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2020年05月08日08:35

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完全な自慢話だが、私は東宝東和の試写室で同じことをより詳しくうかがったことがある。

■淀川長治さん「つまんない映画」でも途中で帰らず…その深いワケ
(AERA dot. - 05月07日 11:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6073403
銀座の東宝東和は細長いビルの8階と9階にあり、9階がまるまる試写室になっていた。
8階に顔を出すと9階に案内してくれるわけだが、たとえひとりでも試写はしてくれるので大変贅沢な話である。
私は何でも観たいほうなので、よく通っていた。
そこで淀川先生と2人きりになることも多かったので、映画の話はよくした。
ある日、大島渚監督の「マックス・モナムール」をみて、このときも2人きりだったのでおたずねしてみた。
「ひどい映画だったと思いますが、先生のように鋭い批評眼を持つ方からみてもやっぱりそうでしたか」
「ひどかったよ。でも考えてみなさい。ボクらは毎日こうして好きなだけ映画を観て暮らしていけるけど、そうじゃないヒトはたくさんいるでしょう。一生に一度しか観ないというヒトも必ずいて、その一本がこれということだってあります。その人に評論家面して『今晩は、ひどい映画でしたね。あの大島渚も焼きが回りました。観ているだけで体がかゆくなりそうで』って言えますか。映画って何てつまらないんだという気持ちのままで帰せますか?違うでしょう。紹介するときに『今晩は、淀川長治です。主演の女優さん、シャーロット・ランブリング、キレイでしたね』くらいのことは最低限言わないといけません。だからね、川崎君、ボクはつまらない映画のときほど紹介できるようないいところを探さないといけないので、タダの試写室でも絶対に途中で席を立たないと決めているんです。」
と熱弁をふるわれ、なるほどと納得した。
たぶんこの話は、たいていの評論家やライターには聞かれればよく言っていたと思う。
激情家で、悪口を始めたら止まらず、絶対このほうが面白いとは思ったが、テレビでは確かに言えないよね。
映画が大好きなので、一人でも多くの人に映画好きになってほしいというリミッターのはずれた情熱には尊敬の思いしかない。
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