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2020年06月08日11:37

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84-2-2終 詩・短編を書いてみた(第1914回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b

【養子の魔王さま】
84-2-2「魔王の息子になった日」

■■■■■■■■■

僕が魔王の養子となってからの数日間は凄かった。
まず魔王様の指示で
僕の世話係という人が現れた。
名前は「ミユ」さん。
寡黙な雰囲気が印象的な彼女は
見ていたら考える事を忘れてしまうほど美しい人である。

綺麗だなぁ…。

すると彼女が「王子、こちらへ…」と僕を呼ぶ。

「えっ?。どこに行くんですか?」
「服を着替えていただきます」

ミユさんは沢山の衣装が収納されている部屋へと
僕を連れていき
身だしなみ等を変えてくれた。

その格好は一言で言うと
とても豪華な格好で
よく知らないが
王族が着るような服だと思う。

「あの…。この服は…?」
「こちらは魔王様が王子の為にと魔術を駆使して用意された服です。よく似合っていますよ」
「そ、そうですか…」

僕は着ている服を触って
その違和感を確かめながら
ミユさんと一緒に先程の王室へ戻った。
すると
魔王様と王妃様は僕を見るなり
まるで本当の子供のように喜んでくれた。
ただ
そんな風に感情を向けてくれた事がなかったから
嬉しい半面
恥ずかしくもあり
僕は小さな声で『ありがとうございます』と呟いた

その後
今度は魔王様の家臣という人たちの自己紹介を始まった。
まず魔界の郊外に作られた
支部のリーダー達が僕に頭を下げる。
その魔族達に僕は恐縮してしまった。
でも
どの魔族の人も優しそうで
不思議とここでなら上手く過ごせそうな気がした。

挨拶など一通りの事を終えると
魔王様の命令でミユさんが僕の為に用意された部屋へと案内してくれた。
そこはホテルのスイートのような豪華な部屋。

「凄い…。あの、ここが僕の部屋なんですか?」

僕はミユさんに尋ねる。

「はい。その通りです」と言って彼女は頷く。

僕は思わず
その部屋のベットに飛び込み
ベットの感触を確かめた。
想像以上のフカフカベットに心が踊る。

「王子。お着替えをされた方が…」
「あっ…」

僕は耳が熱くなるのを感じながら
ミユさんから服を受け取った。
それは僕の世界でありそうな普通の服。
その普通さに何かの親近感を感じた。

僕はその寝間着に着替える。
それを確認したミユさんは「ゆっくりとお休みなさいませ」と言ってくれたので
僕は「ありがとうございます。ミユさん」と返した

ユミさんは軽くお辞儀して部屋を出ていった。
それを見送った僕は
ベットに横になり
ボーッと豪華な装飾の付いた天井を見つめた。

今日は怒濤の時間だった。
孤児だった僕を魔族の人が里親になるなんて
誰が想像できただろうか。
しかも魔王の息子なんて…。
目を覚ましたら
全てが夢だったりしてね…。

そう思いながら
僕はゆっくりと目を閉じた……。

―――
84-2-2話


翌日
窓から入る陽射しに刺激を受けて
僕は目を覚ました。
視界に入ってきたのは
昨日に見た豪華な装飾付いた天井であった。

「夢じゃないんだなぁ…」

眠気を残った意識で右を見る。
そこにミユさんがいた。

『うわぁ!!?』

僕は眠気が吹っ飛ぶくらい驚き
ベットから転げ落ちてしまった。

「ミユさん…。いつからそこに…?」
「先程から」
「そう、ですか…」
「王子。朝から急かして申し訳ないのですが、スケジュールが立て込んでおりますので…」

そう言って
ミユさんは僕を立たせて
服を渡してくれた。
それは昨日着ていたモノと似ている。

「これを着るんですか…?」
「はい」

僕はその服を着てみた。

雰囲気は僕の世界で言うとスーツのような感じ。

何かするのかな?。

「ミユさん、この服は…?」
「これは王子の正装着です」

正装…?。

「あの…。ミユさん。これから何を…?」
「これから王子は、国民へのパレードと、その後に王子就任演説をして頂きます」
「はぁ!!?」

パレード…?
演説…?
言っている意味が分からない。
何で、僕が…。

混乱する僕にミユさんは
「大丈夫です。王子。我々がフォローいたしますので」と言う。

フォローと言われても……。

「では、行きましょう」

ミユさんは急かすように僕を部屋から出し扉を閉めた。

ミユさんの後ろを歩く僕。
ふと心に引っ掛かっていた事を
ミユさんに尋ねてみた。

「魔王様はどうして僕を選んだのでしょう?」
「……。それは分かりません。魔王様らの決断なので」
「そう、ですか…」
「ただ、後継者に『養子』を選択した理由なら聞いたことがあります」
「えっ?」

