版元から『図解 眠れなくなるほど面白い相対性理論』の第5刷が届いた。
このごろ、つくづく思う。
本は著者よりアタマがいい。
∵ 著者の頭の具合が上下するなか、いい状態だけ集めたものが本なのだ。
それにしても、このごろ時折、頭によぎる疑問。どうして光の速さを測ろうとしたのか。
で、検索。トップに↓ ああ、ガリレオが、か。どうしてガリレオは光の速さを測ろうとしたのか。
光の速さはどう測るの?
大阪市・鶴田里織(つるた・さおり)さん(小5)からの質問
イラスト
◇ののちゃん 光って、一番速いんでしょ。光の速さって、どうやって測るの?
◆藤原先生 光の速さは秒速30万キロ。新幹線(しんかんせん)の360万倍で、1秒間に地球(ちきゅう)を7周半できるわ。それを測ろうとした人が400年前にいたの。ガリレオよ。
◇ののちゃん 聞いたことある名前(なまえ)だな。
◆藤原先生 ガリレオは、遠く離(はな)れた2人の人にランプを持(も)たせて、1人が明(あ)かりを手で隠(かく)したり見せたりし、もう1人がそれを見た瞬間に同じように隠したり見せたりする、という方法を考えたの。点滅(てんめつ)のずれる時間を測れば光速度がわかると本に書いたの。時間と距離(きょり)がきちんと測れれば速さがわかるけど、速すぎてうまくいかなかったらしいわ。
◇ののちゃん 最初(さいしょ)に成功(せいこう)したのはだれなの。
◆藤原先生 デンマークのレーマーという天文学者(てんもんがくしゃ)よ。木星(もくせい)の衛星(えいせい)イオは、木星のかげに出入りする時間がずれるんだけど、この現象(げんしょう)は、木星から地球に光がとどく時間が地球の位置(いち)によって変わるためだって見ぬいたの。このことから、1676年に、光速度を秒速22万キロとしたのが最初よ。
◇ののちゃん 実験(じっけん)で測ったんじゃないんだ。
◆藤原先生 そう。地上で測った最初はフランスのフィゾーという物理学者(ぶつりがくしゃ)。原理(げんり)はガリレオのと同じ。回転歯車(かいてんはぐるま)をつかって光の合図(あいず)をすごく短くし、それが8.6キロ離れた鏡(かがみ)に反射(はんしゃ)してもどってくる時間を測ったの。1849年のことよ。
◇ののちゃん 私も測ってみたいな。
◆藤原先生 今はいろんな方法(ほうほう)があるの。学校の実験ではレーザーでガリレオの方法を実現(じつげん)して測っているわ(図)。最も精密なのは、光が波(なみ)なのを利用(りよう)して、波長(はちょう)と振動数(しんどうすう)から光速度を決める方法。1960年に発明(はつめい)されたレーザーで10億(おく)分の1の精度で測る実験がされたわ。でも、それ以上正確(せいかく)には測れなかったの。
◇ののちゃん なんで?
◆藤原先生 速さを精密に測るには長さと時間の測定が精密でなくちゃ。時間は1兆(ちょう)分の1ぐらいまで正確なのに、長さは10億分の1の精度しかなかったの。だから、光の速さの精度が上げられなくなったわけ。そして、83年、大事なことが起(お)こったの。
◇ののちゃん それは?
◆藤原先生 光の速さで長さを決めることにしたの。国際(こくさい)度量衡委員会(どりょうこういいんかい)が「1メートルは光が真空(しんくう)中を2億9979万2458分の1秒の間に進む距離」って定義(ていぎ)したのね。だから、光の速さは、秒速29万9792.458キロ。誤差(ごさ)ゼロなのね。
◇ののちゃん ちょうど30万キロなら区切(くぎ)りがいいね。
◆藤原先生 過去(かこ)のデータが使えなくなるから、そうはできなかったのね。
(取材協力=伊東敏雄・電気通信大教授、構成=内村直之)
(朝日新聞社発行 6月26日付be)
(1)ガリレオ・ガリレイは近代科学(きんだいかがく)の父(ちち)といわれる。どんな業績(ぎょうせき)があるのか調べてみよう。
(2)その後の科学の発展(はってん)を変えた有名(ゆうめい)な実験の例(れい)を探(さが)してみよう。
(3)レーザーを応用(おうよう)したものを身のまわりから探してみよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーーー
http://www.asahi.com/edu/nie/tamate/kiji/TKY200506270167.html
ログインしてコメントを確認・投稿する