよ。その広さに観る者への「驚き」を加味しなければ「映画」にはならないの。
たとえば、その画面に、向こうから飛んでくるアバターを小さく描き加える。最初はなかなか近づいてこない小さな粒が、間近に迫ったかと思った途端に、猛スピード、一瞬ですれ違う。これくらいの描写がなければ、観客は画面に引き込まれはしないよ。
素人の私でも気づくような演出を、細田監督が思いつかないというのは、それくらい、映画監督としての技量が衰えてしまっていると言わざるを得ない。
「空間構成」「奥行き」の見事な演出については、やはり『機動戦士ガンダム』の第１話に、印象的なシーンがあった。
アムロがガンダムに乗り込む前、ザクの襲撃に遭ったスペースコロニー・サイド７の人々が避難しようとしていたとき――アムロの目の前で、爆撃が避難民たちを襲い、そこにいた人々を、皆殺しにしてしまう。
その時のカメラワーク、視点はアムロだ(だからアムロ自身は画面には映っていない)。遠くに小さく、一列になって、逃げていく人々。その中から、アムロの友達のフラウ・ボゥが、アムロの名前を呼びながら駆け寄ってくる。途端に彼女の背後で炸裂する銃弾。爆風でアムロのところまで吹っ飛ばされるフラウ。
お分かりだろう、カメラであるアムロの目、中景のフラウ、そして背景の避難民たち、この「奥行き」が示唆している「意味」は何か。「生と死の境目」である。フラウがもう少しアムロに近づくのが遅れていたら、彼女の命はなかった。ほんの一瞬の命の境界線を、富野監督は「奥行きの描写」で表現したのだ。
これが「描写に意味を持たせる」ということだ。
入道雲やら桃やらを出して季節感を出すとか、その程度の安い表現で満足している素人監督には、とてもこんな演出は思いつけまいよ。
番組では、生徒役のキャストもみんなして細田センセイをヨイショしててさ、小学六年生の時に『銀河鉄道999』を観て、りんたろう監督の演出凄えなと思ったってことに「小学六年生でそんなこと思うやつなんていませんよ！」って有田が言ってたけど――。
ごく普通に、いくらでもいましたけど？ 細田監督が挙げた５作品は、全て1979年の映画で、アニメブームは２年前の『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開から始まっている。『アニメージュ』も創刊されていて、ファンなら映画のスタッフ・キャストを知ってるのが当たり前だった。
むしろ、そんな媒体が存在しなかった70年代初頭の方が、スタッフの名前まで知ってる小学生は珍しかった。でも当時『ルパン三世』１st.シリーズをリアルタイムで観た小学五年生の私は、作画監督の大塚康生、演出の大隅正秋の名前をしっかり覚えたし(宮崎駿・高畑勲両氏は当時は匿名だったので、後年知った)、テレビと映画、あるいは制作プロダクションによって、「作画レベルが違う」ことも分かっていた。
要するに、アニメを「本気で観ているか否か」――そこに、一般人と、後にオタクと呼ばれるファンとの違いがあったのである。
一応、生徒役の芸能人のみなさんも、アニメはそれなりに観てるんだとは思う。けれども、一般人に毛が生えた程度なんだなってことが、有田の発言でバレちゃうんだよ。
その程度の相手に対して、えへんぷいと鼻高々で講義を引き受けようなんて脳天気な監督、細田守くらいしかいないんだろうけれど――。
少なくとも「世界一受けたい授業」というタイトルに相応しい、中身のある授業だったとは到底言えるものではなかった。
相手のレベルが低いからって、授業のレベルを下げたって面白くはならないんだよ。逆に作品を深読みしようって感興を殺ぐことにしかならない。
今回、細田監督が挙げた五つの作品、『赤毛のアン』『劇場版エースをねらえ！』『機動戦士ガンダム』『劇場版銀河鉄道999』『ルパン三世カリオストロの城』、これらを未見の人で、細田氏の解説を聞いても、観てみようと感じた人は少ないんじゃなかろうか。全部、舌足らずか読みの浅い解説でしかなかったもんなあ。
次に番組に誰かアニメ関係者を呼んで何かを語らせるなら、もっとプロの視点で語れる人にしてほしい。
パッと思いつくのは『この世界の片隅に』の片渕須直監督や、『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督だけど、来てくれないかなあ。番組のコンセプト自体が胡散臭いから、速攻で断られてしまいそうだけれど。
それから、アニメイトタイムスの記事だけれど、『赤毛のアン』の紹介で掲載してる写真、『こんにちはアン』で、高畑勲・宮崎駿が全く関わっていない、別作品だからね！ さっさと訂正しろよ！ タイトル見て違うって気がつかなかったのかなあ……。
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