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の続き)
マリネラのロケットが初めて宇宙へ出たのは,1970年代初頭だったと言われる.
一説によれば,ヒギンズ三世の国王即位の戴冠式において,発射ボタンを押すという「国王としての初めての国事行為」が行われたとされているが,確証はない.
というのも,マリネラにおける宇宙開発事業は当時,軍の管轄下にあり,殆ど全ての情報が現在でも軍事機密として非公開だからである.
その上,
1) 空軍ミサイル局設立
2) 「文化広報局」(諜報機関)にロケット専従部門設置
↓
3) (2)の一部と(1),および海軍調査研究所が統合,「マリネラ王立宇宙軍」となる
4) 軍とは別に,工科大学にジェット推進研究所設立(糸井博士らを客員教授として招聘するため?)
↓
5) (4)が,王立マリネラ航空株式会社付属航空研究所,およびその他の小規模な民間の航空研究機関複数を吸収
↓
6) 諜報部門を除く(3)と,(5)とが王立マリネラ宇宙局(Royal Marinella Space Administration: RMSA)として統合,民間に完全移管(現在)
(諜報部門は「文化広報局」に復帰?)
という複雑な組織遍歴を辿っており※1,その過程で廃棄された資料が少なからずあると見られている.
その廃棄が過失によるものなのか,機密保持のための故意によるものなのかは,判然としない.
マリネラ宇宙局の広報誌によれば,最初のロケットは「プラズマα」と呼ばれた.※2
そのため,表向き「月の資源探査」という名目のこの計画も,「プラズマ計画」と呼ばれるようになったという.
「プラズマα」型ロケットは12基作られたという.
マリネラの工業力では精密な部品はまだ無理だったので,多くがソ連やフランスなどから輸入された.
フランスは,イスラエルやイラクへの原子炉輸出を見ても分かるように,商売にさえなるのなら,輸出先で本当はどう使われるかにはあまり頓着しなかったし,ソ連はマリネラの真意を疑ってはいたものの,自国経済が苦しい折,背に腹は代えられなかったようだ.
支払いは現金ではなく,ダイヤとの物々交換だった.
プラズマαという名称は,ロケットの名称であると共に,このロケットに搭載される無人探査装置の名でもあった.
というより,ロケットと無人探査機とがワン・セットで「プラズマα」と呼ばれていたと言ってよい.
ロケットがプラズマαの足であるとすれば,それに搭載される無人ロボットはプラズマαの本体だった.
それらプラズマαの観測機器群は,ロケットに乗って月まで行き,月の周りを廻る周回軌道に乗せられた.
一般的に,ロケットの打ち上げ成功率は9割と言われる.
10発打ち上げれば,1発は打ち上げ失敗が出る計算になる.
ところがプラズマαの場合,半分の6基が失敗したと公表されている.
打ち上げ順に
α1:成功
α2:成功
α3:成功
α4:成功
α5:飛翔失敗,遠隔操作で爆破
α6:成功
α7:月周回軌道に乗らず失敗,爆破
α8:月周回軌道に乗らず失敗,爆破
α9:月周回軌道に乗らず失敗,爆破
α10:月周回軌道に乗らず失敗,爆破
α11:成功
α12:月周回軌道に乗らず失敗,爆破
という状態だったという.※3
成功率で言えば50%.
これは平均的成功率である90%より遥かに低い.
この低さの理由については,いくつかの説がある.
・マリネラの基礎工業力が低いため,部品の精度に問題があった説
・マリネラの核兵器開発に薄々感づいていたソ連またはフランスが,わざと精度の低い部品をマリネラに輸出した説
・MI-6による妨害説
・KGBによる妨害説
・CIAによる妨害説
・国際ダイヤモンド輸出機構による妨害説
・バミューダ・トライアングルの不思議な磁場の悪影響説
・月の住人の妨害説
・そのほかの宇宙人の仕業説
・妖怪の仕業説
・天狗の仕業説
その他いろいろ.
しかし多くの専門家は,「失敗」は実は失敗ではなかったのではないか?と見ている.
爆破というのは核爆発の実験を意味しているのではないか?という見方である.
α7〜α12の間の「失敗」は,いずれも月が地球から見て太陽を背にしたときに,月の裏側で起きている.
その位置で核実験を行えば,地球からは直接観測できない.
また,核実験によって発生する放射線は,太陽から直接地球に降り注ぐ放射線に紛れ込む.
地球からは,太陽からの放射線なのか核実験の放射線なのか区別はできない.
核問題の専門家で元ソ連科学アカデミー研究員のアンドレイ・ポルトフは,次のように述べる.※4
「一般的には,ある国の核実験に他の国が気づくのは,その核実験によって起こった地震を地震計が感知するところから始まります.
次いで,可能な限り核実験場の近くまで,集塵ポッドをつけた飛行機を飛ばします.
ポッドが放射性物質をとらえていれば,核実験だったという事実が確定します.
しかしマリネラの核実験の場合,宇宙空間で行われていますので,地震計が核実験による揺れを感知することができません.
宇宙と地球は地続きではないので,揺れが他国に伝わらないからです.
また,集塵ポッドをつけた飛行機を飛ばすこともできません.
飛行機は宇宙空間を飛ぶことができないからです.
仮にシャトルのような宇宙機に集塵ポッドをつけて飛ばしたとしても,意味がありません.
採取した放射性物質が核実験によってできたものなのか,太陽から飛来したものなのか,区別することができないからです」
核実験によって発生する放射性物質を,大陽の放つ大量の放射性物質の中に隠したという点は,ヒギンズ三世が言った,
「木を隠すなら森の中」
の応用例と言えよう.
しかし,地球からは核実験を観測できないということは,マリネラからもこれを観測できないことでもある.
