mixiユーザー(id:66671909)

2020年04月29日22:08

117 view

家族崩壊は日本だけではない。「ドイツにはもう家族は存在しない」と言っていたドイツ人の友達


日本では「家族崩壊」が嘆かれるようになってから、既に長い年月が経っている。でも、「家族崩壊」というのは何も日本だけの現象だけではなくて、ドイツも全く同じらしい。この日記ではまた暗い話になるけど、ドイツでも家族が崩壊しつつある事実について書くことにする。

僕がドイツ語勉強のために1999年春に、シュツットガルト郊外に住むH家にホームステイしたことはもう何度も書いたけど、そのH家でホームステイを始めて数日後には奇妙なことに気づいた。初めて訪れた日の夕方には、主人(Rさん)と奥さん(Iさん)と長女(W・21歳)と彼女の夫Aが僕と談笑をした。でも、長女夫婦は大のバンドを組んでいるほどの音楽マニアだったので、僕があまり音楽に興味がないことを彼らに告げると、それ以来、僕にはほとんど話かけなくなった。

それで、数時間後にH家で夕食の支度をしていると、今度は長男(J・25歳)と彼の恋人Cがやってきて僕と親しく話を始めた。それで、その日は夕食を食べ終わった後もJと彼の恋人と長時間談笑をした。どうも、長女夫婦よりも長男カップルの方が僕と合うようなこと僕でもよくわかった。長女夫婦は別の家に住んでいて、大の音楽ファンだから家の中にも楽器や音楽機材がたくさんあったので、音楽に興味がない僕とは合わないようだった。一方、長男のカップルは映画を見たり音楽を聞いたりと、気分次第で色んなことをしていて僕も誘ってくれたので、彼らの方が僕と交流を楽しみたいようだった。

それで、その後、ホームステイの日にちが経っていくと同時によくわかったのだが、H家の中には長男Jを中心とする友達のグループと、長女Wを中心とする友達のグループがあって、この2つのグループが交流することは全くないのだった。3月末にイースターパーティがあったから家族がみんな集まったのだが、ここでもJグループとWグループは一つのテーブルに分かれて向かいあって座って、彼らが会話をすることは全くなかった。家に2人が同時にいる時にも僕がキッチンでお菓子を食べていると、Jが僕と会話をしている時にはWは他の部屋にいて、Jが出ていくとWが入ってきて僕と会話を始めるという有様だった。

それで親であるH夫婦に、「あの、どうして長男Jと長女Wは話をしないのですか?なんか問題でもあるのですか?」と質問してみると、夫婦は手を広げて「お手上げ」という感じで、「彼らはお互いを理解できないんだ。親としては何も干渉せずに、放任主義で彼らのやりたいようにやらせているけどね。数年前からほとんど話をしなくなったけど、そのうち自然に仲直りするのを待っているんだ」と、やりきれない表情で言った。

でも、僕も日本にいる家族の中で同じような問題を抱えていたので、「でも、別に大した問題ではないですよ。なんだが、僕の家に戻ったよう感じがしますね。僕の家でも僕と父は思想、趣味が合うからよく話をするけど、母と兄と妹とはあまり話をしないんですよ。僕の家族もで僕と父が1つのグループで、母と兄と妹が1つのグループになっていてあまり交流しないんですよ。ドイツの家族にも同じようなグループ化があると知ってなんだか落ち着きました」と僕が言うと、H家の主人は「世界中のどこの家族でもみんなが自分の生きたいように生きると、どうしてもバラバラになるんだろうね」と言って、苦笑いをしていた。

それで、僕はどうもH家の中で長男Jのグループに入れられたようだった。たしかに、長男Jと彼の恋人Cはドイツ人の若者の中ではあまりイケメン、カワイイとは言えないような顔立ちで家で遊ぶことが多いオタクのグループだったが、長女Wと夫Sは顔立ちがカワイイとイケメンであり、音楽バンドまで組んでいる活動的なグループだったから、オタクぽい自分とは合わないと思った。だから、その後も長男の友達はたくさん紹介されて交流をしたが、長女と夫が家に来るとあまり話すことはなかった。主人(Rさん)と奥さん(Iさん)は、「別に話が合わないなら、そんなに無理をして合わさなくてもいいよ。Gさん(僕のこと)はドイツの現代史と映画に詳しいという専門分野があるから、それを伸ばさせいいのだから。別に他人に合わせて自分の世界を変えなくてもいい」とアドバイスをしてくれた。

