ふと、思い出した記憶。
僕が立っているバス停から見える、私鉄沿線の高架橋。
環状八号線と交差するその場所で、小学生の僕は電車の窓からフェラーリを見た。
何十年も昔の、遠い夏の記憶。
その鮮やかな記憶は、射すような真夏の太陽や湿った午後の空気の匂いまで、遥かに時を隔てた今でもはっきりと思い出させてくれる。
日本中を席巻したスーパーカーブームの真っ只中、乾いたエキゾーストノーツを響かせて迫り来るその姿は、僕の心にそれほどまでに強烈なインパクトを与えた出来事だった。
そしてそれは、スポーツカーへの拘りという形で、今も僕の心に刻まれ続けている。
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