ミユさんはこう話す。
当時
魔界は二つの国に別れていた。
1つは現魔王のお父さんが支配していた東エリア。
もう1つは現王妃のお父さんが支配していた西エリア。

当時
この2つの国は仲がとても悪く
前魔王同士が覇権争いを行っていた。
争いは長く続き
共に衰退の一途を辿っていた。

魔界の未来は暗い。

その現実を変えようと立ち上がったのは現魔王様と王妃様。
実はこの二人。
互いのお父さんの目を盗んでは
会いに行っており
終戦に向けての計画を練っていたのだ。
そして
ついに国同士の戦争が始まろうとしていた時
二人は互いの国の魔王に東西の統合を提案した。
「二人の結婚」を条件に…。
二人は結婚によって
互いが互いの人質になって
反逆出来ない環境を整えようとしたのだ。
だが
当然お互いの魔王は大反対。
「勘当する」とまで言われたという。
しかし
それにも怯まない二人の雰囲気に
東西の魔王様国王は根負けし
その提案を受け入れて
長い交渉の末に魔界の東西は統合され
今に至るという。

その後
今の魔王と王妃がその座に就き
魔界の全土を束ねることになった。
そして今の魔王は
それまで「戦い」しかなかった魔界に
新しい価値を産み出すために多くの改革を行った。
それらが多くの国民の支持に繋がり
魔界は新しい時代を迎えることになるのだが…。
どうしても解決できない悩みが1つだけあった。
それは後継者の問題。
二人の間には子供が出来なかったのだ。
魔界にある医学をもってしても…。

僕は「魔術でどうにか出来なかったの?」と聞いた。

ミユさんは淡々とこう言う。

現在
生命に関する魔術は禁忌とされているという。
それは
かつて魔界の人達は魔術を使って
生物を創造と改変しようとしていた時期があった。
しかし
その魔術に関わった人達は
その代償を払うように命を奪われ
その悲劇を見てきた魔王様は
生命に関わる魔術を「禁忌」とし
使用することを禁じたという。

これらの理由から
二人は養子を受け入れようとなったらしい。

「だから、僕が養子に?」
「と、思われます」
何故同族から選ばなかったのかなど
疑問に思うことはあるが…
僕がここにいるという事実は
心に入れておきたいと思う。

そんな話をしていると
ミユさんが部屋の前で足を止めた。

「着きました。王子、お入りください」

ミユさんはその扉を開ける。
すると
そこにはオープンカーのような乗り物があり
僕はそれに立ったまま乗せられた。

「ここでお待ちください」

そう言って
ミユさんは僕を置いて乗り物から降りると
次に魔王様と王妃様が乗り込み
僕の後ろにある王座に座った。

一体、どうなるんだ…?

準備が整い
乗り物の正面にある門が開く。
すると
外には
街中の住民がいるのではないかと思うくらいの歓声が僕達に注がれた。


王子だ!!
可愛い!!!

様々な魔界の人達が僕たちに向けて手を振っている。

僕は混乱していた。

どうすれば良いか分からないのだ。

戸惑っていると
王妃様から「手を振って挨拶を」と優しい声で言われ
言う通りに僕は手を振る。
すると
魔界の人達は歓声をあげてくれた。

それは僕に対する親愛の印だろうし
期待を持たれている感じもして
自分の心が引き締まるのを感じた…。

乗り物が城下町を一周した後
僕らは城内に戻り

次は国王が国民に向けて演説をするような
バルコニーへ案内された。

どうやら
ここで僕の決意表明なるものをするらしい。

大勢の魔族の人が視界に入る。
僕は緊張で震える身体を感じながら前に出た。

数えきれない人達が僕を見ていた。
もう緊張はピークに達し。
足が震え
頭が真っ白になり
何を言っていいのか分からなくなる。

どうしよう…。

その時
ミユさんが魔族の人から死角になる所へ移動し
そこからカンペを出してくれた。

「(王子、読んでください)」

ミユさんの優しさで緊張が和らぎ
僕は1歩前に出る。

「……僕はまだまだ未熟で、今は皆さんの王子として相応しくないかもしれませんが、必ず王として相応しい存在になりたいと思います」

「(王子、お辞儀をして…)」

僕は深く頭を下げた。
それを見た魔族の人は
温かい拍手と歓声を出してくれた。

こうして
一通りの催しが終わり
僕の『魔王の養子』として生活が始まるのだった………。




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