18950520 NO3971 1895年5月の李�沛綾菠�の一件
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008_0060_0020 駐韓日本公使館記録 8巻 六. 李�沛梓愀現駑�•巨済島借入交渉一部 (2) 李�沛綾菠�一件
文書題目 (2) 李�沛綾菠�一件
文書番号 機密五十五号
発信日 明治二十八年五月二十日 ( 1895年 05月 20日 )
発信者 特命全権公使 （＊小村寿太郎・駐韓弁理公使）
受信者 外務大臣 （＊明治25年8月8日〜29年5月29日 外務大臣陸奥宗光）
(2) 李�沛綾菠�一件
機密第五五号
大院君・李�沛阿留∨鼎療針�は前回既にご報告いたしましたが、李�沛旭焚爾僚�犯はその後特別法院において審理の末、本月十三日をもって裁判宣告済となりました。
そもそも本件に関しては、私は当初より、当国政府が旧規になじんで極刑を用いようとし、事は全く復讐に類似し、ただ国民の感情を害するだけでなく、今日外国人の環視しているところにその外見が甚だ宜しくないのでこれは極めてやってはならないことだと説き、出来得るだけ�鄲腓法�且つ公正でなくてはならないとの趣旨で、かつて大君主にも奏上し、金総理はじめ当局大臣にもしばしば勧告してきたのだが、総理始め法部も大いに悟って私の忠告を容れ、そのようにするとのことをほぼ内定致しておりましたが、ところが当国の現行法というものは明律であって、この法律の範囲において李�沛阿鮟菠�するとすれば死刑に相当し、まったく酌量減刑の道はないようである。よって宣告前即ち本月五月十日において(閣議は)流刑分等加減例及び特別法院の裁判において本刑に一等、もしくは二等を酌量減刑することができるという特例を設けて勅裁を乞い即日この施行を命じた (その勅令訳文は別紙の通り)。
このように李�沛旭焚爾僚菠�をして従来の厳刑を避ける準備を終わり、本月十一日内閣会議を開いたところ、諸大臣の間に (朴内部大臣８〈＊朴泳孝〉に数回出席を求めたが殊更に病気と言ってついに出席しなかったという) は先ず特別法院の判決において一等を減し流終身に処しその上で陛下の特赦を得て一等もしくは二等を減じたいとの議論が多数であるにもかかわらず、徐法部は突然異議を提出し不同意を唱え、李�沛阿鮟茲垢襪砲狼豐靴砲茲辰洞坊困鰺僂い襪戮�だと主張するようになった (徐法部は会議の前日までは減等論に同意し、現に減等の判決案までも整えて置いたのに、同日午前朴内部と会合した結果では急に前説を翻しこの提議を為すに至ったのであった)。
総理始め各大臣は「今や庶政改良の時に当たって、古い慣習を株守して苛酷な処置を下すようなことは世間の感情を損ない国家のため不利益である」と抗論し、結局諸大臣の議論はその当を得て法部は言葉を屈するに及んではしばしば弁論を内部大臣に譲り「本日欠席した内部大臣が出席の上弁論する所があるだろう」と言った。
結局当日の会議は法部大臣だけが極刑を固執し、その職権上「この判決を断行すべきだ」と主唱する外他の減等説を容れる気持ちはなくこれにより相方が不快の感情を起し閣議は大波乱の中で終了ということになった。
私は今日閣議においてまた何かの異議を生じることはないかどうかを予期し難いことを察し、杉村書記官を派遣して金総理に向いその極刑に出る事のまちがっていることを勧告し、重ねて同官を宮内府に遣わし (私はこの頃病気のため引籠中であるので) 大略次のように代奏させた。
「今回の獄事に関しては私がしばしば奏上してきたように、貴国の従来の慣例によって極刑に処するようなことは極めて不当である。なぜかというと、日本は朝鮮の開明を望み内政改良の事を勧告し、今や貴政府はその勧告を容れ庶政改良の�劼暴△�つつあるところである。だから努めて従前の見識の狭い規則を改めなければならない。ところがこの不幸な出来事に復讐的の思想をもって処しようとするようなことは、一般庶民の悪感情を来たし、王室のためにはよい策とは言えないものである。したがって充分公平に、且つ�鄲腓僚菽屬暴个覆韻譴个覆蕕覆ぁＦ辰肪鷓潦宛魎韻覆匹呂海僚侏荵�以来耳目をそばだてて事の成り行きに注目している。現に二三日前にロシア・アメリカ両公使は外部大臣に面会して勧告する所があったと聞いている。また過般私に対して両公使から使臣会議を開くべきだとの相談もあり、私は時機尚早と思いその不必要な理由を述べこれを拒んでおいた。ついてはこの獄事を的確に処分できるかどうかは、世間の感情に関し頗る貴国のために利害のある問題であるので、私が自分の真心があるところを強いて採用してもらいたいと望むことは、先ず特別法院において一等を減し流・終身の宣告を下せば、陛下は大権によって二等を特赦し流十年に処してもらいたい。またこの特赦権は陛下にあるべきことは普通一般の慣例であり、しかも明律中にでもこの明文を掲げてあるので、決して違例の典ではない云々。」