結局、ホームステイが終わるまで、長男とその友達とは深い交流が続いたが、長女と夫とはあまり会話をしなかった。それでも、H夫妻は「君は家では初めてのホームステイ客だったが、大成功だったよ。日本人でこんなにナチスドイツ、ドイツの現代史に詳しい人がいるのには本当に驚いたよ。ウチでもドイツの現代史教育を見直す切っ掛けになった」と言って喜んでくれた。だから、H家で長男のグループに入れられてしまって、長女のグループとはあまり交流がなかったというのは、大した問題ではなかったのだろう。まあ、こういう趣味、主義主張の違いで家族が対立するというのはよくあることだろう。


他のドイツ家族の例を挙げると、僕は2005年夏にハノーファーに住む30代のドイツ人女性(U・30代)と彼女のアパートに同棲をしていたのだが、彼女は母親が大嫌いだと言っていた。
「私の母は『できちゃった婚』で結婚をしたの。母がまだ高校3年生だった頃に私を妊娠したから、仕方なく母は初めの夫と結婚をしたの。でも、初めの夫、つまり私の父とは結婚生活が長く続かなくて母は数年で離婚したから、私は子供時代のほとんどの時間を母の両親、つまり、おじいんさんとおばあさんと過ごしたの。彼らが私の育ての親だわ。その後、2人目の夫と結婚して妹が生まれたけど、数年前に母はまた離婚をして今はあなたと同い年くらいの若い男と同棲している。母は世界一のバカ女だから、一人の男とは長く続かないみたい」
ということを、Uは随分と怒った口調で言っていた。それでAは「私は母を見て結婚生活に幻滅しているから、一生結婚しないかもしれない。自分の趣味と仕事に満足しているから」ということも言っていた。これが、僕とAの同棲生活が2週間で終わった原因だったかもしれない。とにかく、彼女は浮気者の母を見て結婚生活に興味を失ったというのだから。


その後、2006年3月にネットで知り合ったドイツ人友達のSと会った時に、こういうドイツでの家族崩壊の話をした。彼は既に何度も僕の日記に登場しているが、彼は民法商法が専門の弁護士だったのでドイツの家庭事情にも詳しかったので、
「ドイツには既に『家族』なんていうものは存在しないよ。家族の中でも子供たちが中学生、高校生になるとっ趣味の違い、政治主張の違い、学問の文系と理系の違いなとでバラバラの人生を生き始める。子供たちが20歳になる頃には、もうイースターとクリスマス休暇の時に家族が形式的に集まるくらいで、ロクに会話もしない家族が多い」
とドイツの家族事情について教えてくれた。

僕はドイツ政府内には家族省という家族問題を専門に扱う省庁があるのを知っていたので、
「連邦政府の家族省があるだろ?家族省があっても家族問題は解決できないのか?」
と僕が質問をすると、彼は首を振って、
「家族省なんてお役所仕事をしているだけだよ。幼児虐待、家庭内暴力、親の離婚とか極端なケースで手が一杯で、家族を一つにまとめるなんていうことまで手が回らない。趣味、政治主義の違いなどで家族がバラバラになるのは、個人の自由だからどうしようにもならない」
と言っていた。僕が「日本もドイツと全く同じようなもので、俺の家にも家族がバラバラという問題がある」と言うとTは、「日本も同じなのか。でも、先進国はどこもそうだろうね。自分の人生でやりたいことを始めると、どうしても趣味、思想、生き方の違う家族とは疎遠になるだろう。それは仕方がない」と言ってやり切れないという顔をしていた。

その後、SのフィアンセのMとも会って友達になった。SとMが2007年9月に日本にいた時に結婚をして、その直後にも話をしたがMは家族問題について、
「私が子供を産んだら家族崩壊しないように、夫のSと子供たちとよくよく話をしようと思う。でも、子供たちに両親の価値観を押し付けることはできないから、子供たちが成人したら彼らのやりたいことをやらせようと思う。それで、子供たちが生きたいように生きて、親から離れていったらそれはそれで仕方がないわね」
と言っていた。やはり12歳くらい、つまり日本でいうと中学校入学時期で思春期になると、どこの国の親たちも子育てにはすごく苦労をするようである。これは全世界ではなくて、古今東西どこの国でも変わらないのだろう。


写真左はドイツの有名女優ナスターシャ・キンスキー。彼女は父が俳優のクラウス・キンスキーで女優になるべくしてなった超美人であるが、数年前に少女時代に父からひどい性的虐待を受けていて、「少女時代は父と一緒に家にいるのがとても嫌だった。父からの虐待から逃げるように、芸能界にデビューをした」という事実を告白した。

写真右はシュツットガルト駅構内で、H家はこの駅から50キロほど離れた町に住んでいた。日本人から見ると白人はみんな顔立ちもスタイルも良くて羨ましく見えるが、実際、家族の中に入ってみるとドロドロとした人間関係の対立がある。趣味の違い、政治思想の違い、人生観の違いとか、家族関係と人間関係の問題は派手な外見の白人にもある。


12 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する