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2020年09月04日19:54

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ビールの話

■キリン、通勤手当を一部廃止=コロナ対応、10月から
(時事通信社 - 09月01日 19:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6216076

いつも読んでいる経済系メルマガより。
つい先日ビールのシェアで一番を取り返したというニュースを見たが、実態は苦しいのか。勉強になった。

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●キリンHDの横田CFO「財務改善へM&A凍結」回復を探る コロナ禍と財務
新型コロナウイルスのまん延で、主力の飲食店向け販売の急減に見舞われるビール業界。キリンホールディングスは2020年1〜6月期の連結事業利益(国際会計基準)が前年同期比23%減った。20年12月期通期こそ前期比の最終増益を見込むが、前期計上の特別損失の反動だ。
──苦戦のビールを医薬・健康などの事業が下支えしています。
「従来コングロマリットディスカウントとして否定的にみられることも多かったが、コロナ禍でも医療関連は底堅く、キリンHDのポートフォリオはビール専業に比べて強固だと示せた。これらの事業は本業のビールで培った発酵の技術が生かされている。コロナ禍を経て、戦略の正しさに強い確信を持った」
「先行きの不透明感を受けて手元資金の確保に注力し、DEレシオ(負債資本比率)は0.8倍台に高まった。0.4〜0.6倍台に下がるまでは財務健全性を優先し大型M&A(合併・買収)は凍結する。ファンケルへの追加出資は現在考えていない」
  日本経済新聞 9月4日 
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★2019年度まで2期連続減益が続いているのがキリンです。今期も厳しいようです。

記事では、積極的な買収戦略が、不振のビール事業を、買収した医薬や健康部門が助けていると自画自賛しています。

しかし、社内の資金繰りが悪く、これまでのような買収戦力を取ることができないようです。この2年で純借入金が2倍に増えたからです。
https://media.ycharts.com/charts/1e6529b97b8f5270f4d5767094cc5f0e.png

グラフを見て、借入はそう多くはないと思われたかもしれません。しかし、キリンのようなビールや清涼飲料水を売っている会社に、借金があることが非常識なのです。

理由は、水を加工したのが商品ですから、製造から販売と売掛金回収は極めて短期間に済み支払いは数か月後に支払うので、運転資金は不要だからです。

下図は、ライバルのアサヒや青島ビール、コカ・コーラ、ペプシコーラのキャッシュコンバージョンサイクルです。在庫日数に売掛金回収日数を足し、買掛金回転日数を引いたもので、要は何日分の運転資金が必要かを示します。
https://media.ycharts.com/charts/2441946f8196334121b08a29e77fd71c.png

ペプシと青島ビールは常に会社に3月分の売り上げが現金として残り、コカ・コーラは半年分の現金が残るのに対し、キリンは現金が残らず、2.5か月分の支払いがいつもあり、その分の借金が必要になっているという事です。

素晴らしいキャッシュフローとなるビールや清涼飲料事業をないがしろにして、資金効率の悪いビジネスを沢山買い集めてしまったので、キリンの財務体質は、借金なしでは生きていけないようになったのです。

会社の中に資金が潤沢でなければ、することはコストカットだけです。給料は増えず、成長のための投資や人材開発費もかけられなくなり、会社の中はどんよりした空気になります。

残念ながら、経営陣は自社の実像を認識していないようです。
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