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2020年10月17日21:22

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左手に告げるなかれ

10月16日(金)曇り
実家の本棚は、ワタクシと兄が置きっぱなしにしてる本が並んでいる。
先日、埃まみれの一冊を手にしてみた。
渡辺容子著『左手に告げるなかれ』
第42回江戸川乱歩賞受賞とある。
今チラリと調べると平成8年に受賞されたようだ。
読み始めてすぐに後悔する。
なぜなら主人公が、ワタクシの忌み嫌う「不倫した過去の持ち主」という設定だったから。
しかし他に目ぼしい本もなし、読み進めることにする。
ざっくり説明しますに、、、
主人公八木薔子はエリート証券会社員だったが、社内不倫を8年も続け、それが相手の妻にバレ裁判沙汰になり、会社を辞め、今は万引きを捕まえる保安士として暮らしている。
3年後、不倫相手の妻が殺され、容疑者と疑われ、自分でも犯人探しを始める。
小説なんだからさぁ〜と自分を抑えたい気持ちは山々なれど、そして普段からワタクシが不倫ネタに厳しいということを差し引いたとしても、、、
それでも、この、殺された不倫相手木島の妻の描写が酷い。
不倫されてもしょうがないような女である。
見栄っ張りで、ボランティア自慢も酷い。
近所でトラブル起こし、ボランティア先でも嫌われているようだ。
そもそも木島も「騙されて結婚した」的なことまで言う。
娘二人ももうけておいて、それはあまりに酷くないか?
さらには、不倫相手だった女と夫が協力して、仲良く犯人探しが始まるわけで、殺された妻としては喜んでいいのか?
お前が余計なことすんな!とワタクシだったら言いたい。
犯人探しと称し色々と妻の身辺を調べるわけだが、妻の『ひととなり』やらを不倫相手だった女に知られるのってどうなのよ。
そして、そのモチーフが、ワタクシが言いそうな事だったり、しそうな事だったりなので、いちいち苦虫噛み潰したような顔になってしまう。
たとえば、、、
妻の趣味がボランティアというところ。
コンビニはスーパーと比べて高いと言っているところ。
テレビ番組に投書するマニアであること。(いや、わたしゃテレビやラジオに投稿する投書マニアではないが、商品をもらったりしているあたりが懸賞マニアに通じるところがあるもので)

で、最後の終わり方がね〜またワタクシの逆鱗に触れるわけよ。
犯人に背中刺されて八木は朦朧とした意識の中で、不倫相手だった木島とするこれからの同棲生活のこと、父との思い出などが浮かび、最後は仕事終わりの電話を本部に入れるという夢を見た・・・で終わる。
え?あれ?殺されちゃったって事?
ここがさぁ〜ちょっと作者のいやらしさを感じてしまうのは考え過ぎか。
いくらこんな酷い妻だったとはいえ不倫は不倫。
ハッピーエンドでなかったことで世の妻達の溜飲は下がり、不倫中の女達はため息をつく。
不倫が成就する話は、いかに本妻が酷い女だったとしても良くないかもしれないという作者の目論見を感じてしまったのは捻れすぎてるかしらん。

と、最後の最後までイライラしながら面白く読みました。
でも、何より一番心に響いたことは、このタイトル。
「左手に告げるなかれ」
江戸川乱歩賞受賞作だし、無宗教だし、イメージとしてハードボイルド系・・・
右手で拳銃を持ってたって事?
でも、作中で、この意味が出てきて、ものすごく納得するというか反省するというか、この言葉だけは(・・・)ずっと意識して生きていこうと思った。
聖書の言葉だった。
「あなたが、施しをするときには、右の手でしていることを、左の手にさえも知らせないようにせよ。」
良い事をするのは難しい、でも良い事をした後で、これを自分の胸にだけしまって誰にも話さないでいるのはもっと難しいという教訓。

今日の一枚は・・・
紐だけのリードだと脱走しがちなので、新しくがっちりホールドタイプを新調。
動きにくいらしく、鈍い動きで、散歩も早めに切り上げがちなのが可笑しい。
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