わたしはおじさんが好きだからおじさんのそばにいく

わたしは女性専用車両に一度も乗ったことがない。

だって、電車乗るときホームの何番目とか決めてないし、
だいたいホームに着いたらそこからあんまり動きたくない。
体力消耗させたくない。ベンチがあったら座るし、電車きたら乗る。
ただの交通手段で、旅行じゃないんだから。

それにわたしはおじさんが好きだから、電車空いててもおじさんの近くにいく。
わたしが行くと、だいたいのおじさんは少し緊張してたりしてかわいい。
混んでるときはおじさんの胸元に正面からぴとってひっつく。
したら電車揺れたときとかおじさんはちゃんと守ってくれる。
おじさんにひっついてると痴漢にあわない。
おじさんの匂いも好きだから。

お父さんだと思うと安心する。
おじさんは悪いことしないし変な考えない。
わたしはいつも信じてる。
おじさん怖くない。
おじさん汚くない。
わたしがひっついたおじさんはみんな優しかった。



でも一度だけ、おじさんに声かけられたことがある。
目的地の駅について電車おりたら、電車でひっついてたおじさんに声かけられた。
おじさんはどこかの田舎から出てきたとか言ってて。
家出して失踪した娘を探してるとか言ってて。
わたしが娘さんと面影が似てたから少し話をしたくなったとか、うまいこと言うてた。
わたしは用事があったから無理って断わったけど、用事済ませて駅戻ってきたらホームのベンチにおじさん座ってて、眠ってた。
わたしはおじさん起こして「こんなところで寝たら風邪ひくよ」って言った。
おじさんは「行くあてがないし疲れてるからほっといて」とか言ってた。
わたしは隣のベンチに座って電車くるの待った。
電車がきたからわたしはおじさんに「ほなさいなら」って言って電車に乗った。
電車からおじさん見たらベンチで泣いてた。
わたしはぼんやりおじさん見てた。
けど電車のドア閉まる寸前に電車おりておじさんに声かけた。
「なんかしらんけど泣かんといて。わたし話聞くし。どっかぬくいとこ行こ」って。
でもその駅の辺りは立ち呑みやすし屋やガラの悪そうな居酒屋しかなくて。
別にやるわけじゃないしって駅近くにひとつだけ建ってる「ラブホテル行こう」って言って。
コンビニで食べ物と飲み物買って部屋でおじさんの話聞いて。
娘さんの話は本当やったみたいやって。
晩くなったからおじさんはソファーで寝るって言って。
わたしはベッドで寝るってなって。
服着たまま寝てたんやけど。
おじさんがベッドにきたから「わたしとセックスしたいの？」って聞いたら「うん」て。
だったら無理矢理とかイヤやし、乱暴なことはせんといてって。
ちゃんとしてほしいってお願いした。

おじさんとはそれから何回か大阪に出てきたときに逢った。
何回目かのときにおじさんは娘が見つかったって言った。
おじさんは今までありがとうって言ってた。
もう大阪に来ることはないって言ってた。
だからわたしは「これが最後やね」って、おじさんに抱かれた。

おじさん良かったねってバイバイした。




■女性専用車両に乗りたくない女性の本音　「利用するのが怖い」「おじさんに埋もれた方がマシ」
(Jタウンネット - 01月07日 11:40)
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