ヒギンズ国王は,どのようにして核実験の成功or不成功を観測したのだろうか?
ここで思い出されるのが,マリネラが「プラズマα」観測機器群を送り込んでいたことである.
表向き,これらは月のダイヤモンドの探査のためのものとされている.※5
だが,これらは月の表面にはどれ一つ降り立つことはなく,月の子衛星軌道上からの観測に終始している.
これらが実は核実験を観測するための機器だったのではないか?というのが,多くの専門家の見方である.
プラズマα計画は12号機までで終了.
引き続き,プラズマβが開始された.
βロケットはαロケットの改良型と見られる.
続けてγ,Δ…と改良を重ねながら,ロケット打ち上げはハイペースで続いた.
総数は不明.
公式に発表されている数よりかなり多いと見られている.
参考までにフランスの場合,1991年までに南太平洋で大気中核実験41回,地下核実験134回,サハラ砂漠で大気中核実験17回を行っている.※6
サハラ砂漠における核実験は,当時独立戦争を起こしていたアルジェリアに対する威嚇の意味があるので,これを除外するとしても175回.
マリネラの場合,仕組みはシンプルなガン・バレル型であるので,フランスのケースより実験回数は少なくて済むだろうが,それでも少なくとも3桁に上る数の核実験を月の裏側で重ねたと想像される.
現在でもマリネラの核実験は続いているのだろうか?
多くの専門家は否定的である.
RMSAが民間移管されていることが,その根拠とされる.
プラズマ・シリーズ等は本来の月探査用として開発継続されているという.
しかし本当にそうだろうか?
1976年7月25日,バイキング探査機による火星探査を実施していたNASAのジェット推進研究所は,バイキングが撮影した写真の中に「人間の顔によく似た岩」が見つかったと発表した.
その後も「火星のピラミッド」と呼ばれる構造物や,「火星のモノリス」と呼ばれる物体などが発見されている.
この「人面岩」の顔,何かに似ていないだろうか?
そう,プラズマ・シリーズのロボットの顔によく似ている.
これは,プラズマ計画が月から火星に舞台を移し,そこで核兵器開発を継続していることを示唆する.
月よりも遠い火星であれば,他の各国からの監視の目も更に届きにくく,月でよりも容易に計画を遂行できるメリットがある.
英国諜報機関関係者のJ.V.氏は,匿名を条件に,次のように証言する.※8
「例の岩が宇宙人の作ったものであるなどという説は荒唐無稽です.
仮に宇宙人が火星にやってきたのだとして,地球人ともコンタクトを取らず,それでいて地球人に分かり易い形で訪問の痕跡を残す,というのは論理的に辻褄が合いません.
現実的に考えるなら,人類サイドの構築物と推測するのが自然です」
この見解には反論もある.
アメリカの天文学者カール・セーガンは,共著『核の冬 第三次世界大戦後の世界』(光文社,1985年)の,マリネラの核兵器保有疑惑に触れた箇所の中で,以下のように著述している.※9
「仮にマリネラ説をとるなら,それまで核兵器開発をひた隠しにしていたマリネラが突然,大っぴらな行動に出たことになる.
これに矛盾を感じるのは私だけだろうか?」
しかしこれに対しては再反論がなされている.
ジョセフ・ナイ・Jrは著書『核戦略と論理』( 同文舘出版,1988年)の中で,次のように述べている.
「『核兵器保有を否定も肯定もしない』
というイスラエルの戦略を,さらに一歩先に進めたものがマリネラの核戦略である.
民間人レベルでは火星の人面石について,様々な憶測が飛び交い,様々な雑音やバイアスが混じった荒唐無稽なストーリーが闊歩する.
そのようなストーリーを元に何らかの国防上の脅威を感じる人は少ない.
国家機関はそうではない.
雑音を排するに足るフィルターとなる機密情報を持っている.
核兵器の脅威がダイレクトに国家指導者に伝わる.
結果,国際世論を刺激することなく国家指導者だけをマリネラは核で脅すことができている.
そしてこのような場合,各国指導者はマリネラは核保有国であるという前提の上で国家戦略を立てなければならない.
悲観論をもって事に対処してそれが杞憂で終わったのであれば,単なる笑い話で済むが,その逆であれば何十万,何百万人という人の死を伴う悲劇になってしまうからだ」
事実,その後の各国はマリネラに対する姿勢を変えている.
例えば,ややマリネラ寄りの傍観者であったアメリカは,CIAエージェントを殺し屋に化けさせてマリネラに派遣.
ソ連はマリネラの宿敵・国際ダイヤモンド輸出機構と手を結んだ.
中国は周恩来とマリネラ王太子との間にホット・ラインが偶然できたかのように装い,マリネラに接近した.
当時まだ中国の核兵器開発技術は不確かなものだったから,中国の狙いは明白だった.
ジョセフ・ナイ・Jrの言う悲観論が,これら行動のベースになっていることは間違いない.
つまるところ,
「勇気とは,恐れるべきものと恐れなくてもいいものを区別できる知恵」(プラトン)
なのである.
※1
広報冊子『宇宙兄弟仁義』(マリネラ宇宙局宇宙教育センター,2013)
機関誌『任侠星』(マリネラ宇宙局),2000〜2013年各号
より筆者推定
※2〜3
同上
※4
筆者による生前のインタビュー,2017年4月
※5
機関誌『アステロイド・マヨネーズ』(マリネラ工科大学ジェット推進研究所)1970年各号
※6
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-01-01-04
※7
https://www.youtube.com/watch?v=4EBzotgriEI
※8
筆者によるインタビュー,2017年4月
※9
https://www.amazon.co.jp/dp/4334960138
※10
https://www.amazon.co.jp/dp/4495852612
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