それは数年前の朝の事でした。
仕事への準備を済ませ、出発直前という時に玄関からガタガタ音がしたので見に行くと明らかにおばあさんのシルエットがガラス越しに見えた。
そのおばあさんが何やら鍵穴をガチャガチャしている様で、躊躇ないその姿が怖くて奥さんを呼んだ、
「ちょっと、知らないおばあさんが家に入ろうとしてるっ!」
寝起きの奥さんも躊躇なく玄関の鍵を中から開けてドアを開いた。
「何してるんですかっ!」
怒り混じりの声で一喝するとおばあさんは当たり前の様に答えた
「うちに入りたいんだけど鍵が入んないです」
「ここは私の家です、もう何年も住んでます、家間違ってますよ」
「いや、私も住んでます、私の家です」
そんな押し問答があり、ちょっと痴ほうの入っている人の様だったが、迎えが来るので自分は出発することにした。
奥さんも大丈夫だからと見送ってくれた。
夜、家に帰って話を聞いた。
その後もおばあさんの言う事は変わらず、奥さんは警察に連絡し、警察が家に来ておばさんから情報を聞き出して息子さんに連絡を取って迎えに来てもらったという
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