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2019年11月14日08:24

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産業が空洞化した日本の傷口は深い^^;

中小企業が消えた産業、「高力ボルト」が足りぬ夏
山田 宏逸 他 3名
2019年11月14日

 鹿児島市内にあるJR鹿児島駅。JR九州は19年8月、秋に完成予定だった駅舎の改修工事の延期を余儀なくされた。来年3月の完成に向けて「待ち」の状況が続く。

 山口県では、瀬戸内海の周防大島と本土を結ぶ橋の補修工事が2カ月延びた。滋賀県では、認定こども園の工事が進まず、開園できなかった。愛知県みよし市では、この夏に予定していた学校給食センターの耐震化工事が「入札不調」に終わった。

すべての工事延期は“同一犯”?

 駅も橋も子育て施設も給食センターも、その工事の発注元である自治体や企業を悩ます犯人は同じだ。「高力(こうりき)ボルト不足」。日本全国の建設現場で今、このボルトが足りていない。その不足の背景や構造を掘り下げていくと、ここにも「中小企業の淘汰と消滅」が関わっていることが見えてきた。

 高力ボルトは鉄骨の柱や天井、梁(はり)をつなぐ部材として使われてきた。利点は取り付けが簡単な点。職人不足に悩む溶接の手間を省く効果も期待され、日本の建設現場で広く重宝されてきた経緯がある。

 「ボルト不足」に直面した愛知県みよし市の担当者は「まさかボルトでつまずくとは思ってもいなかった」と話す。予定していた学校給食センターの耐震化工事は、16年から期間を3期に分けて天井を補強する作業だ。無論、過去の2期の工事では何の問題も起きておらず、当然、高力ボルトもあった。

 しかし今回、応札した事業者からの返答は「必要な1000本のボルトを調達できず、工期内での施工ができない」。市が別途、ボルトをかき集めてくることなどできるわけもなく、異例の入札やり直しと工事延期しか道は残されていなかった。

 全国の建設現場での高力ボルトの調達価格は1トン当たり30万円前後。この1年だけでも5万円ほど上昇しているという。納期も、最も長いときで「8カ月待ち」。足元では最悪期は脱したとみられるものの、それでもなお「6カ月待ち」の状況が続く。

 あるメーカーの関係者は「今できる量を精いっぱい造っている状況。身動きが取れない状況は私たちも一緒だ」と話す。各建設現場で6カ月待ちの状況だとすると、今造っているボルトは半年前の注文を消化している状況にすぎない。もともと簡単に手に入るはずのものが、突如「入手困難なレアアイテム」に化けたのはなぜなのか。

 結論から言えば、高力ボルトが不足した直接的な要因は、一部業者による過剰発注であることはほぼ間違いない。実際、公共事業を所管する国土交通省もそう判断し、「重複発注」や「過剰発注」の是正に動いたところ、確かにボルトの納期は2カ月分改善した。業界内からも「オイルショック時のトイレットペーパー騒動と同じ」との声が聞こえてくる。

 ではなぜ、ある時期から「このままではボルトが調達できなくなる」と水増し・過剰発注する建設各社が相次いだのか。

 ボルト不足が本格的に伝えられ始めたのは昨年から。それまでは「あって当たり前」の部材の1つであり、話題を集めることもほとんどなかった。ところが、昨夏には多くの建設現場から「不足」の声がささやかれ始め、「工具通販サイトでも手に入りにくい」「フリマアプリで高値で転売されている」「自動車生産が堅調なあおりを受け、メーカーが原材料(特殊鋼線材)を仕入れられていない」といった様々な噂も広まるようになる。

 そうやって、改めて注目を浴びることになった高力ボルトだが、業界は「バブル以降の30年間で中小企業が淘汰・消滅した産業」と位置付けられるだろう。

かつては20社あったボルトメーカー

 現在、高力ボルトを製造しているのは、日鉄ボルテンや神鋼ボルトなど8社。企業名を見れば分かる通り、大手鉄鋼メーカーの子会社や系列会社が主な担い手だ。建設現場でボルトが使われるため、鉄骨などの部材とセットで販路を開拓してきた歴史がうかがえる。

 このボルト業界、高度成長期の1970年代には、今の2倍以上に当たる計20社がボルト製造を担っていて、その中には中小企業の姿もあった。

 ところがバブル崩壊以降、日本経済が低迷飛行になり始めると、最盛期に最大15万トンほどあったボルト需要は減っていく。ゼネコン不況に加え、国の財政事情の厳しさや公共事業削減の流れも手伝い、2008年秋のリーマン・ショック後には、総生産量は8万トンまで下落。中小企業のボルト生産からの撤退も一気に進んだ。

 そんな現状が明らかになってくるにつれ、建設業界には足元で「このままでは東京五輪に伴う大型建設需要に対応できないのではないか」という観測が広がった。それが今回の過剰発注の引き金となった面が大いにある。

 
 残った企業が、需要増に対応し増産に踏み切れば、ここまで大きな騒動は起きなかったかもしれない。しかしメーカー各社は「今回の不足は実需ではない」「過剰発注がおさまればまた元の低位安定期が訪れる」と判断したのだろう、そうはしなかった。

 確かに高力ボルトの場合、過剰発注がおさまれば需給はいずれ正常化する可能性が高いだけに、大した話ではないのかもしれない。ほかの製造業の中には、中小企業や個人事業主が産業内から姿を消したことで存続が難しくなりつつある分野もあるからだ。

首里城の再建が困難な理由

 10月末に大規模火災で焼失した沖縄の首里城。正殿に使われた5万枚以上の瓦は、現在では採取が難しい土が使われているほか、土の配合や焼く温度を知る当時の職人が既に他界したという。中小企業が消えた街からは「地域から長期的なビジョンとその担い手も消える恐れがある」と伝えた。高力ボルトのように、活力を元通りにしようにも産業の馬力がそがれてしまった例もある。同様に、中小企業が姿を消した産業からは、その産業を支える技術が消える恐れもあるというわけだ。

 人気芸能人による税金の巨額申告漏れや会社員の日々の不満などを背景に、じわじわと広がりを見せる中小企業「淘汰論」や「不要論」。とはいえ、本当に中小企業が消えてしまうと、地域の力や技術まで消えかねない。ではどうするか。答えは単純、「社会や産業に必要な中小企業」はなんとしても残すしかない。

 だが日本では今、社会に必要か否かなど関係なく、全ての中小企業が存続の危機を迎える「大廃業時代」が幕を開け、既にその時代へ突入している。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00080/111200004/
当分問題は解決しそうにないです。
安く買い叩いたツケは大きいです^^;

高力ボルト協会名簿
http://www.kouriki-bolt.jp

株価が結構上がっています。
今後景気が停滞したらどうなるかはわかりませんが^^;
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