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2020年05月09日00:31

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バルンガ

休日、DVDなどを見て過ごされる方は、きっと多いのではないでしょうか。私も、映画やドラマなど、いろいろなソフトを借りてきて、自宅のソファでくつろいで見るのが好きです。特に、この連休はどこにもでかけられないため、時間があれば様々なDVDを見て過ごしました。

 みなさんは「ウルトラQ」という番組をご存知でしょうか?1960年代に放送された、大変古い番組で、ウルトラマンシリーズの先駆けとなったドラマです。
 ウルトラマンシリーズと言っても、いわゆるヒーローは出てこないで、人間が、いろいろな怪獣や事件と対決する形をとっているのですが、世相や社会問題を反映しながら、将来の日本の姿を予言したと思われるような描写も多く、極めてメッセージ性の強い作品になっています。
 私は、実は全巻持っているのですが、久しぶりにこの連休に、「バルンガ」という副題のついた第11話を見たとき、思わず「おや?」と思ったのです。

 バルンガというのは、その名前のとおり風船のような怪物であり、宇宙空間を漂って生活しています。それが、帰還するロケットにくっついて、地球にやってきてしまうのです。
 この怪物バルンガは、人間を襲ったり、町を壊したりはしないのですが、それよりもはるかにタチの悪いことには、ありとあらゆるエネルギーを吸い取って、無限に巨大化していく生命体であるのです。
東京の上空に出現したバルンガは、さっそく活動を開始しました。高圧送電線からどんどん電気を吸い上げ、町中の車のガソリンをすべて気化して、これも次々と吸収していきます。
 その結果、工場や企業に、一切の電力が供給されなくなり、経済活動はまったく破たんしてしまいます。また、ガソリンもどんどん吸い上げられるので、車も電車も動かなくなり、すべての交通が麻痺してしまうのです。
 まさに、日本の文明の危機です。主人公は、なんとかバルンガを退治するために、この生命体に詳しい学者を訪ねます。そこで、「あの怪物をなんとかできませんか?」とたずねると、その学者先生は、こう答えるのです。

 「怪物だって?違う。バルンガは怪物ではないよ。神の警告だ。バルンガは自然現象だよ。文明の天敵といってもいい。見てみたまえ、工場の煙りもなく、車の排気ガスもない、こんな静かなすこやかな朝は、今までなかっただろう。このキチガイじみた都会も休息を欲している。人々も、ぐっすり眠って、そうして反省をはじめるのだよ」

 なんとも恐ろしい話ですが、私は、この「バルンガ」という言葉を、「コロナ」に変えると、この話は今の世の中そのままだと思うのです。

現在、コロナのおかげで、様々な経済活動はストップし、県外への車での移動も制限され、博物館や図書館など、あらゆる人間の文化活動も停止させられている。まさに、コロナは、現代のバルンガです。そして、奥深いことには、コロナが世界で蔓延して、人間の文明が停止したことで、「空気がきれいになり、何十年ぶりかでエベレストの山頂が麓から見えた」とか「町の草花が、今まで見られなかったほど生き生きしている」とか、バルンガの学者先生が言ったような、プラスの現象がおきていることもまた事実なのです。

 ウルトラQの「バルンガ」が、21世紀の今を予言したドラマなら、長い目でみて解決する方策も、ドラマに隠されていないだろうか。そう思って作品を良く見ると、学者先生の言葉に、「これは神の警告だ」「人々もぐっすり眠って、そして反省をはじめるのだよ」という、気になる言葉があります。

 ということは、「コロナ」も神の警告であり、人類に何かの反省を求めているのでしょうか?もし、そうだとしたら、「コロナ」は人類に、何を反省しろと言っているのでしょう


 いつのころからでしょうか?「地球の危機」が叫ばれ、地球を守れという様々な運動が、世界中でおきはじめたのは。二酸化炭素の増加、それにともなう地球温暖化。海の汚染、土壌汚染・・・地球は今、危機に瀕している。だからこそ、みんなで地球を救わなくてはならない・・・と。

 このように考える人が増えてきたのは、大変すばらしいことだと思います。そして、実際に、環境問題に取り組んでいる方々には謹んで敬意を表するものです。
 けれども、もう一歩、深く踏み込んで考えると、ここに一つの矛盾があると、私には思えるのです。

 実は、大きな目でみると、地球自身にとっては、温暖化も、海の汚染も、大した問題ではないのです。人間によって確かに地球は汚されてしまいましたが、地球が少しだけ「ぶるっ」と身震いすれば、大陸は沈み、何億の人類は滅び、そして再び、長い時間をかけて地球は浄化されていくのです。
 地球の地質年代をさかのぼると、二酸化炭素はおろか、地表から亜硫酸ガスなども猛毒が噴出し、到底生き物など住めない状態の時代もあったのです。

 勘違いしてはいけないのは、地球が汚染されると、困るのは地球ではなく「人類」なのです。その結果が、人類にとって不利益だから、地球のために何とかしようというのは逆なのです。何ゆえに、そんな不利益な環境に、自分たちはしてしまったのか、そここそが「コロナ」が人類に反省を求めている点であると思えるのです。
 海を汚し、大気を汚し、食べ物に毒を入れ、もうどうにもならなくなったら、今度は地球を救えというのはおかしいのです。
 「人間だけでなく、動物も植物も、みんなが地球家族の対等な一員」なのだ、という自覚がないから、人間は「我れ良し(自分さえよければいい)」の思いに侵されていくのです。自分だけが良い思いをし、儲ければ良い、他人などどうでもいいという、その「我れ良し」の思いが、その思いやりの欠如が、海を汚し、大気を汚し、温暖化を進め、ますます、自らの首を絞めていくことになるのです。

 21世紀の世に「コロナ」としてよみがえった「バルンガ」は、人類にあらためて自らのあり方を問うています。もう付け焼き刃的な解決策では通用しません。根本的に人間はどう生きなければならないのかまでに、踏み込んで考えなければ、解決への道は開かれないように思えるのです。

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