これについて大君主は事のほか御喜悦なさり「実は我が国の慣例としてこの種の獄事は君権と言っても如何ともすることができず、朕も深く煩問中にあったのだが、公使の勧告により一条の血路を得た心地がした。何となれるこの獄事以来、大院君、府大夫人 (国王の生父母)の 憂悶悲歎の境遇はまことに黙って見ておくことも難しく、朕もこのため寢食が安らかでない折柄、公使の勧告に会い減等の方法を聞いた以上は、大いに愁眉を開いた云々」との御言葉があったとのことだ。
以上の奏聞及び勅答は、当日国王には先王の忌辰日（＊命日）に相当し齋戒の典を挙げられる御日柄であるので引見を許される御都合に至らず、宮内大臣を経て奏上すべき旨の御沙汰によって、宮内大臣の書記官は金・署理大臣から奏上したと帰報致しました。
また同書記官は帰路、金・総理を内閣に訪ねたところ、前に述べたように徐・法務の異議があって、当日の会議は不調和と成ったことを承知したことをこれまた逐一報告がありました。
これによって私が考えるに、この法部大臣の極刑の提議はその実内部大臣（＊朴泳孝）からの委嘱から出たもので (内部大臣はまた王妃によって動かされたか) 先ず内部大臣の極刑論を打破しなければ到底法部大臣の説を変えさせることはできないと信じ、翌朝杉村書記官を朴内部大臣のもとに遣わし随分手強（てごわ）く忠告を試みた。
最初のうちは内部大臣もすこぶる頑固に極刑説を主張しつづけ、容易に折れ合う様子も見えなかったが、最後に及んで李�沛阿世韻聾嵯裟發貌碓佞垢觧�になった。ただ朴準陽、李泰容たちに至っては減刑する範囲には入らないと主張したとのことだが、同書記官は「忠告の目的は単に李�沛阿琉貎箸砲弔い討量簑蠅任△襪里如�他犯の減刑か否かを問うことはない、と言って別れた」と帰館報告致しました。
さてこの李�沛飴�件に関して内・法両大臣が何故このように極刑を主張するかと申しますと、もしこれらの謀反者を生存させた場合、最終的にはまた死灰再燃、いつ復讐を受けるかもわからず、そうだとすればむしろこれらの連中は遺類をなくするほうが後顧の患いがなく始終安全であろう、との臆病心に他ならないであろう。したがって当方より強いて他犯 (朴準陽など)の処分においても斟酌すべきだと主張して深く立ち入ろうとするときは却って不快を感じ事は容易に落着しそうもない。
さらに当初の目的が唯一李�沛阿慮嵯困砲△襪海箸覆里悩Ｍ��沛阿慮嵯裟發�実行される以上は他は先方の希望通り処置するのも強いて差支えないのでそのまま放任致しました。
これに先立って大院君は特別法院の左側の果物会社に宿泊して暗に獄事の動静を窺っていたのだが、本月十一日午前十一時頃急にその会社を飛び出し急に乗轎を命じ王宮に入った。王宮付近の道路では人々が様々な説を為している。
そこで本館（＊日本公使館）より人を派遣し秘かに大院君入闕後の様子を探らせたところ、大院君は「本日李�沛阿六犒困寮觜陲鮗�けるだろう」との風説を聞き疑懼を抱いているおり、大院君の宿所の周囲は巡検が警戒を増して今朝以来の光景が何となく物騒で、ひょっとすると禍（わざわい）が我が身に及ぶかもしれない思い、恐懼の余り自ら大君主の側に置くのが安全であると察し王宮に入ったものであることが判然と致しました。
大院君入宮後、引き続き府大夫人（＊驪興府大夫人閔氏、大院君の妻を指すか）、宮内大臣も入宮し、初更（＊午後７時から二時間）頃まで宮中にいたが、たまたま杉村書記官を王宮に遣わし減刑の勧告を入奏する所であったので、一同は李�沛阿僚�命と刑期十年にあることを親しく国王より聞き取られて大いに安堵の思いをして、大院君たち三人が相携えて帰邸されたと言う。
こうして本月十三日に及んでは特別法院において李�沛飴呂畚�犯の裁判を宣告した。その要領は次の通り。
〇被告・朴準陽、李泰容は謀反罪として
〇高宗柱、田東錫、崔亨植は謀殺罪として
それぞれ絞罪に。
〇同・李�沛亜�韓析錫、金国善は謀反罪のところ情状を酌量し本刑に一等を減じ、流終身に
〇同林璡、洙許��、金明鎬は謀反罪のところ本刑に二等を減じそれぞれ流十五年に
〇高致弘、李汝益、徐丙奎、李永培、金漢英、張徳鉉、崔亨順は謀殺罪として各流終身に
〇同金乃吾、李乃春、曹龍承は謀殺罪として各流十五年に
〇同尹震求、鄭祖源は情状を酌量して謀殺不加功の本刑に一等を減し各流十年
に処せられた。
この宣告後、翌日即ち本月十四日において李�沛阿脇端呂砲△辰討気蕕貌鹽�を減刑せられ流十年に処せられた。そして適所（＊流刑先）は喬桐島（＊江華島の西隣）と定められ、こうして先の事件も一段落を告げた。
一般の感情はこの処分を至極公明正大だととらえている。大院君は深く慙愧の色があって近々その祖先の墓所・忠清道徳山 (あるいは始興とも云う) に下向し閑（しずか）に残年を送りたいとの希望を持っているとのことです。
以上顛末をお知らせ致します。
明治二十八年五月二十日
特命全権公使
外務大臣 宛
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